山歩紀行

立烏帽子692M 梁山泊530M 新潟県関川村
人と交わり、草木と交わり、山気と交わる、そんな山歩きの楽しみを綴ってみた
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Sは、スキー)
2012年7月4日 立烏帽子山頂直下の山小屋「梁山泊」へ学校登山のボランティア



 近くの小学校が、1年生から6年生まで全校280数人で全校登山をするというので、お手伝いに参加した。
 行き先は、立烏帽子の山頂直下にある「梁山泊」という、すごい名の山小屋。

 大石ダムまでバスで行って、海抜200mのダム湖畔から530m地点にあるその山小屋まで、標高差330m、
 水平距離で約4kmの山道を往復する森林トレッキング。
 
 折角そこまでいくのなら、立烏帽子山頂に上がれば、ふるさと関川村の荒川流域を一望できるのにと、残念な思いもあるが、
 山小屋のある地点から山頂までの標高差160mの登山道は急崖で、山に慣れない大人でも難儀なコース、
 ましてや小学校低学年にはかなり無理。
 その上、山頂は狭く、大人でも20人くらいがやっとだろうか。

 そんなわけで、山頂登山は計画になく、山小屋周辺の台地状の平地で全校児童と教職員・ボランティアが一斉に昼食をとって、下山。
 まさに、今トレンドの必ずしも登頂を目的としない山岳トレッキング、森林トレッキング。こんな遠足もいい。
 
 


それにしても、驚いたのは、
子どもたちの思いやりにあふれた行動。

5、6年生の子が
1,2年生の子のめんどうを実に良く見てくれる。

ちょっと立ち止まると
「大丈夫?」
と、振り返っては声をかけ、
リュックサックを持ち上げてくれる。

傾斜がきつい道や濡れた箇所に差しかかると、
「気をつけて」
「ここ滑るからね」
などと、手を引いてくれる。

ロープ場に来ると、
1年生の子が手袋を取り出して、
うまく入らない手に四苦八苦しているのを見て、
「そっちの指をこっちに」
などと手を添えてくれる。

荷を重そうにしていると、
リュックや水筒を担いであげる。
こっちが「そんなに持って大丈夫か?」というと
「体力づくりです」なんて言葉が返ってくる。

こんな行動がごく自然に振舞われている。

先生が来て
「1年生は、自分の荷物ぐらい自分で持ちなさい」
と言っているくらいだから、
先生の指導で動いているのでは、ないらしい。

5,6年生のそんな姿を見ているものだから、
3,4年生の子も、
下の子の世話を自然に行っている。

なんとも甲斐甲斐しく、ほほえましいのだが、
それが、自然になされていることに、
感心するやら、驚くやら。


きっと、1,2年生の子も
来年、再来年
小さい子のめんどうを
見るようになっていくのだろう。

5,6年生の子も
小さいときに、上の子から、
そんなふうに
めんどうを見てもらってきたのだろう。

ごく自然な振る舞いが
そのことを物語っている。



そんな子どもたちの後ろ姿を見ながら、
山道を歩き歩き、

ふと、

我が国が初めて出くわす人口減少社会は、
競争型から共生型への転換を求めている

という論文を
最近新聞で読んだことを
思い出していた。


この村の子どもたちは、
時代の先を行っているのかもしれない。
 
 
 
  この山小屋が「梁山泊」

40数年前、新潟市の山岳会が作ったとか。
当時の山岳人の心意気が、
小屋の名に表れている。

現在は、村で管理しているという。

周囲(というよりは、前方)は、
杉の大木の木立になっているが、
この小屋の奥方には
ダケカンバが群生している。 
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