朝、6時30分に家を出た。荒川を渡る小見橋の上で、輝き昇る朝日を見た。登山日和を確信させる朝の光景。
思わず車を止めてカメラを向け、ススキが原に分け入ってシャッターを押した 

小見橋からの朝日

右に朳差岳

ススキ原に朝の光

6時50分、女川沿いに走るその行く手に、光兎山が見えた。たなびく朝霧の上にシルエットが神々しく。
信仰の山、光兎山 966.3m。貞観3年(西暦861年)、天台宗座主慈覚大師が開山と伝わる。
山頂までは、虚空蔵峰、観音峰、雷峰、ヨ平戻の頭と4つのピークを越える。アップダウンの激しいアプローチの長い光兎山、標高の割りにキツイ。
虚空蔵峰には三等三角点があり、正式名称は「奥山」という。中世越後に名高い荘園「奥山荘」の発祥は、この山の麓辺りからといわれている。

朝もやの光兎山

田圃の彼方に

左・光兎山頂 右・虚空蔵峰(奥山)

7時20分登山開始。一行6人、にぎやかで楽しい登山になった。
麓のブナの葉はまだ青かったが、高度を上げるにつれて秋色を増した。観音峰(約620m)の辺りはブナの葉もナナカマドの実も色鮮やかで、観音峰から仰ぐ光兎山は錦をまとっていた。
雷峰(約800m)からは、薄く雪化粧を始めた飯豊連峰が、朳差岳から本山までよく見えた。今季4度上がった北股岳も、2度泊まった梅花皮小屋の鞍部も朝日に輝いていた。双眼鏡で梅花皮小屋を確認できた。

観音峰から左・光兎山頂 右・雷峰

ナナカマドの実、その下彼方に関川盆地

雷峰から薄雪化粧の飯豊連峰

ほぼ11時、山頂着。空気が澄んでいて360度の展望ができた。東やや北寄りに朝日連峰がくっきりと見えた。双眼鏡で覗くと大朝日岳の左斜面下方に山小屋らしき形が見えた。飯豊でも朝日でも、光兎を何度探したことか。
二王子は霞んでやや遠い。21日には、二王子から光兎はすぐ目の下に見えたのだが。
北方の鷲ヶ巣山も秋色に染まっていた。飯豊から見ても、朝日から見ても、二王子から見ても、光兎山と鷲ヶ巣山はセットに見えた。
南側対岸には湯蔵山720.2mがある。その昔、麓の小和田集落から、この湯蔵山を経て県境の蕨峠を越え山形県に入る古道が通っていたという。
2年前、廃れた道を途中まで辿ってみる機会があった。山岳古道の走る湯蔵山に、一度は行ってみたいと思う。

山頂から朝日連峰 右・大朝日岳

山頂から鷲ヶ巣山

山頂から湯蔵山

山頂は小春日和の陽気。登山者でにぎわっていた。
本日、同行のHonjunさん▲▼歳の誕生日ということで、山頂でささやかに焼肉パーティ。Haseさん持参のノンアルビアでささやかに「オメデトー」
何よりも、錦をまとった光兎の山肌が、最高の誕生祝い。絵描きのHonjunさん、じーっと眺めてポツリと「この色、描きたいなー」
 

光兎山の大きな魅力の一つは、ブナ林。
登山道途中に「夫婦村」という表示がある。かつて夫婦で炭焼き小屋を営んでいた所とか。近年まで炭焼きで活用されたせいか、ブナは若い。
それだけに、鬱蒼としたブナ林ではなく、スラリとした若木が気持ちよく伸びている。風雪にもめげず、まっすぐに立っている、その率直さが、なんともいい。光兎山は、新緑のブナ林もいいし、この時期のブナ林もいい。いつ来てもいい。 

虚空蔵峰まで下山して、一息ついて下を見ると、関川盆地に荒川の流れがが光っていた。 まるで大蛇のうねるが如くに見えた。
大里峠の大蛇伝説は、このような光景から生まれたのかも知れない。
それはともあれ、10月末のこの日、小春日和の秋の一日、実に気持ちのいい光兎山、今季3度目の登山となった。
いつものことながら今回も、Haseさんの名ペースメーカーぶりで、標準タイムより少し短め、順調に・快調に、山歩きを楽しむことができた。
 光兎山頂で、一行6名、記念撮影 


 光兎山 966.3m 新潟県岩船郡関川村


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2011年10月29日 秋の光兎山へ