山歩紀行

朳差岳 1636.4M  頼母木山 1730M  新潟県関川村・胎内市 
人と交わり、草木と交わり、山気と交わる    
そんな山歩きの楽しみを綴ってみた
2012年10月8~9日 朳差岳から頼母木山
             物思う秋の飯豊稜線歩き




  朳差岳ひとり占め
天気予報を狙い定めてこの日、念願の朳差岳に登った
3連休の最終日ということで下山する人ばかり
朳差の小屋にも山頂にも、人っ子一人いない静かな静かな山
山頂から西俣川に向って頭を垂れ、夏に事故死されたY氏を悼む
ただ登るのもいいが、何か一つ楽しみを持って登る方がもっといい
と教えていただいたのは数年前
事故の半月前の宴席では、年をとってからの山の楽しみ方を聞いたばかり
山頂で一人、大先達の言葉を偲ぶ
足元には新発田市の灯り、東港の水面に夕焼が照り返している
日が落ちて、頭上には満天の星、北極星とカシオペアが山頂のすぐ上、手が届くほどに近い

10/8 17:42 朳差小屋の前から新発田市の夕景

7:06 朝日射す彼方に飯豊の稜線が見える 

10/8朝6:30 足の松尾根取付から入山
御用平のブナ林を味わう間もなく
いきなりの急登が始まる
下山してから知ったのだが
この日の午後、この登山口近くで
滑落事故があったらしい
8月には滝見場で滑落があったとか
山はいずこもそうだが油断できない 
緊張感を2日間持続させなくては
特に単独行となればなおのこと
もっとも、緊張感のない毎日を
送っているからこそ
こうやって、それを求めて山に入るのだが  
大石山から朳差岳は約2時間、晴れていれば朳差山頂で多少時間を費やしても、Uターンして頼母木小屋に泊まることも十分可能な時間だったが
その朳差のガスが晴れそうもなく、これでは、我が家のあたりの写真撮影も不可能
今夕か明朝の晴れを期待して、朳差小屋に泊まることにし、ゆっくりと名残の花などを撮りながら鋒立峰を越えた

8:15 滝見場 

10:02 尾根の右手に二ツ峰 何やらマチピチュにも見えてくる 

10:43 大石山到着 鋒立峰の向う朳差岳は濃いガスの中  

ハクサンイチゲ

タカネマツムシソウ

イブキトラノオ  
 
ミヤマアキノキリンソウ 

ハクサンフウロ 

ミヤマキンバイ
 
ミヤマクルマバナ
 タカネナデシコ
 
ヤマハハコ 
  
トリカブト

ハクサンフウロの紅葉
朳差の紅葉はまだ始まったばかり 
鋒立峰の斜面で
岩の形と紅葉の組合せが面白くて 

タカネスミレ 

タカネマツムシソウ 

13:50 朳差岳避難小屋到着
その後ろの朳差岳山頂は、まだガスっている   

小屋に着いて、ガスが濃くならないうちにと
まずは、水場に急いだ
5分下ると小屋の看板にあったが、8分かかった
上りはその倍くらいか
かろうじて水は溜まっていて助かった

朳差岳山頂へ
三角点の上に、まだギンギンに冷えている500mlのビール缶

前方は、北の方向、前朳差岳方面
この方面、我が家のあたりだけ、ガスは全く晴れない
1時間ほどビールを飲んだりしながら山頂で粘ったが
ガスはどんどん濃くなるばかり

ま、いいさ、来年は東俣コースでまたエブリに来よう
いい山には何度でも来るさ
などと、つぶやきながらすごすごと小屋に戻る

日没後はガスもすっかり晴れて、関川村とおぼしきあたりの灯りも見え、山頂の上には手も届くかとばかりの星がきらめいていた
ご来光を期待して早めに床に就き、5時前の朝焼けを見て、山頂に駆け上った・・・が、どういうわけか、雲がどんどん湧いてくる
Haseさんの笑顔が雲に重なる
うーん、やっぱりな、だめか
寒さを堪えて山頂で小1時間ばかり待機、すぐそこの小屋も見えなくなるくらいのガス あきらめきれず小屋と山頂を2度往復
朝食を摂っても状況は変らず、ついに諦めて、身支度して7:14小屋を出る
十数メートル歩いて、カメラの電池が残量少なくなっていることに気付いた
朝露でびっしょり濡れた草の上にリュックを下ろすのもおもしろくないので、小屋に戻って、電池を入替えた
再び小屋を出ると、なんと、ガスがきれいに晴れていて、山頂もくっきり青空の下
カメラだけ持って山頂へ走る
人の心と秋の空・・・・、これだから山はドラマだ    

14:28 朳差岳山頂
 
新発田方向の夜景 西方向 10/8の18:21 

翌10/9の4:56 黎明、東の米沢盆地方面

5:32 地神山 朳差山頂との間に雲が浮かぶ     
 
山頂から、まずは135mmの望遠で我が家のあたりを狙った
何とか撮れている
300mmのレンズを持って来ればよかったと悔やまれたがそれもまた、次回のお楽しみということにしておこう

右の写真は、下山したこの日の夕方、上の写真の中心の辺りの位置から朳差岳を撮りかえしたもの  あの頂に立てたことがうれしい 

雲海は小国盆地 その向うに朝日連峰
 左端以東岳その右に淡く月山

結局、8時過ぎまで山頂で展望を楽しんだ

朳差からの戻りに、18歳の夏にこの道を歩いた自分の足跡を改めて辿ってみた
大熊小屋から朳差に上がり、鋒立から大石山までのアップダウンでへばってしまった苦い思い出
この日、改めて分かったことは、大熊尾根ルートは朳差山頂を通ってはいなく、山頂下で東俣のコースと合流し、小屋の横を通って大石山へ向うこと
ということは、先を急いでいたあの日、朳差の山頂には上がっていなかったのかもしれない

およそ半世紀近くも前のことで記憶は朧ながら、朳差からの展望は、全く覚えがないのはそのためか 

荒川流域の関川盆地
 その向うに新保岳の山塊と三面川流域の平野  

朳差山頂に自分の影を映す
 右に権内尾根 左下に大熊尾根 

朳差山頂から地神山 その後ろ北股・本山方面は雲の中 

朳差岳~鋒立峰~大石山のアップダウン

 中央奥の平らな山が頼母木山頂
大石山に戻ったのが10時少し前
頼母木山から来た人が、紅葉がすばらしかったと言う
それではということで、頼母木山を目指した
行ってみると、頼母木山から地神山にかけての紅葉は、確かに素晴らしかった
行き交った人が言うに、飯豊の紅葉は朳差のが一番なのだが、今年は遅れていて、今は頼母木山の紅葉が一番だと
まさに、まさに
以下、頼母木山の紅葉をたっぷりとどうぞ






15:30に足の松尾根取付に下山したら、乗合のタクシーが待機していて、ありがたいことにすぐに発車してくれた
奥胎内ヒュッテで入浴して帰宅
これが、このルートのありがたさ、人気の秘密

とまれ、今年も飯豊連峰に2度登ることができた
来年は、本山~大日岳を狙いたい
それに今年雨天中止となった石転び雪渓登りも
そして、東俣の地元ルートで朳差のお花畑もと、なかなか欲は尽きない

いつものメンバー、岳人Haseさんと岳人Honjunさんは、今回都合つかず不参加
とりわけ、7日が晴れれば参加できたはずのHonjunさんは、一日ずれたことで残念無念と、山頂で想いのこもったメールを受けた
次また3人で歩ける日を楽しみにして

頼母木山手前の西側斜面 

頼母木山東側の斜面

日が照ると一層鮮やかに 

夏にテント泊した頼母木小屋

頼母木山頂から望む地神北峰と地神山 遠くの三角は北股岳か 

頼母木山頂から倉手山を見下ろして

頼母木山頂のモミジ 青空に映えて  
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