生とは 死とは・・・「早回し全歴史」からの敷衍 |
最新はその6 2025.3.28記 そこへとぶ |
その1 2024.8.7記 138億年前ビックバン直後、本来は均等に膨張すべきエネルギーが 量子のゆらぎで、わずかにばらつきが生じた ほんの少し、周囲よりエネルギーが多く集まった点 そこに、宇宙最初の物質、水素とヘリウムが出現した 水素が核融合を起こし、巨大な火の玉が恒星になった 恒星の中で、92個の元素が生まれた 元素の無数の組み合わせで、分子ができた 分子ができてから、計り知れないほど複雑な宇宙になった 現在の宇宙は、ビックバンで生じた物質とエネルギーのまま これが、熱力学第一法則 つまり、エネルギ―保存則 だから、宇宙のすべては、138億歳 もちろん人間も 星の死も、人の死も、構成原子の再放逸 だから、我々は宇宙そのもの 死は無ではない 無は人間が頭の中で考え出した実態のない概念 無は、この宇宙では物理的にあり得ない ・・・・と、ここまで読んで 毎朝読みあげている「般若心経」を思った 色即是空、物質的存在はすべて空であると説く 有でもなく無でもなく、空 もう一つ読みあげている「修証義」 その冒頭は、「生を明らめ死を明らめるは仏家一大事の因縁なり」 80年も生きて、生死の意味も問わず、 どこから来てどこへ行くのかも分からないまま、 生を終えるような無様ではありたくない (自然元素は88又は94種類で、人工の元素が24種類らしい) |
その2 2024.8.15記 前回、「宇宙最初の物質、水素とヘリウムが出現した」と書いた が、無から有が生じたわけではない で、若干補足すると、次のようになる ビッグバン直後の宇宙は極小で、量子スケールのサイズ そこでは、仮想粒子が生成消滅している エネルギーの小さな波紋 物質と反物質(クォークと反クォーク、陽電子と電子)が飛び交う 物質と反物質は衝突して爆発、閃光を発しエネルギーに戻る しかし、10億個に1個はぶつからず、 クオークは、陽子と中性子になった それらが、水素とヘリウムの原子核になり 原子核が電子を捕獲して、原子になり 水素とヘリウムのガス雲が宇宙に充満した ・・・・と、まあ、こういう過程になるらしい つまり、極小の点のエネルギーが凝集して原子の素ができた つまりつまり、ビックバンの極小の点に 全宇宙のエネルギーが最初からあった それは、過去現在未来、変わりはない だから、エネルギ保存則、熱力学第一法則 変化していくのは、ひたすらの複雑さ それは、熱力学第二法則で エントロピー増大則 時間が一方向なのはこの法則のせいで、それが 宇宙の、地球の、生物の、人間の歴史 さて、そのことが「色即是空」の真義だとして、 問題は、般若心経が「受想行識 亦復如是」と説くこと つまり、「人間の精神活動も色即是空と同じなのだよ」と説くこと ここに、生死の意味を問うキーが隠されている 我らがどこから来てどこへ行くのか、解き明かすカギがある ま、先は長い、急ぐ旅でもなし ゆっくり考えてみようか |
その3 2024.8.28記 138億年前のビックバンで生成された元素 38億年前、地球の海で、元素が糸のようにつながり始めた それが、アミノ酸になり、やがてDNAやRNAになり ようやく生命の芽が生まれるまで、100億年かかった 4億年を経て34億年前、光合成で生きる単細胞生物が生まれ その後の地球環境の激変で進化と絶滅を繰り返し 今の我々がいる 同じ過程を経てきて、ピロリ菌やシロアリがいる 自己意識をもった人間は138億年の宇宙と、その中の自分を知った ピロリ菌にとっては、オレの胃が宇宙、シロアリの宇宙は、我が家の床下 多分、我々の宇宙が138億年の間に 930億光年もの広さに膨張したことなど、ピロもシロも知るまい いや、ピロにとってはオレの胃が シロにとっては我が家の床下が 想像できないほどの広がりを持つ宇宙なのに相違ない ということは、ピロにとっての宇宙と我々にとっての宇宙の違いは そのまま、我々にとっての宇宙と もっと我々の想像もできないほどの 「大いなるもの」の宇宙との違い と考えることもできる 我が家のシロアリは、これから駆除する つまり、こやつらの生殺与奪の権はオレの手にある 同様に、我らの生殺与奪の権を握っている もっともっと「大いなるもの」がいる そう考えてもおかしくない というより、どうもそんな気がする どうであれ、生を終えれば ピロもシロも我々も、構成単位物質である元素に戻る いや、生きている間でも、しょっちゅう入れ替わって戻っている では、ピロだった元素はシロになり、シロだった元素はヒトになるか 物質的には、そうなる しかし、意識つまり精神活動ということになると そうではないような気がする 原子、電子、陽子、クオークの極極小の粒子レベルになると 量子論の法則に支配される そこでは、粒子間には相互に意思がつながるような関係ができる これが生物の意識の根源的仕組みに内在するようだ とすれば ピロとヒトが、そのような関係元素を相互に持ち合えるはずがない もともとつながりの関係がないのだから ピロの関係元素を共有できるのはピロだけ ヒトの関係元素を共有できるのはヒトだけ 関係元素の共有は、意識の共有につながる 生命と岩石は同じ元素でできているとしても、そこが異なる ヒトの元素はヒトの元素と関係を結び それらが大きなまとまりとして、意識をつないでいくことになる 空間的に、人間同士の以心伝心がそれで起こり 時間的には、世代間の以心伝心、あの世からの伝心が起こる これが、「色即是空、受想行識亦復如是」の意味だ |
その4 2024.9.13記 ビックバン後100億年もかかかって、38億年前にDNAができ 34億年前に単細胞生物が生まれ それから27億6500万年もかかって 6億3500万年前に多細胞生物が生まれた 細胞はDNAのプログラムによって動く、それが細胞の意思 無生物との根本的な違いがそこにある 個々の細胞が集まり、共生し、やがて合体して多細胞生物となった 1個のDNAで動く1個の細胞が、多数連携して役割分担し 全体としての意思があるかのように行動する変わり者 その方が都合の良いことがたくさんあったから 圧倒的多数を占める単細胞生物の中で 変わり者の連中が幅をきかせ始めた 4億6000万年前に、藻類が海から陸上に上がり、菌類と共生 菌類は地上の大部分を占めていた岩を食べ土壌を形成 それによってシダやコケが大繁茂、緑の地球が出現した 3億7000万年前、最初の両生類が現れ それが、人間を含む現在の四肢動物の元になった この間もこの後も、温度変化を主とする地球環境の大異変で 多くの生物が繁栄と絶滅を繰り返した その時どきに、生き残ったやつがいる もちろん、強いやつでも賢いやつでもない 環境の激変に合わせて、意図的に変化したわけでもない 多様な生物の中で、環境の過酷な激変を辛うじて受け流せたやつ 運よく、受け流せるような体のつくりになっていたやつら そいつらが、激変した環境の中に生き残り 激変した環境にもっと合うように体を変化させ 絶滅したやつらが占めていた空間を埋めて繁栄した DNAは生きるためのプログラム 1個の細胞の寿命を越え、1個の複合体の世代を越えて コピーを伝えていく それが、環境の激変に適合しなければ絶滅 コピーの際に、多少なりともプログラムの書き換えが起き それが、環境の激変に適合できれば生存 DNAは細胞の意思であり、細胞複合体の意思 意思は、個体として生き続ける、世代を越えても生き続ける DNAの材料は元素、細胞は新陳代謝によって分裂し 常に体の外から取り入れた材料でDNAをコピーし続ける 材料となる元素は 量子もつれによって元の材料元素とペアになった元素 だとすれば DNAの意思は、材料レベルで、単数とは限らない.が特定の相手と 伝達共有されていくことになる 生きる、生ある限りひたすら生きる、これが生物の意思 では、人間は、どうか ただ、ひたすら生きるだけか ちがう、人間にはどう生きるかという命題がつきまとう それはなぜか 3億7000万年前以降の歴史がそれを解明してくれるかどうか |
その5 2025.2.19記 ここまでしばらく中断したので この先「生き死に考」を続けるための、ここまでの簡単なまとめ 138億年前のビッグバンから100億年の過程を経て、DNAが生じた そこから4億年かけて単細胞が生まれ、 それが、さらに28億年近くかけて、多細胞生物になった DNAは、ひたすら生きることを目的としたプログラム 単であれ多であれ生命体は、このプログラムの出力機構 つまり、DNAこそ、生命体の意思 それは、生きること、生ある限りひたすら生きること 生命体の行動が事細かくすべてDNAにプログラミングされているわけではなく 単純に、生きるための行動を取るようにコマンドが書き込まれたプログラム DNAは、プログラムを維持するためにコピーを繰り返す 元素はその材料 元素は互いに結び付いて原子、分子となり、物質世界を構成する 我々の身体も、他から取り入れた元素が結び付いたもので、 元素レベルでは、分離と再構成を繰り返し 他の物質との間で、絶えず相互交換を繰り返している 私の身体を構成する元素は、以前、どこかの何かに使われていたもので 私の身体から出ていく元素が、次にどこかの何かに使われる 身体を物質レベルで見れば、それは、それだけの話ということになる 般若心経の「色即是空」とは、このことを喝破した表現 色すなわち物質世界は、このようになっているのだ、と 無ではない、元素は138億年前から普遍に存在し続けている しかし、有とも言えない 元素レベルで物質世界を見れば、 自と他を区別することも、生と死も、意味はない 自分のものは他のもの 他のものは自分のもの 無でもない、有でもない、それが、空 だから、自分という存在に、そう頑なにこだわるな、と しかし、精神活動となると、そう単純ではない 精神活動は、生命体の意思で、本を正せば、生きるというDNAの意思 DNA発生以来38億年かけて、人間という形に生命体の一系統が変化してきた 人間という形は、DNAの意思の出力機構としての一形態にすぎないが、 人間の精神活動は、生きるという生命体の意思を体現するために 他の生命体とは違った、特別の方向に進化してきた それは、なぜか、特別の方向とは、どんな方向か これが、「生き死に考」の次のステージの問題 般若心経では、「色即是空」に続けて、「受想行識亦復如是」と説く 色は、身体を含む物質世界のことで 受想行識は、感じ想い行い識ること、つまり精神活動 だから、色は空だよ、同じように精神活動も空なのだよ、となる 自分の精神は他の精神 他の精神は自分の精神 これは、何を意味しているのだろうか 誤解を避けるためにあらかじめ記しておくが 決して、物心二元論を展開しようというのではない すべては、量子の法則に支配された元素原子分子レベルの話 その世界は、どうやら物心一元となるようだ |
その6 2025.3.28記 では、「早回し全歴史」の記述に戻って、 人間の精神活動の発達過程をたどってみることにする 3億7000万年前に、最初の両生類が現れてからも 地球環境は、火山の大噴火や小惑星の衝突や ときには、植物の酸素過剰排出など生物自身が原因で 想像を絶する規模の大変動を繰り返し その度に、多くの生物が絶滅と繁栄を繰り返した 2億3400万年前、火山活動で気温湿度上昇 200万年もの間、雨が降り続き、高湿度環境で恐竜が大繁栄 人間につながる原始哺乳類は、マウスより大きい程度で、 穴の中か樹上に隠れて暮らし、昆虫を食べ、夜間の行動だった 小惑星の衝突で、地球上の生物の70%(陸の動物90%、植物50%)が消滅 6600万年前には恐竜が消滅し、代わった哺乳類が急速に進化 5500万年前、霊長類登場 3000万~2500万年前、ヒトの祖先となる大型類人猿登場 人間が捨てた本能を霊長類にさかのぼって解明できれば人間の本質が見えてくる 1200万~1000万年前、人間がゴリラから分岐 ゴリラのオスは集団から追い出され、激しい競争 そのため、メスと異なるオスの体形になった また、競争の中で友好関係を結ぶためオス同士のグルーミング(毛づくろい)が発達 700万~500万年前、人間とチンパンジーが共通の祖先から分岐 人間とチンパンジーはDNAの98.4%を共有し、最も近い親戚 縄張り意識=組織的行動を、共通の祖先から引き継いだ 社会関係を操るための大きな脳、道具、言語、暴力 400万年前、乾燥で森林減少、サバンナ形成 食糧を得るため森を出て遠くまで移動 その結果、二足歩行の人間最初の祖先「アウストラロピテクス(南のサル)」 二足歩行で自由になった手で多様なジェスチャー、それが言語の幅を広げた また、自由になった手で道具を携帯、常時使用 言語と道具の活用で、脳の容量を増やす進化圧力が働いた 250万年前、「ホモ・ハビリス(器用な人)」 物を切るための石の薄片を作った その作業は、相当の知性と意図と職人的忍耐力が必要 しかし、以後100万年の間、技術の向上なし、発明の蓄積はなかった 集団の規模も、アウストラロピテクスやチンパンジー同様小さかった 200万年前、人口増加で集団同士の衝突が頻発 暴力沙汰を避けるために同盟関係の構築など社会関係管理へ脳が発達し 贈与や集団間婚姻 グルーミングは集団メンバーが増えると時間が足りなくなった そこで登場したのが「噂話」「雑談」 そして、火を使い肉を焼いた「ホモ・エレクトス(直立する人)」が現れた 背が高く、二足歩行のスタミナとスピードは現在の人間並み それ以前の種よりも大きな集団 肉食は植物食よりエネルギー多く、脳が発達 アフリカを出て、南アジア、東アジアへ移動 砂漠、森林、海岸、山岳地帯にも適応 150万年前、東アフリカのホモ・エレクトスが画期的な能力を身につけた 新しい能力、「集団学習」 現世代から次世代へ、手を加え、革新を積み重ね、技術を向上させた 生物学的進化や淘汰と関係なく複雑さを高められるようになった 文化の領域への最初の一歩、ブレークスルー(突破口) 120万年前、ホモ・アンテセッサー(先行する人)が、ヨーロッパに大量移住 約70万年前、ホモ・ハイデンベルゲンシズが、ゆっくりとヨーロッパと西アジアへ 約40万年前、ネアンデルタール人が出現 集団学習能力が強化され、複雑な道具を作り、それを変更と改良の繰り返し そして、 31万5000年前、いよいよ我らの「ホモ・サピエンス」が、アフリカに登場する ネアンデルタール人との資源奪い合いに勝ち、多くを殺し、かなりの交雑 ホモ・サピエンスだけが絶滅しなかった それは、最も集団学習に長けていたから ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ここまでのまとめ 人間の脳は、集団生活のために発達した つまり、我々の精神活動は、他者とのかかわりに強く関係している とりわけ、他者との「友好関係を結ぶこと」と、「集団学習を成立させること」 この二点が主要素 このことに、「受想行識も即ち是は『空』なのだ」の意味が 直結しているはず 主要素の二点は ひたすら生きて生き残ることを意図するDNAの命令が出力された結果なのだ 人間だけが、特別(特殊)な方向へ出力を続けてきた特異な結果なのだ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ |