綿野舞(watanobu)猫額苑四季(ねこのひたいのにわのしき)2017
 
 5月16日 桃散って コンニャク咲いて 胞子飛ぶ
~猫額苑四季目次へ~ 
雪消のミドリを楽しんでいたのも束の間、猫の額の我が庭は、あっという間に草ぼうぼう。草どころか、新芽には待ってたとばかりに病害虫。無風の日を選んでは農薬散布。
ブナのカイガラムシにマシン油、桃の縮葉病と梨の赤星病にオーソサイド、玉椿のうどんこ病にカリグリーン、諸々の樹々のアブラムシにスミチオン、てな具合で何種類の薬を撒いたやら。
その間も、次々と花が咲き散っていきます。移り変わりの速いこと速いこと。その速さに負けて、4月の庭だよりを出しそびれていました。
渡辺伸栄watanobu
スギゴケの花、正式には胞子体。この中に胞子があって、飛んでいって増える。これはコケの有性生殖。雨の日にオスのコケから精子が泳いできて受精した結果できるのがこの花。
コケの増え方にはもう一種、無性生殖があって、自分のクローンを作ってどんどん増やしていく。この増殖法は効率よく、あっという間に庭にコケが広がる。ただ、全滅するときも速い。だから、環境の変化に対応できる多様性を求めて効率の劣る有性生殖も行うというわけだ。
苔庭を造るからには、これくらいは研究した。コケの正式名称は蘚苔植物、国内に蘚類が1030、苔類が620、他少々でおよそ1600種という。なかなか奥が深い。
 
これがコンニャクの花。ふつうは花を咲かせないで食用にするので、花を見た人は少ない。今開きかけたところで、まだ、完全な開花には至っていない。開花すると、猛烈な匂いを出して虫を呼ぶ。その匂いはまるで堆肥場、だから寄って来るのはハエ。うまく受粉すると、中央の突起がしおれて折れ曲がり、花に蓋をする。すると、その蓋に覆われた花の中でトウモロコシのような実を結ぶ。ただし、受粉のためには、別株の花が必要で、この株一つでは、多分受粉はできない。以前、二株咲かせたときには、見事にトウモロコシ状の実が生った。コンニャクを育てるからには、これぐらいの研究はしている。
3年以上育てた大物でないと花は咲かない。最近は、そこまでの育成に成功したことがないので、この花のイモは去年の農林祭りでOkkaaが買ってきたもの。直径30センチ超の大物級で、同級生のTさんの育成物。ここまで育てるのだから、さすがというべき。
猫額苑の今の主役はツツジ。何株もあるが種類が皆違い、咲く時期がずれる。だから、一斉開花でなく華やかさに欠けるが、長く楽しめる。草木といえども飼い主に似るのだと思う。
右は、ジシバリ。別名イワニガナ。どこからか種が来て、砂利庭に根付いたようだ。地味な花だが、砂利にへばりついて這っていくしたたかさが気に入っている。
余談だが、因みに、ジバシリはもののけ姫に登場する全くの別物。
4月25日の桃の花。毎年、びっしりと花を見せてくれる。花桃ではなく実桃。だから、受粉してやる。一昨年は山桜の花で受粉成功。去年は梨の花で受粉したら失敗。今年はまた山桜でやった。今のところ、うまくいったような気配。
実を育てるには、花を咲かせずに摘花してやるのだが、我が庭では花を見たいので、受粉したのち摘果する。今は花は完全に散って、摘果して残った小さな実が葉の陰に隠れている状態。
今年のアケビはことのほか花付きがいいようだ。右は雌花と雄花。受粉は違う種類が必要なので、五葉のアケビの隣に三つ葉アケビを植えてある。本当は、丁寧に受粉してやるといいのだが、実が生りすぎても誰も食べないので、自然交配に任せた。どのくらい実をつけるものか。
葉の数と雌蕊の数、つまり子房の数が同じというところが面白い。
左、タツタソウ。右、バイカカラマツ。どちらも山野草の園芸種。自然の山野草よりも、庭には、園芸種の方が似合うような気がする。人工の庭には人工の花、自然の山野には自然の花。当然の理屈だ。 
左、白花のショウジョウバカマ。こちらも園芸種。右は、山林からもってきた種をまいて出てきたカタクリ。ここまでになるのに何年かかったか。花が終わって実をつけた。
この小さな実がアリに運ばれて土に潜り、芽を吹いて筍状の細い葉を一本出し、次の年に一枚葉を開き、その翌年二枚の葉というふうに育って花開くまで、また何年もかかる。カタクリの研究も多少はした。
 
 
スグリの花。グーズベリーともいう。ベリーだから、食用の実が生る。毎年わずかしか実を生せない。が、つまみ食いすれば、それなりに美味い。今はもう花は終わって、透明な実をつけている。色づいて熟せば食せる。
ページのTOPへ