八ヶ岳 '14.6.29
  山歩紀行 2015

 人と交わり、草木と交わり、山気と交わり
それら一瞬の表情を写真で切り取る楽しみも広がって
単独行もいいし、仲間とならなおいい
そんな山歩きの楽しみを今年も綴ります

白山 '14.7.21
 
    2015年10月31日 錦織なす吾妻耶山
   吾妻耶山 1341m  三角点山頂 1322.7m  群馬県みなかみ町  

13:41 紅葉は、午後の陽を浴びて一段と鮮やかさを増す

13:55 仏岩 往きに通って感歎したのだが、帰りの紅葉にはなお敵わない

<コース>
仏岩ポケットパーク登山口7:48-8:30仏岩8:46-10:35山頂12:13-12:28三角点12:35-13:56仏岩-14:19登山口に下山

YouTubeの画像で、吾妻耶山の紅葉をたっぷりとどうぞ
  →こちら


7月の岩手山以来、ほぼ4ヶ月ぶりに会の山行に復帰したJunjyさんは、今回、2万円もしたというレーキの高級ストックを新調して持ってきた。
70の大台に乗っても、まだまだ山は諦めてないぞと無言の意思表示。その心意気や、よし!!
靴底も張り替えたという。以前のスリップダウンは、磨り減っていた靴底のせいだと言い張る。
真実に目を背けているのは玉に瑕だが、あの満面の笑顔で戻ってきた。道すがら、山はいい、山はいいな~と、繰り返し呟いている。

多分、Junjyさんの復帰を祝ってくれたのだろう。吾妻耶山の紅葉は素晴しかった。
Okkaaなどは、九重山のあの紅葉を見てからは、我家の周囲の山の紅葉など、どこかドンケないなどと生意気なことを言っているが、どうしてどうして、そんなことはない。
山には山それぞれの紅葉がある。

吾妻耶山のそれは、紅、赤、朱、橙、黄、黄緑・・・と、微妙な色合いを精緻に織り込んだ錦織そのものだ。
私の拙い表現力では、言葉で言い尽くせない。写真で汲み取ってもらうしかない。


それはそれとして、吾妻耶山、不思議な魅力をもった山だ。

まず、その名。
高名な四阿山もアズマヤサンで紛らわしいが、その山も群馬県側では吾妻(アズマ)山と呼ぶ。
それと別に、福島県にも吾妻山がある。
あのヤマトタケルが、オー、我が妻よ~、と泣き喚きながら長野、群馬、福島の一帯を駆け抜けた名残かと思えば一段の趣もあるにはある。
しかし、別な想像ももつ。
タケルは、猛る。オー、東(アズマ)を早く平らげよ~、アズマハヤーと、猛りまくるヤマトの覇者を思ってしまう。長野、群馬、福島の一帯を駆け抜けた旋風の如きタケルの軍団、こちらの方が真実に近いのではないか。
何が我妻よ~だ、軟弱な。

それはそれとして。
昨年5月の谷川岳からは、吾妻耶山がよく識別できた。台形状の目立った山だった。
今回、来て見て分かった。
柱状節理の大岩壁の上に山頂台地が広がる、テーブルマウンテンだったのだ。
その大岩壁の谷間に立つと、柱状節理が風化して、立方体状の大石になって崩れ落ちている。
まるで、豊臣秀吉か徳川家康の命令で切り出した石垣用の石を運び残したかと、あらぬ想像まで抱いてしまう。

その上、三角点のある一方の山頂の地形がまた興味深い。
V字形に抉られた溝が連なっている。山城マニアから見れば、これはどう見ても山城の空堀跡だ。本丸と思しき郭の草叢は、心なしか段々に見えて、段切り跡のようにも思える。
しかし、よくよく考えるまでもなく、これだけの高地に城を設ける意味は薄い。三国峠からの街道と清水峠からの街道のちょうど中間位置に当るが、どちらからも離れすぎているし、赤谷越の山道を押さえるにしても、もっと麓の山城で十分だろう。
冷静に観察すれば、この溝は、二重山稜なのだろう。山の裂け目だ。

仏岩のUnqさんが登り上がった岩の割れ目といい、柱状節理の谷間といい、ここの二重山稜といい、割れ目マニアにとっては、ナントモハヤ、魅力的な地形の山だった。

山頂には、石の祠が三基ある。
一基分の石をここまで運び上げるだけでも大骨折りだったろうに、三基もとは。何とも念入りなことだ。
古来の日本の神は、あまねく人々に光を照らすような、ご都合のよい寛大さはない。神の意を信じ、命がけで交信を図る者に神意を下す。だから、他が信じる神の祠が隣にあろうとも、おのが信じる神を祀るための祠を別に建てる。それが古来の日本の民。

これほどの、風格と歴史と個性のある山が、何故に百名山に選ばれなかったのか。不思議でならない。選者の管見を疑いたくもなる。これはひねくれ者の一考。

吾妻耶山のブナの木は、まっすぐに伸びていた。積雪に虐げられる越後のブナとは随分違う。
そういえば、友人のYamaちゃんも上州育ち、すくっと真っ直ぐな快男子だ。
越後の風土が何代にもわたって染み付いている小生などは、どうも雪深い山のブナのように、相当いじけている。ま、多少の積雪には音を上げないだけのシンナラヅヨサだけは身上なのだが。

とにかく、今回は、Junjyさんの久々の復活と吾妻耶山の見事な紅葉にカンパイとバンザイだ。

8:31 仏岩の前で この後Unqさん独り中段まで登った
 登りついてはみたものの 

8:51 台形状のあの山が、吾妻耶山の山頂部

頭上の紅葉

足下の落葉

剥げ代る木肌 シャラノキか

大断崖 山頂台地はその上

10:35 山頂 大きな石の祠が三基

上越国境の山は雲 谷川連峰の万太郎山

左から武尊山 日光白根山 皇海山 画面右端は赤城山の裾

12:18 山頂台地の広い林を歩いて

12:27 もう一方の山頂の三角点を探すと

そこには、山城の空堀かと思わせる不思議な地形が

どうやら、二重山稜らしい

12:39 背後に山頂台地を形成する大岩壁

 12:42 その大岩壁の下へ  柱状節理らしい

12:44 まるで古城の石垣

13:13 先に行く人・・・丸い輪は、山ブドウの蔓か

13:15 後ろに続く人

13:40 紅葉に染まる林の中で

紅葉の中から吾妻耶山山頂を振返りつつ下る
   
16:03 新潟に戻ると一日中降ったらしい雨が上がり、虹
 ― ページのTOPへ ―