もう3年も前になるだろうか、同期の仲間と八海山に登った時、地蔵岳の上で、あれが巻機山だと地元の友人が教えてくれた。
魚沼の人たちには慣れ親しまれた山のようだった。

そのときの山頂観望では、どの山がその山か、はっきりとは分からなかったのだが、巻機という名前だけは印象深く残っていて、いつか登ってみたいと思っていた。

今回、常念・蝶ヶ岳行きが悪天候でお流れとなり、雨天続きの合間を縫って、晴れる山をネットの天気予報でひたすら探し続けた。

27日土曜日、巻機山は晴れと出た。この日、この山にしようと、Junjyさん、Haseさんに図ったら、Kimiちゃんも前々から行きたい山だったので是非に、ということになった。
ところが、その前日になって、土曜は雨の予報に変り、翌日曜は晴れとなった。
皆、一日延ばしても構わないと言う。よし、それではということで、ようやくこの日、念願の巻機山登山が実現した。

以上が経過説明。
今月の我らの登山計画は、このように不安定な状態が続いている。にもかかわらず、狙いはまさにピタリ、長梅雨の間でも、お蔭さまでピンポイントで天候を当てている。

この日も、眺望はきかなかったが、巻機の雄大な天空の湿原・草原を充分堪能することができた。
何よりも、Kimiちゃんのスピードタイムで踏破でき、常念・蝶の間の往復も可能だったのではないだろうかと思えてきた。そう無謀な計画を立てたわけではなさそうなことが分かったことも、今回の大きな収穫だった。

それはともあれ、巻機は雄大で大らかな山だった。
なにか、大きなお相撲さんがどっしりとあぐらをかいて座ったような、そんな印象をいだいた。

登山口の案内地図では御機屋となっていて、山頂ではないはずのところに山頂標識が立っていたり、1967mの標示があったり、ほんとうのその高さのところにはケルンがあるだけで、何の標示もなかったり・・・、それに気づいたHaseさんに指摘されるまで、まったく気づかない不思議な山だったが、そんなことは、山頂でくつろぐ人々の誰も気にしていないようだった。

下山で会った、何度も登っているという北魚沼から人の曰く。
そういえば、昔は今のところにあって、その後来たときは、あっちの高いほうに動いて、また今はこっちに動いているみたいね。
山頂標識のことだ。
誰かが動かしたと言うのではなく、動いたと言う。なんとも大らかな。
つられて、私。機織姫が時々動かすんでしょうかね。
その人曰く。あぁ、そうかもね、あははは・・・・は。
全く気にしていないふう。

そういえば、山頂のあの大らかなカーブを描いた山容を見たら、そして、湿原の中をゆったりと曲がった天空のあの山道を歩いたら、数十メートルの違いなどちいせえ、ちいせえ、と大らかな気分になってくる。
うん、世の中のことは、だいたいでちょうどいい。

巻機山は、ずっしりとして重みがあり、それでいて、アバウトな厚みを湛えているように見えた。
やっぱり、来てよかった。
それぞれの山にそれぞれの良さがある。
人と交わり、草木と交わり、山気と交わり
それら一瞬の表情を写真で切り取る楽しみも広がって
単独行もいいし、仲間とならなおいい
そんな山歩きの楽しみを綴ってみました
山歩紀行 2013

                 西穂山荘 2011.8.28撮影
 
  2013年7月28日 巻機山  ズッスリとした大らかな山

             巻機山 1967m  新潟県南魚沼市  群馬県みなかみ町

10:00 巻機山頂の標識が立つ御機屋から  ニッコウキスゲ群れ咲く斜面のその下に池塘

6:55 朝日差し込むブナ林を行く 白い木肌がなんともやさしい

7:39 割引岳と天狗岩を左に見て井戸尾根を進む

8:22 あれはニセ巻機
 あそこまで上がらないとホントの山頂は見えない

9:13 ニセ巻機山から
 ようやく巻機山の全容が見えた 右が山頂1967m

9:53山頂へ向う斜面から 鞍部にある避難小屋を振り返る
10:02御機屋から牛ヶ岳1962m 右端が巻機山頂1967m

10:10山頂標識のある御機屋から  池塘のある天空の草原

巻機山で出会った花たち(花でないのもありますが・・・)
 
ニッコウキスゲ 至るところに黄色い点々が   マルハマンサクのひと足早い紅葉
 
シモツケソウ                     キンコウカ も 至るところにびっしりと
 
タテヤマリンドウ                   ウラジロヨウラク
 湿原いっぱいに星を散らしたように
 
イワイチョウ                      モウセンゴケ これも湿原にびっしり
 
ノウゴウイチゴ 甘くてうまい            サワランか トキソウか 蕾で分からない
 
アカモノ 実になりかけ                オトギリソウ
 
キオン・・・だと思うのだが・・・・           ハナチダケサシ

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