八ヶ岳 '14.6.29
  山歩紀行 2015

 人と交わり、草木と交わり、山気と交わり
それら一瞬の表情を写真で切り取る楽しみも広がって
単独行もいいし、仲間とならなおいい
そんな山歩きの楽しみを今年も綴ります

白山 '14.7.21
 
    2015年4月25日  2年ぶりにミドリ萌える光兎山へ
             光兎山 966.5m  新潟県関川村
                         ↑ 山名クリックで、地図表示 

14:00 虚空蔵峰まで降った頃、やわらかいミドリのブナ林に午後の穏やかな陽が射しこんで

<本日のコース>
7:12登山口-8:08分岐-8:21虚空蔵峰-9:12観音峰-10:20雷峰-11:26山頂12:30-15:34下山

8:17 1月に登った虚空蔵峰へ、今は緑の季節

行程中の各地点の様子や花の画像は
  YouTubeにUPしてあります。
   →こちら からどうぞ。


毎年春や秋には登っていた光兎山だが、昨年1年は、どういうわけか休んでしまった。
今年はどうだろうかと声をかけたら、中には、体力的に不安だと言う者もいたにはいたが、途中まででもということで、喜んで馳せ参じてくれた。

登り口での記念撮影には、皆、とっておきの笑顔で写っていた。

この時期の光兎山は、期待に違わず、爽やかな柔かい緑に包まれていた。
ブナの樹林には清々しい春の風が吹いていたし、梢越しに射しこむ陽の光は暖かかった。
少し標高が上がれば、雪消え直後の花々が咲き乱れていて、目を和ましてくれた。

スケータのように舞うカタクリに出合ったし、


珍しい白花のカタクリにも出合えた。

今年は、我家の山林でも十数年ぶりかで白花のカタクリを見たが、光兎山では初めて見た。
地元のUnqさんですら見たことがないと言うくらいだから、ホントに珍しい年なのかもしれない。

日頃、運動不足らしいNaruさんは、雷峰の峰上で「久しぶりに大汗かいたら、気分は青春だ!!」などと、大満足の様子。
やっぱり、山はいい。

ノンアルビアで、今は亡きHikaさんの分も含めて山頂乾杯をし、さて下ろうかという頃、関川村の村長さんが一人上がってきた。
いい機会なので、女川対岸の山座同定をしたくて尋ねたところ、どれどれとばかりにザックから地図とコンパスを取り出し、詳しく説明をしてくださった。
お蔭で、来るたびに曖昧だった元光兎と湯蔵山と横松の三座を同定できた。

これまで何回か指差しで教えてもらっていたのだが、その度ごとに指の方向が多少ずれて、結局曖昧になっていたのだ。
村長さんの地図には、光兎山頂から放射線状に方位線が書き込まれていて、そこにコンパスを載せると一目瞭然。

最も名前のよく出る湯蔵山は意外と目立たない低い山で、最も高い横松と、これまで全く勘違いしていた。
なぜ、湯蔵山にこだわるかというと、実は、我家のあたりからも峰と峰の隙間から、反対側からの湯蔵山が見えるのだ。
その湯蔵山を含む三山の峰には、江戸時代まで、出羽街道の一つが通っていた。
その昔、対岸の7、800mの峰の上を旅人たちが行き交っていたと思うと、往時の人たちの脚力やエネルギーが偲ばれるし、何よりも、その当時の人々の都合ということを想像するのが楽しいのだ。

多分だが、女川流域に住む人々にとって、荒川本流筋の出羽街道は他地域、他の勢力圏。そこを通ることはよそ者視されたのではないだろうか。
今から6,70年前ですら、地域の排他意識はかなり強いものがあったから、まして、藩政時代ともなればなおのことだったのではないかと思われる。
そんな肩身の狭い思いをするくらいなら、800mの山道でも、自分の地域を通る方がよっぽどましというものだろう。

以上はひねくれ者の推測。
実際は、そんな難しいことではなくて、大河荒川の水流を渡ることから比べれば、800mの山道はまだ楽なものということなのかもしれない。

いずれにしろ、古の人々が歩いたその峰の道を、いつか辿ってみたいと思っている。
村長さんの話では、横松の峰上には番所があったというし、湯蔵山には郭の跡があるという。


そのことはさておいて、ホントに久しぶりのロートルたちの光兎山、2年ぶりに会ってみれば、皆、変らぬ笑顔、変らぬ駄弁、賑やかで和やかで楽しい山歩となった。

加齢で自信を失いかけていたJunjyさんも、お蔭で自信を取り戻したようだ。
連休には、しぶっていた飯豊でもどこでも行くことにしたと、翌々日のメールに書いてあった。
何があったのかと、Unqさんは訝しがっていたが、なに、光兎山が自信を与えてくれたのさ。

光兎は、脚力のバロメータ、やはり少なくも一年一度は登っておくべき山だ。

2年ぶりのタマも、今回は山頂居眠りもせず、我らと同様老齢期に入っている割には元気だった。日頃からテニスで鍛えている飼い主のHaseさんと、アンチエイジング・トレーニングをしているのに違いない。そんなふうな体形だった。

唯一現役人のMikiさんは、最近の体力劣化を自覚してか、元山岳部員に似つかわない極小ザックを背負ってきたが、さすが、コンロやら何やらは、ちゃあんとその極小ザックに詰めていた。それに、相変わらずの笑顔は前にも増して絶品だった。

Mikiさんに、ランニングのアンチエイジング効果を吹聴しておいたから、そのうち始めるような気配が伝わってきた。
おっと、くれぐれも底厚の上等の靴で始めるように、しかも専用の中敷を入れるようにと、言い添えるのを忘れていた。

ランニングの効果は絶大だ。我が国の将来は一億総Run運動の展開にかかっているような気がしている。せめて山頂で、村民ソーラン(総Run)を村長さんに提言しておくべきだったか。

9:01 観音峰へ向う途中、一部に残雪の道

9:09 残雪と芽吹きと新緑と、絶妙の配色

9:30 イワウチワの群れ咲く道を行く

10:13 カタクリの群れ咲く坂を登る

10:20 第一目標の雷峰に到着  満足!満足!の表情

10:44 今はイワナシの花の頃  まだ蕾も多く

10:55 ヨ平戻しの頭から 山頂まであと僅か

11:28 山頂で、2年ぶりの登頂記念撮影

12:09 山頂観望  すぐそこに見える頭巾山にはまだ未登

12:17 女川対岸の山座同定、そこは古の出羽街道

14:42 緑に染まる虚空蔵峰を下る

14:54 分岐で、光を透かすムシカリの花を見た

15:55 下山後帰路の道中から見た山頂、左の雪形がもう間もなくすると跳ぶ兎になるのだという
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