山の記 2020
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10月14日(水)  軍道の長井葉山でトレニング
長井葉山 葉山神社1216m 奥の院1200m 山形県長井市 地理院地図は→こちら
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山形県長井市の葉山は、直江兼続が敷いた朝日軍道の起点で、その痕跡が今も残る山として知られている。歴史マニアとしては一見の地。今月18日に村公民館の登山でここに登る。それで、今日は主管する我ら阿賀北山岳会の下見。我が会最強メンバー3人プラス最年長メンバー1名。先頭に立ったIke会長さん、飛ばすこと飛ばすこと。山は、6月6日光兎山の公民館登山以来だという。標準3時間のコースを2時間ちょっとのペース。どうやら久方ぶりの山行に気が勇んだか。それとも、背後のYoumyさんが、あのいたずらっ子の顔で追い立てて、それでムキになったのが真相か。4ヶ月のブランクをものともせず、ここで緩めたら会長の沽券にかかわるとばかり一気呵成に駆け登る。ナンダ?このペースは?と眉間にシワ寄せて追いかけるUnqさんと私。時々見合わせる、その顔に書いてあった。早くそっちが音を上げて!と。この場面で音を上げることのできるのは最年長の自分だけ!それはそうなのだが、歩には歩なりの意地がある。クッソとばかりについていく。顔から汗はボトボト、息は絶え絶え。途中の一服でUnqさんが配った一切れの羊羹に救われた。あれを思えば、意地など張らずに早々音を上げるのがUnqさんへの思いやりだったかな?オット、それを言えば次の山行、Unqさんもムキになる。それは一大事。だから、ナイショナイショ。とまあ、4人の下見はいつもこんなもの。山頂にはにわかに寒気がかかったらしく、寒さに震えながら、Youmyさんが担いできた高級牛の焼肉に舌鼓を打って下見登山無事終了。互いの意地の張り合いは格好のトレーニング。来年の本格登山シーズンがはや待ち遠しい気分です。
 渡辺伸栄watanobu
8時少し前、白兎口からスタート。肌寒くて一枚余計に着込む。先行のグループが一組。彼らも厚着だ。この車道を少し進んですぐに左折し、鳥居の下を通って葉山神社参拝路の急階段を上がることになる。
ハイスピードですぐに汗ばんできたので、30分ほど登ったこの辺りで1枚脱いだ。道に鮮やかな赤い実が下がっていたが、木の名前は難しい。
爽やかなブナ樹林の下を進む下見隊。道がこんなところであればカメラを向ける余裕もあるが、ほとんどは、只管汗する急斜面。ただ黙々と前へ前へ上へ上へ。
スタートしてほぼ1時間半。初めての眺望の効く峰に出て先頭のIkeさん、休みましょうかとおっしゃる。ハイ、休みまショ休みまショ。ここまで、上着一枚脱いだ時以外ノンストップのハイペース。対岸に白鷹山、その左に東黒森、西黒森の山。
Unqさんがザックから太い羊羹を出しナイフで切り始めた。東京羊羹、これをこうやって食べたのはいつ以来か。八ヶ岳で食べたのはよく覚えている。それと確か仙丈ヶ岳でも食べた。それからあと、どこかでも食べたような気がするが。とにかく、この羊羹の分厚い一切れで救われた。
ようやく尾根登りを終えて山頂に続く稜線に出た。標高は1100mを越え、さすがに紅葉の色づきが違う。途中でいつ足が攣るかと冷や冷やものだったが、なんとかここまで持ってくれた。これならもう大丈夫と、神経痛の特効薬でもちこたえている我が足に安堵。
稜線上の水場から眺めた下界。長井市から飯豊町につながる盆地の平野に散居集落。牧歌的な農村風景。ここの水は冷たくておいしい。
山頂葉山神社に到着。右の山小屋は葉山山荘と呼ぶらしいが、名前負けかな?ごく普通の避難小屋。神社に参詣してすぐに奥の院に向かう。
神社と奥の院の間にあった湿地帯。ほぼ草原になっているが、小さい池塘が2,3見えた。長井葉山という山は下界から見ても山の上が平らな長い山で、地図で見ても1200m前後の山頂稜線が10㎞ほど南北に連なっている。ここはその南の端に当たる。だから、この位置を葉(端)山と呼んだのだろうか。因みに北の端は頭殿山となっていて、南北両端に三角点が据えられ、北は1203m、南のこちらは1201mとなっている。南端の三角点から長い稜線を北へ2㎞ちょっと行ったところにもう一つ三角点があって、そこの標高は1238.8m、どうやらそこがこの長い山の最高点らしいのだが、そこを葉山山頂とはしていない。葉山はあくまでもこの長い山の南の端っこの部分を指して言うもののようだ。
奥の院に上がった。正面に祝瓶山が見えるはずだが、霞んで視界はない。葉山神社の裏手から大朝日岳に続くルートがあって、それが朝日軍道の名残りの道ということになる。この画面の右側の山がそのルートに当たるのだが、そこに1237mの標高点ピークがある。地図上はそこも葉山の部分に入るようなのだが、そこを葉山山頂ともしていないようで、結局、葉山山頂はどこなのか分からない。地図で見ると奥の院より葉山神社の位置が標高で10数m高くなっているので、恐らくだが、葉山神社の建つ所が葉山山頂なのではないだろうか。どうでもよいことのようだが、登山びとにしてみれば山頂を極めたのか極めないのかは大きい。
山頂はとにかく寒くて、奥の院には数分しかいられなかった。先行グループは寒い寒いと入れ違いにさっさと下山していった。我らは、山荘前の広場に陣取り、Youmyさんが背負ってきた高級牛で焼肉。前回の雁戸山山頂があまりに暖かくて、この時期の山を甘く見てしまった。寒いのなんのって。カッパを出して着込んだが、それでも寒い。八甲田山の雪中兵のように立って足踏みして暖をとりながら、牛肉の厚切りに舌鼓。
下山コースは朝日軍道の路。さすがに登った路とは違って広くなだらか。兼続が敷いてから400年は超えているから、もちろん、その後の整備によってこの状態が保たれている。山道は毎年手入れをしなければあっという間に廃れ、荒れてしまう。地元の保存手入れに感謝しつつ、とっとと下る。ノンストップの路。
これはギンリョウソウみたい。秋になると、こんなに頭を持ち上げてスクッと立ちあがるのかと、妙に感心。少年よ大志を抱いて空を仰げの図。
二人が見ている分岐の標示看板が面白い。金属の板に文字を、溶接かそれともハンダを溶かして書いたのか、浮き彫りになっている。なかなか他に見ない造り。右が軍道の路。
これはサンゴタケ。帰宅して後ネットで調べたら、まず間違いない。食用らしい。が、キノコは怖いからよほど確かでなければ滅多なことでは食しない。
車2台に分乗し、登り口にUnq車、ここ下山口にIke車を置いた。元々の計画は車1台で来て、ここから登山口までの5,6キロをUnqさんが走って車を取りに行くことになっていた。ならば、独りで走らせるわけにも参るまい及ばずながら小生もと、ランシューズを用意していた。そうすれば、我も我もとみんなで走ることになったかもしれない。荷を担ぎながらでは、ちと辛かっただろうな~。
兼続の朝日軍道は、ここ草岡を起点にして山に登り、葉山神社の後ろから大朝日岳まで稜線を辿り、朝日連峰の主稜線を通って以東岳に達し、そこから尾根伝いに山を下って庄内平野に出る壮大な道。止むにやまれぬ必要が生み出した道とはいえ、よくもまあ、高山の峰々を辿って軍隊の通れる道をつけたものだと、中世領主の腕力には恐れ入るしかない。
<コースとタイム>  白兎登山口発7:50-9:25標高930m地点9:35-10:24葉山神社-10:38奥の院10:47-10:58葉山神社下12:09-14:30草岡登山口着
 
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