八ヶ岳 '14.6.29
  山歩紀行 2015

 人と交わり、草木と交わり、山気と交わり
それら一瞬の表情を写真で切り取る楽しみも広がって
単独行もいいし、仲間とならなおいい
そんな山歩きの楽しみを今年も綴ります

白山 '14.7.21
 
    2015年11月22日 晩秋の宝珠山  の~んびり山歩 
宝珠山 559m     新潟県阿賀野市・阿賀町    

10:06 山頂から 山並みに見入る山歩人(さんぽびと) 眼下に白く光る阿賀野川

9:25 白肌のブナの大木 虚空蔵山を越えた尾根道で

登山口7:34―8:25城山―8:45赤松山―9:45八咫柄山―9:58山頂11:34―14:09下山

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の画像で、晩秋の宝珠山をたっぷりとどうぞ
  →こちら

宝珠山(ほうしゅさん)は五頭連峰の南端にある。

登山口は幾つかあるようだ。今回は赤松山森林公園キャンプ場から。よく整備された森林公園で、晩秋の森へ踏み入る心地よさは、また格別のものだった。
このルート、結構起伏のある変化に富んだ尾根歩きを楽しめる。
最初のピークは城山。ここは赤松山城の城址で、山頂を越えると大きな空堀跡があった。中世安田城の要害とのこと。要害とは詰の城ともいい、非常時の立て籠もり用。安田氏は上関城城主三潴氏の所領没収事件にも関わっている。詳しくは上関城四百年物語で。
次は赤松山。山頂にまるで臥龍のような大きな赤松。残念なことに枯れていた。まだ松ぼっくりが沢山ついて、最近枯れたばかりか。
そこから、虚空蔵山のピークに上がると、暫く尾根歩きが続く。
白い肌のブナの木がスラリと伸びていて、実に気持ちのいい山歩道が続く。
少々急登して稜線に出れば丸山小富士。
その名の如く眺望は抜群。阿賀野川が作った蒲原平野、遠く新潟市街、東港まで一望の下。
しばし眺望を楽しんで、すぐに八咫柄山。ヤタガラスを思わせる名に、一同首を傾げる。
帰宅して調べれば、咫(あた)は長さの単位。親指と中指を広げた長さとか。そういえば、鮎釣りでは、釣人みな、釣った鮎の大きさをそうやって測っていたものだ。
そんなことを思い出していたら、ずっと昔読んだ古代史の本まで思い出した。確か、咫は女性器の長さを基準にしたのだと。すごく固い本で、古代の女性崇拝の記述の一部だったように記憶している。
山上で思い出していれば、薀蓄を傾けることができたのに、惜しいことをした。
もっとも、赤松山城にあった主三角点が、いかに珍しいものであるか力説していたとき、皆、パンを食べるのに夢中で誰一人まともに聞いていなかった。非歴史的食盛人たちに、古代史のレクチャーは無理だったかもしれない。

さて、八咫柄山から、目の前に岩がゴツゴツと出っ張った目立つピークが見える。そこが目指す宝珠山。
一旦鞍部に下って、登りなおして宝珠山山頂に上がる。
山頂からは、眼下に阿賀野川と、その上流、福島県境へ続く山並み。遥かなる山々を思い、山歩人は、岩稜に佇みじっと見入るばかり。
宝珠山から北へ五頭山への稜線が続いていた。菱ヶ岳まで見えているかと思ったが、これまた帰宅後カシミールで調べてみると、見えていたのは野須張902mまでで、菱ヶ岳はその陰に隠れていたようだ。
下山後、連峰の麓を車で通りながら、見上げた宝珠山と菱ヶ岳の間は遠かった。あの稜線をいつかぜひ歩いてみたいものだ。

それはさておき、 山頂にはいつも憩いが待っている。今回は、鮭のチャンチャン焼き。5日ほど前Y先輩が釣上げた三面川の鮭。三枚に下ろして切り身にして担いできた。
4年前のやはり晩秋の高坪山以来で、久しぶりの山頂チャンチャン亭開業。あの時の同行5人中、現役の山歩人は2人。ついこの間だったようでもあり、随分昔のことだったようでもあり。

山頂で、いつものようにたっぷりとくつろいで、のんびりと下山した。
途中、藤蔓でブランコをした人もいたし、ミズナラとコナラの違いを何度聞いても忘れる人もいたし、笑いすぎてコケそうになった人、遠くの尾根上の木を見て山小屋だと言った人、チーム吾妻耶山、いつものように賑やかで楽しい山歩人たちでありました。

宝珠山は五頭連峰の南端、そこから南に下る尾根は、阿賀野川で断ち切られる。反対方向、北に続く尾根は菱ヶ岳、五頭山、金鉢山へと続き、その先登山道はないようだが、真木山からの長い尾根が加地川に下る。
これが五頭連峰。その尾根筋を地図上で粗く辿ると21kmにもなる。
それで、山歩中話題になったのは、なぜ五頭山脈と言わずに連峰と言うのかと。
すぐ近くの櫛形山脈はほぼ15kmにしかならないが、日本一小さな山脈として名高い。
連峰と山脈の違いは何か。難しいことを言い出したのは一体誰だったか、定かではない。

これもまた帰宅してからだが、少々調べてみた。
結論から言えば、まず、山脈と連峰の語は使用分野が違うということ。山脈はれっきとした地理用語。連峰は一般用語。
では次に、五頭連峰が五頭山脈でない理由はなにか。
地理では山脈と山地を意味区分する。山地は地殻の突起部の集合体で、山脈は特に著しい脈状の山地のこと。
五頭連峰は、越後山脈の中の飯豊山地に含まれて、独立の山脈とはみなされていない。
そこで、二万五千分の一地図をよくなぞって見た。
すると、櫛形山脈は、胎内川と加地川の分水嶺の最低地点が標高100m以下、確かに二王子岳の山系とは分離している。
片や五頭連峰は、加地川と阿賀野川の分水嶺の最低地点は標高200m以上で、蒜場山から飯豊山系に繋がっている。それで、飯豊山地に取り込まれ、独立した山脈にはなれないというわけだ。

また一つ勉強になった。山は登ってよし、下ってよし、帰ってからもまたよし。頭も身体も活性化する。
活性化といえば、どういうわけか、山に登った後は、身体が軽くなって、走るのも快調になる。
Unqさんも、新潟マラソン、新発田マラソンと立て続けに自己ベストを更新できたのは、9月末の栂海新道を歩いたお蔭だなどと言い出している。
かつては、ランニングは登山に効果あるが、その逆はないと言い切っていたのだが、あっさりと自説を引っ込めた。
テント泊の重荷を背負って長いアップダウンを幾つも越えることと比べれば、平らな道を荷物なしで走ることぐらい、へでもないと。
当方は、まだまだへでもない境地には程遠いのだが、それでも、山に登った後の走りは随分と軽やかになる。いつも何故だろうと不思議に思っている。
関川どーむで陸上総監督のFさんにその話をしたら、それは、空気が薄いからでしょ、高地トレーニングになったのでは、とニヤリ。
さすが総監督、ご名答かもしれない。調子に乗って、総監督と二人並んでダッシュを5本やったら、翌日、足の痛いこと。

それはそれとして、宝珠山。
朝、我らと前後して登った人たちも何人かいたし、下る途中では少なくない人数の登山人に出会った。老若男女、それぞれに手ごろな山で、なかなか人気のあるスポットのよう。
まだまだ雪の降る前、木の葉も落ちて眺望抜群、お薦めです。

7:39 晩秋の森に踏み入る えもいえぬ心地よさ

8:25 城山(赤松山城址) 中世安田城の要害(詰の城)

頭の角が丸い主三角点 明治時代旧農商務省山林局設置

シャラノキか 吾妻耶山以来この木肌が気に入っている

9:40 丸山小富士からの眺望 阿賀野川の蒲原平野

遠く新潟市 左に県庁 中央右寄りに万代島のランドタワー

9:48 八咫柄山から見た宝珠山頂 右方に大蛇山・野須張

10:02 宝珠山頂の地蔵 その遥か先に日本平山があるはず

山頂に憩いあり 今回は鮭のチャンチャン焼き

11:32 名残惜しくも山頂を下る いつも後ろ髪引かれる思い

古希のブランコ 下山路で遊ぶ山歩人の笑顔

白肌のブナの木にそっと寄り添ってみる山歩人

カマツカの実だろうか 晩秋の山を彩るくれないの色

こちらは、コマユミかツリバナか 晩秋の遅い紅葉

笑い転げながら下る山道 まだまだ箸が転んでも笑う若さ
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