名にし負う阿賀北山岳会が、この夏、あの槍ヶ岳に遠征するという。昨年、槍を逃した当方に同情したか、Anqさんから同行の誘いがあり、喜び勇んで厚かましくも参加させていただくことにした。
今回は、そのための訓練に平標山に登るという。

さすが、山岳会だけあって、団体規律が厳しい。我らの如き個人登山のグループとは訳が違う。
食事は共同食、準備は会員が分担。共同装備も平等に分配して担ぐ。もちろん、当方にも荷が渡された。
集団行動を乱して一人列を離れると厳しい注意が飛ぶ。

なーんて書くと、とんでもない堅い団体のように聞こえるが、実体は全く違う。

道々は冗談ばかり、笑い話が絶えない。後で聞いたところでは、厳しい注意は、同級生の気安さからとのこと。なにせ、前歴があってのことで、それも笑い話の一つになっているらしい。
高山植物についてのAnqさんの造詣深さもさすがのもの。
今回、アズマシャクナゲとハクサンシャクナゲが近くに混在していて、その違いを明瞭に教えてもらった。
ハクサンコザクラとヒナザクラは共生できず、それで、飯豊にはヒナザクラがないのだということも、道々の話で初めて知った。

標高1660mの平標山ノ家幕営場にテント2張り、その中で集団暮らし。
夕食は、野菜タップリの焼肉に三輪ソーメン。つけタレには、鯖の水煮を混ぜ入れて、そのうまいこと。
その上、飲料が数種類、それを飲みながら四方山話。寝袋に入ってからも、酔いに任せて諸々談義。
朝飯は、アルファ米に寿司の元を混ぜて、ガッツリ食。
これなら、エネルギー切れでへばることはない。

共通の食材、調理道具、テント装備等々、相当の重さになる。平等に分配とはいうものの、どうやら体力を勘案して上手に按配しているようで、そのあたりにも、思いやりがタップリと配慮されている。
何しろ、下山した後も、それぞれの好みに応じた飲料が配布されるくらい。当方はもちろん遠慮しいしい(?)ビール。

話を戻すと、梅雨真っ最中のこの時期だから、山は常にガスっていた。
濃いガスがかかって、霧で水滴が垂れるほど。かと思うと、一瞬のうちに青空が戻って、山頂を見せてくれたり、千変万化の様相。
すぐ隣の苗場山ですら全容を見ることは適わなかったが、それでも、平標山、大源太山、仙ノ倉山の山頂や稜線は時々すっきりと見ることができた。

なによりも、その稜線の上は雲上の花園。期待以上のお花畑で、さすが大人気の山、2日目には行列を作って登ってくる人たちとすれ違うほど。

帰りの車中、Anqさん曰く。山に来る人三種あり、登山家、登山者、登山客。
登山家には中々なれるものではないが、せめて登山者にはなりたいと。
謙虚で意味深長な言葉、もって肝に銘じたいと聴いた。

とまれ、今が盛りのベニサラサドウダンの真紅の花が至るところで咲き誇っていたし、高山植物の代表的な花々が、群れをなして、あるいは、点々と姿を見せていてくれて、会のメンバーの皆さんの温かさと合わせて、十二分に楽しみ満足した山旅でした。

皆さん、飛び入りを受け入れてくださって、本当にありがとうございました。次回の槍行きが楽しみ、よろしくお願いします。
人と交わり、草木と交わり、山気と交わり
それら一瞬の表情を写真で切り取る楽しみも広がって
単独行もいいし、仲間とならなおいい
そんな山歩きの楽しみを綴ってみました
山歩紀行 2013

                 西穂山荘 2011.8.28撮影
 
   2013年6月29・30日 平標山 雲上の花園

         平標山 1983.7m 大源太山 1764.1m 仙ノ倉山 2026.2m
                         新潟県湯沢町 群馬県みなかみ町

29日昼  平標山ノ家から眺めた平標山と仙ノ倉山に続く稜線

29日午前 平元新道のカラマツ林を進む

平標山ノ家から大源太山へ向かう稜線で、ニッコウキスゲ

雲湧く大源太山から仙ノ倉山を望む

山中至るところにベニサラサドウダンの花ざかり

30日朝 平標山頂へ向う
 コバイケイソウの向うに山頂が見える

谷川連峰最高峰・仙ノ倉山々頂2026.2m
  雲の上(中かな?)に立つ

30日昼前 平標山々頂の賑わい
 山ガールに山ボーイに

下山路・松手山コースを次々と登ってくる集団
 さすが人気の山

  平標・仙ノ倉の稜線上は、まさに雲上の花園
 
  色とりどりの高山植物が咲き乱れる天上界
 
オノエラン                         ハクサンチドリ
 
コケモモ                          ヨツバシオガマ

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