綿野舞(watanobu)山歩紀行2017
 
 6月24日 沢登り 密藪漕げば 河原宿
鳥海山2236m 山形県遊佐町・酒田市  地理院地図は→こちら
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鳥海山、滝ノ小屋の先は厚い雪渓で、その上を辿るとやがて雪はなくなり大岩ゴロゴロの沢登り、それも行き詰って夏道へ出ようとすると根曲竹の密藪漕ぎ。沢も藪も、どちらも百メートル足らずの間なのですが、その難儀なこと。めったにできない経験でした。
渡辺伸栄watanobu 
ここで紹介しきれなかった鳥海山の様子や花々などを
YouTubeにUPしてあります。→こちら
 
滝ノ小屋の上部、白糸の滝も雪に覆われている。向かって左側の細い雪渓を登る人が見えて、その跡を辿る。夏道はそのさらに左側にある。 
雪渓が河原宿まで続くことを期待したが、雪は途切れて、沢登りになった。やがて岩が大きくなり淵も深くなったので、ここから左の藪を漕いで夏道に出ることにした。 
根曲竹の密藪は、入ってみると予想以上に手強い。両手で泳ぐようにして漕ぎ分け進む。そうしながらも、手にはしっかりとタケノコ。その夜、キャンプ地で焼肉と一緒に焼いて食べたら、そのおいしいこと。転んでもただでは起きない登山人たちでした。
ようやく夏道に出て一息。沢登りと藪漕ぎでだいぶロスしてしまったようで、雪渓の半ばでとっくに追い越したはずの老登山人に、ここで追いつかれてしまった。途中に、雪渓から夏道への楽な逃げ道があったようだ。それにしても、この老登山人、ひとりゆっくりゆっくりと山を楽しんでいるふう。いずれ我もかくありたいものだと、しみじみ思う。置き忘れようとしたカメラとサングラスを注意していただき、感謝を込めて。 
河原宿に到着。老登山人はこの雄大な風景をたっぷりと楽しんで、ここから下山したようだ。我らは、ここから再び大雪渓を登る。只管単調な雪の上歩き。花はまだほとんどない。
薊坂の急坂を避け、文殊岳への迂回路を選んだ。尾根筋へ出たとたん鳥海湖が現れた。まだ厚い雪の湖を見下ろして、御浜の小屋の辺りに屯する登山人多数。その背後に青く日本海。
 
文殊岳の稜線に上がれば、そこは大火口の縁。麓に庄内平野、酒田の港も見える。視線を下ろせば、千蛇谷の雪渓を登って来る人の列。
大火口の縁、外輪山の稜線山歩。眼前に溶岩ドームの新山、そこが鳥海山の最高点2236m。右端奥に七高山、一等三角点があって2229.0m。噴火前はこちらが山頂だったとか、1801年の噴火で7m程高い新山ができたとのこと。
七高山の頂きで、登頂記念撮影。このあと恒例の登頂記念儀式、ビールで乾杯。もちろん、当方はノンアル。 
 
七高山から、眼前の新山の肩越しに微かに飛島が見えた。初めは海面との違いが分からず目を凝らしてようやくとらえた。まるで、航空母艦のように見えた。北の方に目をやると、水平線上、海に浮かぶ島のように見えたのは男鹿半島だろうか。南の方にも海に突き出た半島のように山影が見えた。まさか佐渡島ではないだろうから、あれはクラゲ水族館で名高い加茂の高館山だろうか。まるで庄内平野は大湾入しているように見えた。
外輪山の火口壁を下って、新山へ向かう道。行者岳からのルートは崩壊で通行止めになっているので、ルートは七高山のここからだけ。今は積雪厚く、一本道を登る。連休に登った大朝日岳の雪上一本道を思い出す。
左上が、新山の山頂。溶岩ドームの凄まじい迫力。ここから、七高山の方を見ると、大火口壁の断面が切り立っていて、それがまた凄まじい迫力。火山の底知れぬエネルギーを目の当たりにして、声も出ない。
 
下山は、伏拝岳から薊坂のルート。対面に笙ヶ岳、この辺りの残雪が最も多い。寒さのせいか、花の鳥海も春未だし、道端にミヤマキンバイやミヤマキンポウゲが咲いているだけ。それと、多いのはコメバツガザクラか。
滝ノ小屋の手前、八丁坂の終わりの藪の中にこの花、シラネアオイがきれいな色で咲いていた。見たのは、ここの一叢だけ。
 
下山して、麓の家族旅行村でキャンプ。翌日、玉簾の滝を見物してゆっくりと帰路についた。この滝、この高さからの落下にもかかわらず轟音も立てず、中々おしとやかな名滝だ。
 
<コースとタイム>  滝ノ小屋登山口駐車場発7:20-7:40滝ノ小屋-雪渓~沢~藪脱出夏道へ8:55-9:20河原宿-10:35分岐-11:32文殊岳-11:58伏拝岳-12:23行者岳-12:51七高山13:41-13:50分岐-14:08新山山頂14:17-14:30分岐14:35-15:03伏拝岳-15:27薊坂下り終わり雪渓へ-16:00河原宿16:07-16:50滝ノ小屋-17:06登山口着
 
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