高坪山570.5M  新潟県村上市・胎内市
人と交わり、草木と交わり、山気と交わる、そんな山歩きの楽しみを綴ってみた
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2012年3月10日 高坪山 雪中登山 再チャレンジ



3月5日は啓蟄。
虫にたとえるわけでは決してないのだが、山好きの仲間たちも、ムズラムズラとうごめき出したようだ。
4日の快晴の日、Kimiちゃんは雪山を2こはしごしたとか。日本海近くの能化山山頂からの写真には、真っ青な日本海と眼下の海岸線や漁港が鮮やかに写っていた。
同じ日、Murandoさんは五頭山。真っ青な空、真っ白な飯豊連峰、霧氷のブナ林。「こんな日に、なぜ来ない?」と山から叱られているような写真だった。

どういうわけか、我らはそんな日には登らない。どういうわけか、我らは今日のような日に山へ行く。

朝、麓は雨。
天気予報は、雨が上がって曇ると出ている。

傘をさして、登山口を目指して歩く。
メンバーの誰一人、天候を心配している様子もない。

皆、気象庁を信頼している。
というよりも、楽天家というか、基本的に能天気なのだ。

Junjyさんなど、初の雪山登山ができるというので
ワクワク、ウキウキ顔だ。
もちろん、自分もだが。
今回も、タマが一緒に登ってくれるという。
でも、橋はダメ。
今回も、Haseさんが、橋の手前で足踏みするタマを捕まえて
抱きかかえて橋を渡る。


ここ1週間ほどの暖気で、雪はかなり融けはじめている。
ザラメ雪で、表面がザラザラと滑る。

麗しい愛犬愛とはいえ、結構危険な行為だ。
 
 
200mを越えるあたりから雨もあがり、
予報どおりの曇り空となった。 

300mを越えると、ザラメ雪の上に新雪が積もっていた。
昨夜の雨が、ここでは、雪になっていたのだ。

新雪を踏んで、シルバーたちの、このはしゃぎ様はなんだ!
童心に帰って、新雪の上にカンジキの跡を残す。

すっかり、雪山が病みつきになった顔だ。


Mikiさんだけは、スノーシュー。
カンジキと違って沈まない。
下りは辛いだろうと思っていたら、下りの時も
スノーシューでスイスイと下っていた。
時々、勢い余って滑ってはいたが。
スノーシュー、なかなかよさそうだ。来年の課題にしよう。

 
高坪山は、いつの時期でも、頂上直下のブナ林のきれいな山だが、この時期の、雪の霞にけむるブナ林も実にいい。


吹き付けた雪で薄化粧したブナの幹もいい。

そして、枝枝に着いた雪。
湿雪で、霧氷ではないが、それだけにまるで綿をまとったよう。

ときどき風が吹いて、枝枝に付着した綿雪が散る。
そのとき、雪の霞がサーッと樹林をけむらして流れていく。


しばし、その中にたたずんで、大きく息を吸う。


大汗をかいて登ってきたかいがあった。
この風景を見るためにあがってきたようなものだ。

足の疲れも、なにもかも、すべて忘れさせてくれる。
無我の境地にさせてくれる。
それが、山だ。

 
山頂についた。

まだ踏み荒らされていない山頂の雪原
そのむこうに、雪の花を咲かせたブナの木

そして、下界に湧きあがる雲
かすかに見える日本海

どうだ、この景色。
雨をものともせず、カンジキはいて山に登る気持ちが分かるか。 
 
山頂で4人と1匹、オートタイマーで記念撮影。
純白の山頂雪原をすっかり踏み荒らしてしまった。

結局、我らは俗人なのだ。

お湯を沸かして、熱いコーヒーをすすって
何だかんだと冗談言って、ゲラゲラ笑って、
スタコラと下山した。 ときどき尻スキーをしながら・・・・
山頂の鐘つき台は、ぶ厚い雪の中。
下の写真は、秋に登ったときのもの。
比べてみれば、山にはまだ3mを超す雪が積もっている。

春はまだまだ先のことか。 


とはいえ、雪融けは着実に進んでいる。
谷間の水量は増し、渓流の水音は一段と賑やかになっている。
雪の割れ間も広がっている。

春は里から上がっていく。
 
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山歩紀行