綿野舞 watanobu 山歩紀行 2010.6.11 蕨峠
 標高840m  山形県小国町・新潟県関川村    

蕨峠の近くから牛股沢を越えた対岸のテンモドシ岩を見た。この間の県境はいかにも人工的な直線になっている。

木の間からカンゼオン鉱山(上ノ沢上流の長石鉱山)が見えた
 
関川歴史館主催「古道を歩く」に参加した。

かつて、関川村小和田集落から、湯蔵山を越えて県境の蕨峠を通り、山形県小国町へ抜ける街道があったという。

小和田集落には、そのための番所もあったというから、江戸時代のことだろうが、明治以降も、現代のような車社会になるまでは、どこでも旧街道の山道が使われていた。

前の年の4月に、小和田から入って、その旧街道を辿り、湯蔵山へは行かないで途中から三角山に登った。
今回は、前年とは逆に、山形県小国町から入って蕨峠までの道を辿ったのだった。

もっとも、勘倉峰の下までは林道が整備されていて、大部分はその林道を歩き、途中から山道に入って、古道に合流するというルートをとった。
案内は、今は亡き大先達のY氏だった。


尾根道を歩いていると、左側の谷間遙か下方に道路が見え、開けた箇所があった。あそこが、関川村八ツ口で荒川に合流する上ノ沢の上流で、長石の鉱山・カンゼオン鉱山だと教えてもらった。
山中のすぐ足元に車道が見えたのが、何か不思議な感じがした。

そこから先の山道は、崩壊箇所があって荒れていた。ロープを張って参加者を渡したり、結構スリルも味わった。

蕨峠の近くから、女川の上流・牛股沢を挟んだ対岸のテンモドシ岩を見た。
蕨峠からその岩までは、県境の線が直線で引かれている。
そして、蕨峠から県境を南に辿ると、今度は地図上、県境の線は消えている。そこは県境未確定地。

地形を無視した一直線の県境と、境界線のない県境と、蕨峠の辺りは、不思議な場所でもある。

我々は結局842mのピークまでは行かずに、その少し手前で引き返したのだが、古道は、その辺りにあった蕨峠を越えて、一旦、女川の川原に出、河畔をしばらく通ってから湯蔵山へ登るというコースをとっていたらしい。

この時期は、ヤマフジが咲き誇っていたし、タムシバ、ムシカリ、ドウダン、タニウツギ、ヒメシャガ・・・と花盛りで、穏やかな初夏の山中を古人(いにしえびと)を偲びながら、のんびりと楽しんだ山歩きだった。

遠くに祝瓶山が、特徴ある姿で見えていた
 

ヤマフジが盛りの時期だった
 
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