生とは 死とは・・・「早回し全歴史」からの敷衍
 
その1 2024.8.7記

138億年前ビックバン直後、本来は均等に膨張すべきエネルギーが
量子のゆらぎで、わずかにばらつきが生じた
ほんの少し、周囲よりエネルギーが多く集まった点
そこに、宇宙最初の物質、水素とヘリウムが出現した
水素が核融合を起こし、巨大な火の玉が恒星になった
恒星の中で、92個の元素が生まれた
元素の無数の組み合わせで、分子ができた
分子ができてから、計り知れないほど複雑な宇宙になった
現在の宇宙は、ビックバンで生じた物質とエネルギーのまま
これが、熱力学第一法則 つまり、エネルギ―保存則
だから、宇宙のすべては、138億歳 もちろん人間も
星の死も、人の死も、構成原子の再放逸
だから、我々は宇宙そのもの
死は無ではない
無は人間が頭の中で考え出した実態のない概念
無は、この宇宙では物理的にあり得ない

・・・・と、ここまで読んで
毎朝読みあげている「般若心経」を思った
色即是空、物質的存在はすべて空であると説く
有でもなく無でもなく、空
もう一つ読みあげている「修証義」
その冒頭は、「生を明らめ死を明らめるは仏家一大事の因縁なり」
80年も生きて、生死の意味も問わず、
どこから来てどこへ行くのかも分からないまま、
生を終えるような無様ではありたくない
その2 2024.8.15記

前回、「宇宙最初の物質、水素とヘリウムが出現した」と書いた
が、無から有が生じたわけではない
で、若干補足すると、次のようになる

ビッグバン直後の宇宙は極小で、量子スケールのサイズ
そこでは、仮想粒子が生成消滅している
エネルギーの小さな波紋
物質と反物質(クォークと反クォーク、陽電子と電子)が飛び交う
物質と反物質は衝突して爆発、閃光を発しエネルギーに戻る
しかし、10億個に1個はぶつからず、
クオークは、陽子と中性子になった
それらが、水素とヘリウムの原子核になり
原子核が電子を捕獲して、原子になり
水素とヘリウムのガス雲が宇宙に充満した

・・・・と、まあ、こういう過程になるらしい
つまり、極小の点のエネルギーが凝集して原子の素ができた
つまりつまり、ビックバンの極小の点に
全宇宙のエネルギーが最初からあった
それは、過去現在未来、変わりはない
だから、エネルギ保存則、熱力学第一法則
変化していくのは、ひたすらの複雑さ
それは、熱力学第二法則で エントロピー増大則
時間が一方向なのはこの法則のせいで、それが
宇宙の、地球の、生物の、人間の歴史

さて、そのことが「色即是空」の真義だとして、
問題は、般若心経が「受想行識 亦復如是」と説くこと
つまり、「人間の精神活動も色即是空と同じなのだよ」と説くこと
ここに、生死の意味を問うキーが隠されている
我らがどこから来てどこへ行くのか、解き明かすカギがある
ま、先は長い、急ぐ旅でもなし ゆっくり考えてみようか
その3 2024.8.28記

138億年前のビックバンで生成された元素
38億年前、地球の海で、元素が糸のようにつながり始めた
それが、アミノ酸になり、やがてDNAやRNAになり
ようやく生命の芽が生まれるまで、100億年かかった
4億年を経て34億年前、光合成で生きる単細胞生物が生まれ
その後の地球環境の激変で進化と絶滅を繰り返し
今の我々がいる
同じ過程を経てきて、ピロリ菌やシロアリがいる

自己意識をもった人間は138億年の宇宙と、その中の自分を知った
ピロリ菌にとっては、オレの胃が宇宙、シロアリの宇宙は、我が家の床下
多分、我々の宇宙が138億年の間に
930億光年もの広さに膨張したことなど、ピロもシロも知るまい
いや、ピロにとってはオレの胃が
シロにとっては我が家の床下が
想像できないほどの広がりを持つ宇宙なのに相違ない
ということは、ピロにとっての宇宙と我々にとっての宇宙の違いは
そのまま、我々にとっての宇宙と
もっと我々の想像もできないほどの
「大いなるもの」の宇宙との違い
と考えることもできる
我が家のシロアリは、これから駆除する
つまり、こやつらの生殺与奪の権はオレの手にある
同様に、我らの生殺与奪の権を握っている
もっともっと「大いなるもの」がいる
そう考えてもおかしくない
というより、どうもそんな気がする

どうであれ、生を終えれば
ピロもシロも我々も、構成単位物質である元素に戻る
いや、生きている間でも、しょっちゅう入れ替わって戻っている
では、ピロだった元素はシロになり、シロだった元素はヒトになるか
物質的には、そうなる
しかし、意識つまり精神活動ということになると
そうではないような気がする
原子、電子、陽子、クオークの極極小の粒子レベルになると
量子論の法則に支配される
そこでは、粒子間には相互に意思がつながるような関係ができる
これが生物の意識の根源的仕組みに内在するようだ
とすれば
ピロとヒトが、そのような関係元素を相互に持ち合えるはずがない
もともとつながりの関係がないのだから
ピロの関係元素を共有できるのはピロだけ
ヒトの関係元素を共有できるのはヒトだけ
関係元素の共有は、意識の共有につながる
生命と岩石は同じ元素でできているとしても、そこが異なる
ヒトの元素はヒトの元素と関係を結び
それらが大きなまとまりとして、意識をつないでいくことになる
空間的に、人間同士の以心伝心がそれで起こり
時間的には、世代間の以心伝心、あの世からの伝心が起こる
これが、「色即是空、受想行識亦復如是」の意味だ
その4 2024.9.13記

ビックバン後100億年もかかかって、38億年前にDNAができ
34億年前に単細胞生物が生まれ
それから27億6500万年もかかって
6億3500年前に多細胞生物が生まれた

細胞はDNAのプログラムによって動く、それが細胞の意思
無生物との根本的な違いがそこにある
個々の細胞が集まり、共生し、やがて合体して多細胞生物となった
1個のDNAで動く1個の細胞が、多数連携して役割分担し
全体としての意思があるかのように行動する変わり者
その方が都合の良いことがたくさんあったから
圧倒的多数を占める単細胞生物の中で
変わり者の連中が幅をきかせ始めた
4億6000年前に、藻類が海から陸上に上がり、菌類と共生
菌類は地上の大部分を占めていた岩を食べ土壌を形成
それによってシダやコケが大繁茂、緑の地球が出現した
3億7000年前、最初の両生類が現れ
それが、人間を含む現在の四肢動物の元になった

この間もこの後も、温度変化を主とする地球環境の大異変で
多くの生物が繁栄と絶滅を繰り返した
その時どきに、生き残ったやつがいる
もちろん、強いやつでも賢いやつでもない
環境の激変に合わせて、意図的に変化したわけでもない
多様な生物の中で、環境の過酷な激変を辛うじて受け流せたやつ
運よく、受け流せるような体のつくりになっていたやつら
そいつらが、激変した環境の中に生き残り
激変した環境にもっと合うように体を変化させ
絶滅したやつらが占めていた空間を埋めて繁栄した

DNAは生きるためのプログラム
1個の細胞の寿命を越え、1個の複合体の世代を越えて
コピーを伝えていく
それが、環境の激変に適合しなければ絶滅
コピーの際に、多少なりともプログラムの書き換えが起き
それが、環境の激変に適合できれば生存
DNAは細胞の意思であり、細胞複合体の意思
意思は、個体として生き続ける、世代を越えても生き続ける

DNAの材料は元素、細胞は新陳代謝によって分裂し
常に体の外から取り入れた材料でDNAをコピーし続ける
材料となる元素は
量子もつれによって元の材料元素とペアになった元素
だとすれば
DNAの意思は、材料レベルで、単数とは限らないが特定の相手と
伝達共有されていくことになる

生きる、生ある限りひたすら生きる、これが生物の意思
では、人間は、どうか
ただ、ひたすら生きるだけか
ちがう、人間にはどう生きるかという命題がつきまとう
それはなぜか
3億7000年前以降の歴史がそれを解明してくれるかどうか
その5 2024.12.29記