昨年7月半ば、石転び沢の雪渓を計画したものの、当日が雨天で延期、その後、日程が取れず、雪渓が薄くなったとの情報もあったりして、結局今年に持ち越した。

今年は、雪渓が薄くならないうちにと、昨年より1月前倒しして計画した。
草付が現れず折角のお花畑が見られないかも、という懸念もあったが、安全を第一にこの時期にした。結果は正解だったようだ。

この日朝、玉川に入った辺りまでは小雨。それが長者原まで行くと、道路が乾いていて、梶川尾根が見えた。山のガスが消えて行き、連峰の稜線がくっきり見える。
もし、ガスがかかって行く手が見えないようなら、引き返すことも予定に入れていたのだが、絶好の日になりそうな雲按配。

登山口駐車場に5時、そこで朝食。5時20分林道を歩き出す。今季初めての20キロ超のリュックザックがやたら重くて、腰にズシリとくる。温身平まで27分。人の体はよくできたもので、このウォーミングアップで荷の重さが体になじんでくる。
途中、日帰り軽装備の数グループに先を譲った。スキーを担いだ人たちもいる。

7時20分、ようやく雪渓に上がる。涼やかな気分で雪渓を淡々と登る。
途中、スキーを履いて登る3人組が楽しそうに話しながら追い抜いていく。「そのまま、あの急斜面も登るの?」と尋ねたら、「多分、担ぐことになるでしょ。」と若やいだ声が返ってきた。1人は女性だ。すごいもんだ、ぐんぐん追い越していって、雪渓の中の豆粒になった。
後刻、この若者たちが歓声を上げて北股沢を滑り降りていった。ホントにすごいもんだ。

石転びの出合が8時10分。ここで新調した10本爪アイゼンを履き、ピッケルを出し、立ったまま行動食。
9時半、本石転び沢出合、この辺りから傾斜がきつくなる。雪面に石が浮いているし、周囲の崖には、何時落ちてもおかしくないような残雪が張り付いている。

途中、右岸の崖から雪塊が大音響を立てて崩れていくのを一度見たが、離れたところで難はなかった。
先に登った人の話では、我らが雪渓に入る前の時間帯に、岩が滑って行くのを見たという。それも離れた箇所で難がなかったとのこと。

いずれにしろ、緊張を強いられる。一息入れるにも立ったまま、斜面の上方に絶えず気を配って、落石、落雪が走るであろうルートを避けて登る。
最後の急斜面は、アイゼンの先爪でキックしてステップ刻み、斜面を斜めに一歩一歩九十九折に進んでどうにか12時30分ゴール。
後に続くJunjyさんも、新調12本爪アイゼンで、安定したキックステップを切っていた。
Haseさんはといえば、これには驚いた。6本爪のアイゼンとストックで、しかも、斜めになど登らずにまっすぐの直登、やっぱり、若さと経験の差、恐れ入りました。

ともあれ、運がよかったということもあるのだろうが、無事に登りきることができた。
乾杯のビールのうまかったこと。保冷材が効いてギンギンに冷えていて、担いできたかいがあったというもの。

天上界は、今回も、お花畑満開の歓迎でした。
人と交わり、草木と交わり、山気と交わり
それら一瞬の表情を写真で切り取る楽しみも広がって
単独行もいいし、仲間とならなおいい
そんな山歩きの楽しみを綴ってみました
山歩紀行 2013

                 西穂山荘 2011.8.28撮影
 
  2013年6月16日 飯豊連峰1日目
      石転沢雪渓を登って北股岳から門内小屋へ

                  北股岳 2024.9m 山形県小国町・新潟県新発田市

石転び沢の雪渓を登る  その名の通り、石がゴロゴロ  がしかし、どの石も妙に居座っている

海抜600mの沢底から2000mの稜線まで
白い1本の道が続く

左上にポツンと梅花皮小屋が見えた
  あそこが雪渓のゴール

雪渓から見上げた絶景
  雲の先に梶川尾根が見える

ここが最後で最大の難所
 40度を超えるという急斜面

隣の北股沢をスキーで滑走していく人
  谷間に歓声をコダマさせて

梅花皮小屋が見えた
  ゴールはすぐそこ、もう一息

無事ゴールした三勇姿
  とにかく平らな雪面がうれしい

梅花皮小屋の周囲は一面のお花畑
 
何はともあれ、カンパーイ              ミヤマキンバイ
 
ヒナウスユキソウ                   ミヤマキンポウゲ
 
キバナノコマノツメ                  ハクサンコザクラ
 
北股岳への道に  オヤマノエンドウ  や  イワカガミ
 
ハクサンイチゲ                    ツガザクラ
 
北股岳から石転び沢を覗く
ここを滑降した人に脱帽          この岩が転げ落ちたらと思うと、ゾッ!

北股岳から扇ノ地神、梶川尾根方面
  中間に門内小屋がポツンと見える、本日の目的地
 
ミツバオウレン                    ツバメオモト
 
ノウゴウイチゴ                     ミヤマスミレ

ハクサンイチゲの花畑 その先に、今越えてきた北股岳 その向うは梅花皮岳

雲海の彼方、日本海上空に沈む夕日  門内小屋から 19:07

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