飯豊縦走で自信がついて、続いて大朝日岳に挑戦することになった。メンバーは、元登山青年二人と、遅れてきた登山中高年の私。 コースは、朝日鉱泉からの中ツル尾根を選んだ。大朝日岳への直登コースだ。 このコースの良さは、登頂経路の短さだけではない。コース途中までは、渓流に沿って歩く。その流れの清らかさが何ともいえない。 清流からの風、音、匂い、盛夏にはことのほかの涼やかさだ。昔、岩魚釣に夢中になっていたころを思い出させてくれる。途中4回ほど渡る吊橋、そのスリルは清涼感そのもの。 |
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とはいえ、このコース、ほぼ中間点の二股までは沢伝いで高度は稼げない。その分、二股からは一気に登りだす。 直登イコール急登は山の常識、ひたすら登る。道々、山の花々が軋む筋肉を癒してくれるだけ。エゾアジサイ、ノリウツギ、どこにでもある花が、このときはうれしい。 アカモノ、ムシカリはすでに実を赤くして早くも秋の気配。ヨツバヒヨドリ、ツルリンドウ、タテヤマウツボグサ、ミヤマクルマバナ、見通しのきかない木立の中で目にうれしい花たち。 |
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そして、1500mに達した頃、突然、灌木帯が終わって視界が開けた目の前にお花畑があった。 現れたのは、ハクサンオミナエシの群落の中に際立つタカネマツムシソウ。黄色のなかに凛として立つムラサキが一層鮮やかに見えた。 そこから、山頂までは、見事なお花畑。 ハクサンイチゲの白い花畑に、タカネマツムシソウが乱舞して、ミヤマリンドウが群舞する。ところどころに、小さく可憐なミヤマコゴメグサ。風にそよぐのはミヤマシャジン。 まさに別世界。別天地。 |
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ようやく山頂、憧れの大朝日岳に立った。すでに夕刻、ガスが濃く、360度の展望は明朝にお預け。 山頂から大朝日小屋の周囲にも、高山の花が咲いていた。モミジカラマツの楚々とした花、チングルマは花が終わって穂が面白く可愛い、高山の定番ヨツバシオガマにイワイチョウ、ニッコウキスゲ、 ウサギギク、エゾシオガマ、これは白花のヨツバシオガマかと思ったが、後で図鑑で確かめたら、葉が違っていた。 |
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小屋の前から見た夕景。(1)月山とその先遥かに鳥海山。(2)右に微かに鷲ケ巣山、左にさらに淡く光兎山。(3)西朝日岳に沈む夕日。(4)夕日の射す左に淡く鷲ヶ巣山。 夜、鷲ヶ巣山の向こうに村上市街の灯火が見えた。 |
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そして、翌朝、再び山頂に登ってご来光を待った。神々しいまでの朝の光、その後の360度の大展望。大朝日岳の素晴らしさは、これに尽きる。天候に恵まれたことに大感謝だ。 | ||
4時17分の黎明 |
4時30分 山頂でご来光を待つ人々 |
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4時38分 雲に浮かぶ飯豊山塊 |
4時45分 雲海からのご来光 |
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大雲海の朝日 |
光兎山と鷲ヶ巣山 |
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朝日を背に大朝日岳山頂に立つ |
蔵王連峰 |
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吾妻連峰 |
飯豊連峰 |
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月山その右方に葉山 |
磐梯山 | |
下山路は、小朝日岳、鳥原山ルートをとった。二日目も、高山の花々が出会いを楽しませてくれた。ハクサンフウロ、クルマユリ、ミヤマダイモンジソウ、ニッコウキスゲの群落 ミヤマキンポウゲ、イワオトギリ、ハクサンボウフウ、ミヤマカラマツ。今回は花の師匠なし、で、やむなく図鑑を3冊購入して夜な夜な調べた、ら、山歩きの楽しみが、また、増えてしもた。 |
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小朝日ルートのよさは、大朝日の威容を眺められること。中ツル尾根から小朝日ルートを一日コースにして歩いている山人に何人も出会った。そのスピードとタフネスにはひたすら脱帽。 ただ、我らは、ゆっくりゆっくりと山を楽しむ山歩き。人それぞれだから、我らは決して急がない。 そういえば、我らよりもゆっくり、一歩一歩刻むように歩む若い女性山人がいた。結局、休んだり写真撮ったりする我らを追い越して、彼女は先に山頂に立っていた。その着実さに、これまた脱帽した。 |
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小朝日岳を目指す |
以東岳 いつも見る形と全く違うのには驚き |
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大朝日岳の雄姿 シンボルのY字雪渓 |
よくも歩いたものぞ・・・と |
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左から祝瓶山 大朝日岳 小朝日岳 |
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疲れきった身を最後まで癒してくれたのは、ノウゴウイチゴの実とアズマシャクナゲの花だった。 そしてなによりも、朝日山塊の雄大さに触れたことが今回の最大の収穫だった。次回は、ぜひ以東岳からの縦走を目指したい。 今回の企画・連行してくれたHaseさん、そして食料と炊事を賄ってくれたMikiさん、二人の元登山青年にひたすら感謝だ。 そういえば、大事なことを書き落としていた。小屋での夕食時、Haseさんが大事に大事に背負ってきた、たった1本のビールを3人で分け合って飲んだ。あれは心底うまかったなー。 それに、下山しての朝日鉱泉で、車運転のため麦茶を飲んでいたHaseさんの目の前で、Mikさんと二人、ついついビールを思い切り飲んでしまったこと。Haseさん、ごめんなさい。 |
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