綿野舞(watanobu)風物記2017
 
 1月14・15日 期待値と満足度とは反比例
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何か不思議な思いもするのだが、一度でも登った山は、「やぁ」と手を振り合う旧知の仲のような親しみを感じる。ここR49の道の駅「阿賀の里」から見上げた野須張もそうだ。画面右の最奥に微かに見えている山頂に立ったのは、もう一昨年のことになってしまった。今、見上げると、あんな山の奥までよくも行ってきたものだと、12月のあの雪中登山がなつかしい。多分、二度行くことはないだろう。そう思うと、なお愛おしい。
その駐車場に鍾馗様が立っていた。本当は、大牧の鍾馗様を見に行く予定だったのだが、大雪で山道はラッセル状態だろうと諦めたら、都合よくこの駐車場で参拝できた。
で、なぜ、阿賀野川の畔で野須張を見上げたり鍾馗様を拝んだりしているかというと、実は、この2日間、阿賀北山岳会の新年会旅行だったのだ。
某温泉地の青少年スポーツ合宿所を予約したと、事前に幹事さんから連絡があった。洗面・風呂道具、パジャマ持参の合宿。もちろん、料金がめっぽう安いからなのだが、そのために、登録年齢は×1/2にしてあるそうで、立ち居振る舞いに気を付けるようにと指示があった。
だから、私など、運動着に毛糸の帽子とネックウォーマ、サングラスのいでたち。階段で、「どっこいしょ」は禁句なのだが、どうやら、付き添いの保護者のつもりの人もいたようだ。
さて、蓋を開けてみたら、なんと温泉入り放題のホテル泊。食事も宴会並み、それでも料金は合宿並み。
行きの道々、どんな所へ連れていかれるのやらと戦々恐々のメンバー、終わってみれば大満足。どうやら、期待値Aと満足度Bとは反比例するものらしい。Aが高いとBは低くなる、もともとAが低ければBは相対的に高くなる。幹事さん、うまいことを考えたものだ。
というわけで、一同大満足して、2日目の帰路、野須張やら鍾馗様やらを眺めていたのだった。
スポーツ合宿だから、当然、運動量は多かった。が、参観応援の保護者の数が、選手よりはるかに多かったような気がする。
月岡まで来て、ガラス工房の若い女性職人さんの動きにジーッと見入る一行。炎の塊がグラスに変わっていく工程は、まるで魔法使い。
その職人さんの手になるグラスを買って帰って、牛乳を入れたら、ガラスの泡とブルーの模様が牛乳の白に浮かび上がった。これもまた魔法か。十何年か前に福島潟近くのガラス工房で買ったグラスを最近割ってしまって、代わりを探していた。これもまた出会い。
 
 
余人は知らず、私の興味は、天田昭次記念館。真剣の切っ先は、いつ見てもぞぐっとさせられる。これが、凄味というものだろう。鎌倉期を目指したという天田刀には、実戦刀の迫力があった。
最後の立ち寄り所が、ここの近くの農家レストランでバイキング。ジェラード食べ放題で幸せの絶頂期を迎えたのでありました。
不用不急の外出は控えるようにとのお達しにもかかわらず、キャンセル料を払いたくないとばかりに出かけた一同、出発直前まで除雪、翌日帰宅してまた除雪、くたくたの大寒波襲来中、ひとときのオアシスのような合宿行程でありました。
 渡辺伸栄watanobu
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