綿野舞(watanobu)猫額苑四季(ねこのひたいのにわのしき)2017
 
 12月30日 穏やかに酉ゆき 犬の十二歳
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11月12月は、天候と都合が合わず結局山行はゼロで、専らインドア派。吹雪の庭を眺めながら読書にパソコンに、それはそれで結構な冬の楽しみです。
渡辺伸栄watanobu
コーヒーのフライパン焙煎を始めて1年になる。生豆1㎏1000円で、1杯約10円。毎朝晩飲んでいるので、安上がりでこれはもうやめられない。煎ったあと竹デッキで豆のカスを吹飛ばす。酷寒の日には難事だが、なに、これくらいはガマンガマン。
12月早々の降雪で、庭木の囲いは間に合わないと諦めていたら、その後思わぬ晴天があったりして、なんとか今年も間に合った。写真は26日の降り始めの雪。その後、消えたり降ったりして、今日30日は十数センチになっている。
コーヒー片手に庭で朝読書としゃれこんだのは気候のよい時期のこと。今は、専ら炬燵読書。この間読んだ本の読感を少々。
呉座勇一「応仁の乱」 9月に入って読み始め、赤ペンで書き込みしながら結局2回読んだ。英雄史観でなく、民衆史観でもなく、私が勝手に名付けて群像史観。時代に蠢く一人一人が生きるために良かれと思って行動する。その一人一人の集合体が歴史の正体。
呉座勇一「戦争の日本中世史」 呉座史観があまりにも面白かったので。これがまた正真正銘の群像史観。赤ペン書き込みで1読終わり、2読目に入っている。
猪熊隆之「山の天気にだまされるな!」 呉座本の合間合間に読。山登り人に天気の理解は不可欠。
河合敦「窮鼠の一矢」 珍しく、読後砂を噛んだ思い。一矢は空しく空を切り窮鼠共互いを噛むのお粗末さ。史実ならまだしもこれがフィクションだとは、ただただあきれるばかり。新田次郎の八甲田山もそうだが、大衆受けする文章であるが故に、フィクションが真実に取って代わっていくとしたら、恐ろしい。歴史の捏造。年初に八甲田山の真実本が出るというので楽しみにしている。新田本の安直さ、窮鼠もそれに近い。どうか、映画などにはなりませんように、まして、銅像が立つようなことにはなりませんように。
高村薫「土の記」 この人のサスペンスは昔だいぶ読んだ。今年、この作品で野間文芸賞と知り、いつの間に純文学かと思い、手に取った。重い文章でスマホの辞書を片手に、上下2巻読み通した。取り立てての事件はなく淡々と進む展開が、どういうわけか面白い。主人公伊佐夫、民間大手工場退職後細々と山間の棚田と畑を耕して喜寿を越える。まさに同年代同環境。私が勝手に名付けた伊佐夫シンドローム、私にも日々その兆候あり。脈絡もきっかけもなく、突然脳が昔のことを想起する。トイレで、風呂で、食卓で、炬燵で、時と場所を選ばない。つながりもなく次々と想起が続き、ふと気づいたとき、なんでこんなことを考えてる?と訝る。で、気づく前の想起はもう思い出せない。伊佐夫はせっせと、農事を計画し、こまめに着実に農作を進める。多分それは、脳に隙間を開けないため。無為の時間帯に脳は勝手に暴走する。だから、せっせと何かを企む。私の冬は、本とPC。それにRunと登山の構想、春耕と山の手入れの準備。あれをしよう、これをしようと頭の予定表に書き込んでいく。無為は怖い。
この冬は、森敦「われ逝くものの如く」をもう一度読んで、さらに森の作品をいくつか読むつもりでいたのだが、高村にはまって予定変更、図書館に高村の「空海」を予約した。その後も「晴子情歌」三部作を読むつもりでいるので、森敦に行けるかどうか。ま、季節が来れば庭の朝読書もいいし、気長にやりますか。
今使っているDellのデスクトップPCのほかに、物置で廃棄状態になっているPCが3台ある。Dellにメモリを追加してPCいじりに火がついて、廃棄PCにLinuxを入れてみることにした。数あるLinuxの中でも初心者向けのUbuntu、これが2台にうまく入ってくれた。1台はAcerのデスクトップ、1年前、Windows7を無償の10に乗り換えた後、暫くして動かなくなり、7に戻してみたり初期化したりすったもんだの末お手上げで、仕方なくDell機を買った。もう1台は14年前に買ったラップトップのVAIO、WindowsXP。それらが見事に生き返った。しかも無償で。ただ、VAIOの動きは重く、今のところ使い道はない。
Acerは軽快そのもので、Linuxのソフトも無償でいろいろ入れた。Dellは今まで通りの書斎、Acerは居間に置いた。1台を家庭内サーバーにと目論んだが、これは少々高度な作業になりそうで一旦取り下げ、息子の助言もあって、dropboxを入れた。Linux機、Windows機共通でファイルをやり取りできる無料のクラウド。もちろんスマホでも。だから、書斎でも居間でもスマホでも、いつでもどこでも同じファイルを見開きでき、読み書きできる。これは便利。山の動画などはAcerをTVにつないであるので大画面でみんなで見れる。もちろん画像も。その他もろもろ、それが無償だというのだから、もうWindowsに金をかけるのは終わりにしよう。
あ、そうそう、もう1台はシャープのノートでWindows2000の旧型機、息子の払下げ品。これにUbuntuが入るかどうか、いずれ試してみようと思っている。いや、Ubuntuよりももっと軽いLinuxを手に入れて、シャープとVAIOに入れてみようかと企んでいる。
 
Linux導入をFaceBookに載せたら、それを見たMargoの父から突然得体のしれない電子部品が送られてきた。基板にArduinoUnoとあったので、ネットで調べてみたら、どうやら電子工作ができる代物らしい。PCでプログラムを組み、この基板にそれを写して動作をさせる。初歩中の初歩がLチカという、LEDランプを点滅させる時間調整のプログラムらしい。新発田でロボット教室を開催しているMinaさんからもFBにコメントがあって、かわいらしいロボットを動作させることもできるとのこと。さらに一階級すすむとラズパイという小さいPCで戦車を動かすなどもできるようだ。何しろ、その昔は、鉱石ラジオやら真空管5球ラジオを組み立てて遊んでいたラジオ少年、長じては、Basicで五目並べをプログラミングしたこともあるし、Windowsが一般的になる前にはMS-DOSでPCを立ち上げていた。だから、素養はあるというもの。これは一丁、やってみるしかないか。Margoの父にブレッドボードとジャンパーワイヤーを追加で頼んだ。Linux機には、プログラム書き込み用のソフトArduinoIdeをダウンロードした。準備OK、部品が揃ったら作業開始だ。
その合間に、畑のモグラ追い風車を作る予定もある。こうやって何かしら常に脳に前進命令を出しておいて、伊佐夫シンドロームの侵入を防ぐ。そうすると必然的にやりたいこと、やるべきことは増えていく。ただ、読みたい本もどんどん増えて、行きたい山は数限りなく、人生の長さだけに限りがあるとは何とも不条理な気分がしてきたぞ。
いやいや、私はこれでも新年年男、還暦過ぎての12歳。まだまだ先は長い。
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