八ヶ岳 '14.6.29
  山歩紀行 2015

 人と交わり、草木と交わり、山気と交わり
それら一瞬の表情を写真で切り取る楽しみも広がって
単独行もいいし、仲間とならなおいい
そんな山歩きの楽しみを今年も綴ります

白山 '14.7.21
 
    2015年10月19日 紅葉真っ盛りの九重山
   久住山1786.6m 中岳1791m 天狗ヶ城1780m 大分県九重町・竹田市 

10:43 久住山山頂の眺望 眼前に阿蘇山の噴煙 

13:48 星生山に連なる山腹 まさに燃えるような紅葉

<ルート>
牧の戸登山口 7:45-8:25 沓掛山-9:25 星生山分岐-9:43 久住分れ10:07-10:41 久住山頂 11:45(中岳へ)-12:03 稲星山分岐-12:14 避難小屋-12:21 天狗ヶ城分岐-12:26 中岳山頂-12:40 天狗ヶ城山頂-13:09 久住分れ 13:14-14:32 沓掛山-14:57 牧の戸登山口

6:20 九重山の麓にベースキャンプ 正面に硫黄山の噴煙

各地点の様子など、詳しくは
YouTubeにスライドショーでUPしてあります。
 →こちらから どうぞ


芹洋子が歌い一躍名をはせた「坊ガツル賛歌」。この歌によって、九州・九重連山は登山人の憧れの地となった、というのは言いすぎだろうか。少なくとも、Keynさんと私には当てはまるのだが。

念願のその山にようやく来ることができた。
6月のミヤマキリシマ盛りの頃がベストで、前々から計画だけは練っていたのだが、中々そうはいかず、この時期になった。
Margoの運動会応援見物に合わせて、京都から一気に足を延ばしたというわけだ。

九重連山の主峰は久住山、どちらもクジュウで紛らわしい。
九重連山を東・南側から見ると主峰の久住山がよく見える。だから麓には久住町があった(現在は竹田市久住町)。
一方の西・北側からは、久住山は見えず九重の山々が連なっている。だから、北西麓の町は「九重町」と名付けた。
九重町ができたとき、既に久住町はあったという。だから、九重町の方は混同されるのを避けて「ここのえ町」と呼ぶことにしたという。
九重(くじゅう)山の麓の九重(ここのえ)町、知らずに読む者にとっては、なんともややこしく、また不可解だ。
だから、我こそ正統の九重(くじゅう)町と言い張ってもよかったようなものだが、そうはしなかった。
なんとも奥ゆかしい話で、町民の穏やかさに惹かれた。

その九重町のキャンプ場オートサイトに3泊して、4日間行動のベースキャンプにした。
行動予定は、久住山に、由布岳に、阿蘇山。天候具合によってその日の行動を変えるには、ほぼ等距離にあるここの「やまなみキャンプ場」をベースにするのがいいようだと見当をつけておいた。
大分県設置の民間委託ということで、所員は親切だった。
平日なので貸切状態、どんな大声で歌っても迷惑はかからない。と言っても、もちろん歌など唄わず、静かに過ごしたが。降り注ぐ星と鳥か獣の遠鳴きの声が最高のご馳走。
もっとも近くを走る「やまなみハイウェー」の車音が結構響いて、賑やかにしてくれてはいたが。

さて、九重山。
平日でも高齢者の登山人でいっぱい。もちろん若い人もいたにはいたが。
Okkaaも楽に登れたくらいだから難易度は低い。コースタイム+1時間もみれば、ゆっくりと山を楽しめる。
真っ青な空、真っ赤な紅葉の山腹、荒々しい岩の火山風景、変化に富んだ山で、老若男女、堪能できる山。人気があるわけだ。

久住山頂の眺望は、また、格別だった。足下には阿蘇の外輪山が広がり、薄くたなびく雲の上に阿蘇山、祖母山。遠く幽かに雲仙岳。三俣山と天狗ヶ城の間から、明日登る予定の由布岳。双耳峰の特徴ある姿は、登山の間中、どこからも際立って見えていた。
人気があるわけだ。
Okkaaも大満足。こんな笑顔は見たことがないというほどの状態。

山頂で約1時間休息の後、Okkaaと別行動をとった。

せっかくここまで来たからには、九州本土最高峰の中岳に敬意を表さずに帰るわけにはいくまい。
それに、Keynさん憧れの「坊ガツル」は、中岳に登らなければ見ることができない。
本来なら、坊ガツルまで下り、賛歌が生まれたという山小屋なども見て、Keynさんに伝えるべきなのだろうが、日程とコースからそれは無理。せめて、中岳から坊ガツルの写真だけでも撮ってKeynさんに見てもらわなければ・・・と、単独で中岳へ向った。
中岳、天狗ヶ城と火口湖の周りを回り、久住分れでOkkaaと落ち合うことにした。

太古の昔、どれほどの噴火を繰り返したのやら、何処もかしこも無数の火口の跡のよう。今も、三俣山と星生山の間の硫黄山はガスの噴出で立ち入り禁止という。
麓には至るところに温泉の蒸気。
まさに活火山。
恐る恐る上がらしていただいている。どうぞ、ご機嫌麗しくと。

久住山頂からゆっくり下山したOkkaaが、久住分れで少々休憩をとっている頃、火口湖の御池をぐるっと回った形で合流した。

そこからは、朝来た道を引き返す。
さてさて、午後の陽を受けて、朝見た紅葉が一段と照り映えていたから、たまらない。
ため息と歓声の連続。
「すごいですねー」と声が飛び交う。まさに絶景のときに来合わせた僥倖。
これがミヤマキリシマの頃だったら、どんなだったろうか。などと、つい欲が出る。
これだけの紅葉光景で満足すればいいものを。欲望には切りがない。

それにしても、西国の紅葉は、とりわけ赤味が強いような気がしている。たまたまなのかもしれないが。

15時に下山して、キャンプ場を通り越して町に下り、日本一だという九重町の大吊橋を見物した。
控え目な町にしては、とんでもない吊橋を作ったものだ。
歩行者専用の観光用に、数億円の橋。いやはや驚いた。
が、結構雇用の場になっているようだ。奥ゆかしい町、なかなかやるもんだ。

さらに下って、九重町の中心部のスーパーで食材を買い、帰路、やまなみ牧場で入浴。キャンプ場で割引券をもらっていた。
この辺りは、牧場でも何でも、温泉が吹き出ているようだ。
冒頭の町名の話は、ここの湯番のオヤジさんから聞いた話。
そういえば、食材を買ったスーパーも、経営者らしいオヤジさんが自ら店番に当る何とも素朴な店だった。

そんなこんなで、ベースキャンプに戻るのがすっかり遅くなった。
所員の方は、大変心配したらしい。前日、明日は妻を連れて久住山に登ると伝え、登山道など教えてもらっていたものだから、無事下山したのかどうかと、帰路途中に電話が入った。
温かいご配慮に、感じ入った。

九重(ここのえ)町、とにかくいい町でした。

8:25 沓掛山山頂 その先は、紅葉の稜線道が続く

8:30 越えてきた沓掛山を振返る ハシゴ場のある岩の道

8:36 平坦な高原の道 ススキが踊り、山肌が赤く染まる

9:40 左下が久住分れ 右上が久住山

10:32 久住山へ登る 荒々しい火口の跡がそこかしこに

10:44 久住山山頂

山頂から、黒煙上がる阿蘇山をアップで 

遠く連なる右端が祖母山か

12:15 御池と天狗ヶ城 目指す中岳はその右手前

12:21 九州本土最高峰の中岳

12:27 中岳山頂 眼下に坊ガツル 山小屋も見える

中岳山頂から 御池の右が天狗ヶ城 左正面が久住山

12:48 天狗ヶ城を下る途中 左に中岳 右に久住山

13:40 扇ヶ鼻の分岐で、紅葉を愛でる登山人たち

登山人の視線の先に、この光景が続く

ススキが踊り

谷間が燃えて

全山紅葉 

14:35 沓掛山の岩稜に立って九重の紅葉の見納め 

14:47 眼下に登山口の駐車場 下山間近
   
16:13 九重”夢”大吊橋 
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