荒川沿岸の風物、旅の出会いなど、折々に綴る      
    
綿野舞watanobuの
風物記 2016  
 
  
 3月6日 早春の上州路 観光バスの旅 

秋間梅林の春  ホトケノザ  ヒメオドリコソウ  待ちに待った花の季節

秋間梅林から妙義山遠望  薄紅色の花の彼方に異様な形の山が見えています

早朝 国道7号のバスの中から 飯豊連峰の朝焼け

いつもは登山でお世話になっている群馬県
今回は山行なし
御礼の気持で、観光に訪問

年に一度、阿賀北山岳会のお楽しみバス旅行
いつもは長駆の運転を引き受けてくれるUnqさんもIke会長さんも
このときばかりは、ビア缶を片手に朝からゆっくり
それについても、一同、気持だけながら心からの感謝デー

早朝の出立
飯豊連峰の空が焼けて日柱が立っている
なんとも、いい日旅立ちの予感

訪問地、まずは秋間梅林へ

秋間川と後閑川に挟まれた丘陵地の至る所に梅の木が植栽されていて、どうやら梅の実の産地らしい
その梅林農地を花の時期だけ、観光客に開放しているようだ
だから、昨年訪ねた偕楽園と違った素朴さがある
残念なことに、花の盛りの時期は少々過ぎたのかもしれない
梅園全体にあの馥郁たる香りが漂っているというような雰囲気ではなかった
今年はとにかく季節が早い
我家の山林の梅でさえ開花したくらいだ

それでも、花に鼻を近づけると、あの独特の甘い香りが匂った
その上、梅だけでなく、早春の花々も咲き始めていた
マンサク、サンシュユ
足下の野原には
ムラサキケマン、ヒメオドリコソウ、オオイヌノフグリ

ようやく、花にレンズの絞りを合わせられる時期が来た
それがうれしい

今回は山行なしとはいえ、そこは山岳会の一員
代表して、とりあえず丘陵の山頂部を目指して急ぎ歩き登り、
少々の藪山の中で標高357.6mの三等三角点を見つけ、一応の登頂を果たした

その位置は、→こちら

後からJunjyさんも駆けつけて、ロートル二人、見事山岳会の面目を施した

次は、信越本線横川駅へ
かつてであれば、関東と信越を結ぶ大動脈、その最大難所碓氷峠を越える為の一大基地の駅
それが今ではどうだ
本線とは名ばかり
秋間の大トンネルを抜ける北陸新幹線に取って代わられて
信越本線は、この横川駅で行き止まり
さぞかし寂れてと思いきや
駅前のドライブインは
横川駅名物・峠の釜飯を求める観光客で大賑わい
我らも、早速賞味賞味
使うあてもないままに、食べ終わった後の空の釜まで持ち帰って
大満足

さて、秋間梅林からこの横川駅へ向う途中では
バスの中から妙義山の異様な山容が間近に見えた

帰宅して地図をよく見れば、横川駅は妙義山の裏側
ドライブインの目の前に聳えていたのは、裏妙義の御岳
ここから丁須の頭、谷急山と裏妙義の岩峰が続く
一つ谷を挟んだその先には、相馬岳を中心とする妙義山
凄まじいとしか言いようのない岩の峰
これまで、上毛三山の赤城山、榛名山には登ったし、残すはあの妙義山一つ
これは、行かずばなるまい
もちろん、生死をかけての危険路はクワバラクワバラにして

釜飯弁当の後は、富岡製糸場へ
その賑わいには
世界遺産認定の威力まざまざ
引きもきらぬ人の波
土産物屋の活況
これでは、各地
世界遺産認定に躍起になるというものだ
商魂の圧巻は、「カイコの一生」と題されたチョコレート
本物そっくり
早速、Margoや同年齢の甥の子どもたちへ土産に買った
多分、食べれないで飾っておくことになるだろうと承知の上で

おっと、肝心の製糸場の話
ここは、明治新政府による殖産興業の最先端であることは歴史上つとに名高い
お雇い外国人の飲む赤ワインを見て、生き血を飲むと流言されたというエピソードも面白いし
富岡で働いた「工女」とその後の時代に哀史とまで言われた「女工」では、雲泥の違いがあることもなるほどと思う。
が、どうも文明開化・殖産興業の現場に立っているにしては違和感がある
それもそのはず、工場内にずらっと並んだ機械、ニッサンHR型自動繰糸機は、昭和40年代当時の最新鋭機で、全自動繰糸機の最高峰
世界中で使用されている機械とのこと
この機械で、昭和62年まで操業していたということで、つい30年前のこと、れっきとした現代のできごとだ
富岡製糸場イコール明治の遺物と思っていた当方の思い込みが違和感の原因だった
明治初期の建物施設を活用し続けながら、戦後の高度経済成長を支えた産業遺産というのが真実の姿だったということになる

見学者には小中学生も多いようだが、その辺りを整理しないと、思わぬ歴史イメージの混乱を来たすことが危惧される
商魂中心の遺産登録は考えものだと、歴史マニアはつい思ってしまう

さて、メカマニアの当方、最も感激したのは繰糸作業を完全自動化した機械のメカニズム
自動織機の発明が、その後のトヨタ自動車に繋がっていることは知っていたが、自動繰糸機がニッサン自動車に関係しているとは初めて聞いた
帰宅して少々調べてみたが、トヨタ自動車のように明確ではない
どうも、戦闘機で有名な中島飛行機の技術者やプリンス自動車が関係して、戦後、日産自動車の自動車以外の製品開発につながり、産業ロボットの開発にまで至るものらしい
ともあれ「技術立国・日本」を代表する製品
この細やかなメカニズムは、世界に誇るべきものであることは確かだ

見学前は、赤レンガの建物の中に、袴と高草履のマネキン工女が、襷姿で機械の前に並ぶ明治初期の再現場面などを想像していたのだが、まったく違った
百聞は一見にしかずだ


そして、本日の最終は、こんにゃくパーク
無料だと聞いて、こんにゃく料理バイキングの待ち列に立ち並び、バスの発車時刻を気にしながら大急ぎでパクついた
たかがこんにゃく工場が、こんなにも賑やかな観光施設になるものかと、いやはや驚いた

商魂、天晴れというべきか

秋間梅林の散策コース

阿賀北山岳会ご一行様 梅林は中々の賑わい

馥郁とは、この花のために用意された言葉のようです

黄色い花は、先ず咲くという マンサク 

サンシュユ 別名ハルコガネバナともいうとか

秋間から横川へ向う途中、松井田の辺り 妙義山の威容

世界遺産旧富岡製糸場内東置繭所 繭の保管倉庫

繰糸所内部 繭から絹糸を繰り出す自動機械が並んでいます

ニッサンHR型自動繰糸機 その仕掛けには、感嘆しきり

圧巻はこれ、「カイコの一生」 なんとチョコでした
     
      ― ページのTOPへ ―