綿野舞(watanobu)山歩紀行2017
 
 1月29日 雪山のスキヤキの湯気白飯豊
高坪山 570.4m 新潟県村上市  地理院地図は→こちら
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我家から朝な夕なに眺めている高坪山、570mの低山ながら手軽に雪山を楽しむには好適地。絶好天のこの日、山頂稜線から眺める佐渡島、粟島、遠く輝く朝日連峰、そして、テントの中からスキヤキの湯気越しに、飯豊の白き峰々が目の前に。
高坪山の山頂稜線から飯豊連峰の大展望。左に杁差岳、北股岳、その奥に大日岳へ続く稜線。右に二王子岳。左右の山塊をつなぐのは赤津山の尾根筋。杁差の左は地蔵岳か。画面からは外れるが左端には大境山、右端には五頭連峰と粟ヶ岳と白山。五頭と二王子の間には守門岳や日本平山などの河内山塊。居並ぶ山々をただ陶然と眺める。
その場にテントを張って腰を据え、たっぷり2時間強、スキヤキの湯気に温まりながら、飯豊の白嶺を大展望。なんとも贅沢な時間。
この日のスタート。高坪山から朝日が昇る頃、運動公園のグランドを凍み渡りして登山口まで歩く。凍てついたスプーンカットの雪面をスノーシューが刻む音。張り詰めた空気を切り裂いて、射し込む陽の光。なんとも爽やかな時間。
山頂直下の急斜面、ブナ林がこの辺りから始まる。冬は雪の白さのせいかブナの幹は少々黒ずんで、白い斑点が浮き上がる。そのブナの樹々の間を縫って、雪上を自在に歩く。雪面にブナの木と登山人の影が伸びる。なんとも心浮き立つ時間。
我らの後から上がってきた登山者にカメラをお願いして、山頂記念撮影。この日会ったのは、この方一人だけ。途中の休憩展望所から山頂まではトレースなし。山頂に、蔵王方面から往復した昨日のものらしい足跡一人分だけ。人が来ないのは、登山口までの車道が雪でなくなるためか。それにしては、なんとももったいないことだ。
木の間から覗き見えたのは朝日連峰の以東岳
山頂からの遠望、日本海を挟んで佐渡島。白い冠雪の大佐渡山脈。
そして、粟島。水平線が島の向こう側に見えている。
 
 山頂稜線にポツンと一つ置き忘れたか栗のイガ。
下山時、話の中で最近読んだばかりの「八甲田山死の彷徨」(新田次郎)を話題にして、ついで、その映画の話になった。
「主役の鶴田浩二が・・・」と私。
「違う違う、鶴田浩二ではない」とUnqさん。
言い張る私に同行の二人もUnqさんに加勢する。
「鶴田ではない、似たタイプの男優、近年亡くなった、ほら、あの人」
でも、三人とも、名前が出てこないと言う。
「ぽっぽやの主演もした、あの人。鶴田浩二ではなくて、ほらあの人」と。
「だから、ぽっぽやも、動乱も、主演した鶴田浩二だろ」と私。
「watanobuさんの頭の中に浮かんでいるのは、間違いなく、あの人。でも、名前は鶴田浩二ではない。ほら、あの人さ、う~ン、出てこない」と、Unqさん。
ほかの二人もUnqさんに同調するものの、不思議なことに三人とも名前が出ない。
この人たち、三人も揃いに揃って、何を言っているのだ?と、やむなく
「似たタイプで最近亡くなったと言えば菅原文太?松方弘樹?」
と、水を向けるが、「違う、違う」の一点張り。
簡単に自説を引っ込めないのは、根っこ張りという。
私もUnqさんも根っこ張りタイプ。高山植物の名では、いつも根っこを張り合って、Youmyさんにあきれられている。
Unqさんがこれまで出会った最強の根っこ張りは、佐渡島を能登半島だと言い張った先生だという。Unqさんが言うのだから、相当の猛者だ。
それはともかく、この日、ついにあきれ果てたYoumyさんがひとこと。
「せっかく持っているスマホで確かめたらッ‼」
 ・・・・・・・・・・・・・
検索一発で出た‼ 高倉健‼
三人曰く「それ、それ、その人、高倉健」
私曰く「あ、オレも思っていたのは、高倉健」
Unqさん曰く「だから、watanobuさんの頭の中には高倉健だと言ったのだ」
さすがと言うべきか、Unqさん、私の頭の中まで解明済みか。
これにて、一件落着。
それにしても、確かに、私の頭の中の映像は、まぎれもなく高倉健。
なのに何故、鶴田浩二なのか、どこでどう回路が入り乱れたのか、今もって不明。
当座を笑ってごまかしながら、これが七十路入りということか・・・・クワバラクワバラ、クワバラ村の村長さん・・・と、呪文をとなえるしかなかった私。
頭の中は、用もなく枝に縋りつく枯れた栗のイガ状態。
 
<コースとタイム>7:40運動公園発ー8:45登山口ー9:40休憩見晴所ー10:40山頂ー11:10飯豊連峰展望台13:24ー13:40山頂ー15:07登山口ー15:50駐車場
YouTube「里山の雪の峰から飯豊見ゆ」は→こちら
 
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