7月に飯豊を縦走して以来、もう一度あの峰に立ちたいという想いを強くしてきた。
時々スロージョギングで駆けている荒川の堤防や温泉橋からは、杁差岳の後ろに続く飯豊の峰が見える。
あの峰はどこだったろうか?あのピークは何岳だったろうか?もう一度そこに立ってみたいという想いは、眺めるたびに強くなる。
今回、HaseさんとMikiさんが、その想いに応えてくれた。あの大朝日岳に上がった3人組だ。
秋の飯豊、あの花の時期とはまた違った様相を見せてくれるに違いない。
今回は、1泊2日の日程で、梶川尾根から登り、梅花皮小屋に泊まって北股岳で朝日を拝み、丸森尾根ルートで下山することにした。 

6:32 梶川尾根から玉川上流 

8:58 梅花皮滝

8:59 石転び沢雪渓
10月8日(土) 一日目

6:06 山形県飯豊温泉の梶川尾根登山口(標高約410m)から登山開始
秋晴れに恵まれて、空気は爽やかで暖かい。紅葉も始まっていて、秋の気配濃厚。
8:13 湯沢峰(1021m) 高度差600mを約2時間。先頭を行くHaseさん、いつもペースづくりがうまい。
8:58 滝見場(1145m) 梅花皮滝がよく見える。石転びの雪渓も残っていた。来年はあの雪渓を登ろう、我らの目標となった。

9:07 行く手に梶川峰が見えた

11:26 ようやく梶川峰
10:09 五郎清水(約1400m) 5分ほど下ると清冽な水が湧き出していた。ただし、梶川の急尾根を登って疲れた足には、水を汲んでからの戻りの登りは多少きつい。
11:26 目指す梶川峰(1692.3m)にたどり着いた。ようやく樹林帯は終わり、稜線の縦走気分に浸ることができる。

ここまで、5時間20分。快調なペースで進んでいる。白山では引き攣った足も、今日は何ともない。大朝日の中ツル尾根で足を引き攣らした二人も、今日はなんともない。健脚3人組だ。

梶川峰で、稜線に突然雲が湧いてきた。気温も下がっている。ブッシュに風を避けながら、ここで昼食。

12:31霰が降り、登山道が白くなった。
このあとも、霙まじりの雨が吹きつけ、
散々な雲行きになってきた

12:32 予報では想定外の天候急変

12:43 それでも、草紅葉と霰のコントラストが面白い

13:13 門内小屋に到着

13:42 門内岳を越えてギルダ原を行く
12:44 扇ノ地紙(1889m)着 ここから縦走路の本道に入る。
天候さえよければ、秋の縦走を楽しめたのだが、ガスの中。

13:13 門内小屋に到着。最悪の場合、ここで泊も考えたが、体調もよく、ペースははかどっていたし、ガスも見通しがきくので、梅花皮小屋まで進むことにした。

門内小屋で泊をとる人たちも結構いた。「こんなはずではなかったですよね」が、会う人毎の挨拶代わりとなった。

14:26 風雨の中、北股岳へ向かう

14:41 北股岳山頂で三健脚人
笹薮の中には、先日降った初雪が白く残っていた。
あの日10月4日、Haseさんが電話を寄こして、「大変です。犬の散歩に出て、飯豊の北股を見てみたら、白くなっています。」と告げたのだった。そのときの雪が、藪の中に点々と残っていた。このまま根雪の一部になるのだろうか。
14:36 北股岳山頂(2024.9m)到着
再びの北股岳、また来ることができた。
7月13日の夜に梅花皮小屋からここに上って夕日を見、その翌日14日の朝にもここに立ったから、正確に言えば3度目の北股岳山頂ということになる。
明朝またここに上るから、4度、山頂に立つことになる。こんなに足繁く通うことになろうとは・・・・

15:06 岩陰に凍えるようなタカネマツムシソウ

15:46 梅花皮小屋で焼肉で暖まる
北股岳を下って、梅花皮小屋の直前、岩の陰にタカネマツムシソウを一輪見つけた。交配が遅れたのだろうか、ほかの花は皆実をつけて秋を終えようとしているというのに。凍えるようなその姿、可憐というか健気というか。
15:09 梅花皮小屋到着
登山開始から9時間3分、まあ、よく歩いたものだ。ガイドマップの参考タイムが9時間10分だから、順調なペースだ。常に先頭に立ってくれたHaseさんの名ペースメーカーぶりに感謝だ。
小屋では、早速、昨日買ったばかりの焼き網を出して、焼肉だ。Mikiさんがニンニクでうまい具合に味付けした豚肉を運んできてくれた。さすが、元山青年だ。一緒に運んできてくれた日本酒の熱燗とともに、身も心も温まった。いい夜だった。

4:59 梅花皮小屋の前から

5:41 北股岳山頂から 日の出 
10月9日(日) 二日目
夜通し風の音がやまなかった。Haseさんは寒くて眠れなかったらしい。
4時過ぎ、出入り口に女性が一人「うれしいわー、星が光ってる」と小さな歓声。「ホント?」と出てみると、北股山頂の左に一番星が輝いていた。
5:00 荷造りを急ぎ、小屋を出発。夏のときと同じ黎明が梅花皮岳の左にあった。
5:32 再び北股岳に立って、ご来光を待つ。寒さは厳しい。ありったけの衣服を身に付けて登ってきた。多少汗ばんだ分、一層寒さは堪えた。ひたすら耐える。 
5:41 太陽が顔を出した。7月は小屋の前でご来光を拝んだが、今回は、北股岳山頂で拝むことができた。感動の瞬間だった。

5;44 梅花皮岳・烏帽子岳・飯豊本山

5:45 雲海に顔出した大朝日岳(右)と月山(左)

     5:47 朝日を背に三健脚人

5:49 門内岳、地神山、その先はるか杁差岳

5:50 北股岳直下の石転び沢雪渓

5:52真下に倉手山その遥か上方に朝日連峰

6:16 アオノツガザクラ

6:44 ネバリノギラン

6:46 ミヤマキンバイ

6:48 遠くに二王子岳 その手前二ツ峰

8:39 右から北股岳、梅花皮岳、飯豊本山

8:53 縦走路の遥か突端に杁差岳
晴天の分、寒さは厳しかった。朝霜で白くなった高山植物がきれいに見えた。朝日が射して、シルエットの本山方面とは逆に、行く手の地神方面は、秋色に染まっていた。
7:03 門内小屋着。ここで、湯を沸かしてゆっくり朝食を摂る。今朝は、会う人毎に「今日はいいですね。」が挨拶、皆ニコニコしている。
出発前に門内清水で、たっぷり3ℓの水を詰め込んだ。
8:26 門内小屋出発
昨日とは打って変って、秋晴れの中の稜線縦走。今日下るのは、いかにも惜しい気分だ。
9:38 地神山(1849.6m)着

9:24 ナナカマドの実の先に地神山

9:42 地神北峰、その先に大境山
地神山で、目の前に北峰の小ピーク、その左に大境山(1101.6m)が見え、さらにその左遠方かすかに葡萄鼻山が見えて、立烏帽子が見えた。
立烏帽子と杁差岳からの尾根筋の間に、かすかに関川村の盆地が見える。
荒川の堤防や温泉橋から見ていた飯豊のとんがりは、この地神北峰のようだ。その後ろに見えた長い稜線は、昨日歩いた梶川峰からの稜線に違いない。
来週、大境山に登る。そこで、もう一度確認しようと思う。

9:43 地神北峰

10:10 地神北峰から梶川峰の稜線
10:01 地神北峰(1780m) 着
ここからは、丸森尾根を下る一方になる。しばし、佇んで飯豊連峰との別れを惜しむ。
46年前、杁差岳からここまで来て、台風が来るというので丸森尾根を駆け下ったことが思い出される。途中で暗くなってしまって、尾根道でリュックをかぶってビバークして、雨を覚悟で寝たその朝の日の光と小鳥の声が今も記憶に残っている。下山開始してすぐに飯豊山荘の屋根が見えて、何だこんなところで悲壮な思いをしていたのかと、みんなで大笑いした。遥かに遠い昔のことだ。
倉手山頂から、あるいは樽ノ口峠から、真正面の丸森尾根を眺めては、いつかまた行ってみたいと思っていた。念願が叶った。

10:12 地神北峰から杁差岳、右に葡萄鼻山

10:12 丸森尾根を下る

   11:38 さらに下る
10:12 丸森尾根を下り始めるが、何かもったいなくて後ろ髪をひかれる思いがする。Haseさんに「ゆっくり下ろう」と声をかけた。
10:51 丸森峰(1540m)通過。一つ沢を挟んだ向い側の梶川尾根の急傾斜を見て、よくも登ったものぞと改めて我らの健脚を自画自賛しつつ。 

11:50 この大木の根元で昼食

15:01 飯豊山荘前下山
11;50 標高1200mくらいのところで、尾根道に大木の根が張った、ちょうどよい休憩場所があった。そこで湯を沸かして昼食を摂った。
12:55 夫婦清水、軟らかいおいしい水だ。
ここからの尾根道は、岩場があり、かつ急傾斜となる。2時間かけて用心深く下山して、
15:01 無事、飯豊山荘前丸森尾根登山口に下り立った。
10時間の山歩きであったが、3人とも多少の余裕を持って下山できた。これも、大朝日岳以後、せっせとトレーニングを積んだ賜物である。まさに、
「練習は裏切らない、流した汗は報われる」
ところで、3人共通のトレーニング、それは「踏み台昇降運動」。これはお勧めです。  

飯豊連峰、その雄大さはカメラには収まらず、写真では表しきれない。行って見なければわからない。これからも何度でも行きたい山だ。 
飯豊連峰北股岳 2025m 新潟県・山形県   ― ページのTOPへ ―



 2011年10月8~9日 飯豊連峰北股岳