さて、下山して感激も覚めやらぬまますぐに南岳までの一万尺の稜線踏破に出立。
山荘前を過ぎ、飛騨乗越に下って登り返すと大喰岳。
ここからの槍ヶ岳の姿が実にいい。
しばらく時間を費やして、槍との名残を楽しみ惜しむ。

そして、いよいよ南岳目指してアルプス一万尺の稜線歩き。

中岳への登りは途中ハシゴ場もあって結構手ごわいが、そこを抜ければ南岳はなだらかな山。
天空の漫遊を楽しむ気分で、余裕をもって南岳小屋着。

早めの夕食を終えても、外はまだ明るい。
小屋の前の小山に上がると、、例の大キレットを覗ける展望箇所シシバナがある。
寒さに耐えてじっと待っていると、時間が経つにつれキレットを覆い隠していた霧が薄れていく。
そして、ついにキレットの底が見えた。

シシバナのへりから覗き込んでみると、キレットは凄く深く、細い。その先に目をやれば、細い登山道が北穂高、奥穂高に続いている。
ジャンダルムの先には、一昨年立った西穂高の山頂があるはず。


この春、さる旅行社企画の槍から大キレット経由奥穂、三泊四日の山旅に申し込んでみたものの、10人限定すでに満席と断られた。

同行のKazuさんも、いつかこの細道に挑戦したいと言う。Unqさんは若い頃通ったらしい。
同行の女性2人は、クワバラクワバラの態なようだが、念じれば通じる、この先の目当てが出来たような気がしている。もちろん、安全第一なのはいうまでもない。


最終日、小屋を出て再度南岳を越えて天狗原分岐から横尾尾根を下り、氷河公園を眼下に見ながら天狗原に出た。
天狗池はまだ氷が厚く、逆さ槍を映すことは出来なかった。何よりも、山頂付近はガスがかかって、槍も穂高も見えない。ただ、足元はよく晴れていて、氷河が作った地形を眺めつつ、一日目のルートへ戻り、あとは、ただひたすら上高地への道を急いだ。
横尾のアイス、これは天下一品だった。


素晴らしい機会を恵んでくださった、阿賀北山岳会の皆さん、リーダーのUnqさん、本当にありがとうございました。実に楽しい山旅でした。
登山人は槍を目指す
      ~Unqさんの言~

あの三角錐(四角錐なのかもしれないが)を見れば誰だって、あの槍の穂先に立って見たいと思うだろう。
そこに至るまでの山旅が難儀であればあるほど、登山人は行ってみたいと思うだろう。

登山人の端くれに加わりたいと願っていた当方、ついに、その槍の穂先に立つことができた。


去年、Haseさん一行の槍行きに加わらず、指を咥えていたのだが、阿賀北山岳会のご厚意で夏季特別山行きに加えていただき、ようやく念願を果たしえた。


一日目は、上高地からひたすら歩いて槍沢ロッジ泊。

3年前、Haseさんにニシホに行こうと言われたとき、イナホなら知ってるけどニシホって何だ?と、その程度に無知だった自称遅れてきた登山青年の今回が始めての上高地。横尾を過ぎて喧騒から逃れ、ホッとしたのもつかの間、槍沢ロッジの賑わいには閉口。とはいえ、寝てしまえばこちらのもの。夜中に一度、満天の星空を眺めて、朝までぐっすり。

二日目は、いつ槍が現れるかと期待しつつ槍沢を登り詰める。
あれが槍では?、今度こそあれは槍だろう?と、尖がった岩山を見るたび期待は裏切られ、中々現れてくれない。

大曲も過ぎて、天狗原の分岐を過ぎてからだったろうか、尾根の陰からヒョイと尖がり岩が出て、もしかしたらあれが槍?そう、あれが槍だと同行の人たちが言う。
ピョコンと小さすぎて、これまで散々見てきた尖がった岩稜の一つにしか見えない。

それが、近づくにつれ、存在感を増して頭上に圧倒してくる。さすが槍。
あの穂先に立ちたいと気力が増してくる。カールのヘリを一歩一歩上がっていく、確実に槍が迫ってくる、その感触が堪らない。

山荘の横に這い上がって、一息入れ、槍の穂先に向う。
どこぞの団体さんと遭遇して渋滞はやむを得ず、下りの渋滞のお蔭で山頂滞在の時間が増えたのは儲けもの。
同行のKさん、2年前に歩いた燕岳~蝶ヶ岳の稜線上の山々を山頂で一緒になったどこぞの方々に説明している。得意満面。分かる分かる、その気持ち。3泊4日もかけてテント泊で、あの長~い稜線を歩いたんだもの、羨ましい限りだ。
山は、羨ましさが次への原動力となるのだから、Kさんの話は、当方への活力ともなって、槍の穂先に立って、歩いてみたい山がどんどん増えていく。
人と交わり、草木と交わり、山気と交わり
それら一瞬の表情を写真で切り取る楽しみも広がって
単独行もいいし、仲間とならなおいい
そんな山歩きの楽しみを綴ってみました
山歩紀行 2013

                 西穂山荘 2011.8.28撮影
 
  2013年8月2日~4日 槍ヶ岳~南岳 3000m超の稜線を行く

             槍ヶ岳 3180m 大喰岳 3101m 中岳 3084m 南岳 3032.7m
                          長野県松本市  岐阜県高山市


8月3日8:49 ようやく槍沢を登り詰めて目指す槍ヶ岳を仰ぐ 仰ぎながら何べんか休憩をとった
 休みを取るたびに、槍ヶ岳山荘の大きさがが目に映ってくる
 休みを取るたびに、槍をバックにした記念写真が貯まっていく

6:54 二日目
 6時前にロッジを発ってひたすら槍沢を登り詰める
 目の前に、いかにも氷河のカールらしい光景が広がる

8:08 槍沢ロッジを発って2時間あまり
 「あれが槍か?」と下山人に尋ねるも
 「あれは槍ではない」と言う。未だ槍は現れず。

8:29 槍が初めて出現
 尾根筋の陰から突然のようにヒョイと出てきた
 もしかしたら、あれが槍?という感じで

9:56 近づくほどに、圧倒的な存在感で頭上に迫ってくる
あれが槍か~ そんな単純な感想しか湧いてこない

11:29 何はともあれ、雲の出る前に頂に立っておきたい
 ほぼ垂直のハシゴをひたすら上へ上へと 槍に登る
 
槍の頂下から 山荘~飛騨乗越~大喰岳    槍の頂から 直下の山荘
 
槍の頂から 常念岳~蝶ヶ岳への稜線      槍の頂から 燕岳~大天井岳の稜線
予定では、先月末あの稜線を往復するはずだったのだが・・・

13:40 槍ヶ岳山荘の前を通り過ぎ、大喰岳へ向う途中
槍が傾いている
 ・・・あれだけの人が登れば、傾くのも当然かと・・・

13:36 大喰岳山頂  KさんとYさんをモデルに
職業写真家と称する方がカメラを向けていた

14:28 中岳に向うハシゴ場

16:18 南岳への稜線を歩く さながら天空の漫歩道

18:36 南岳小屋前シシバナから大キレットを覗き込む
 
18:41 北穂高岳、奥穂高岳、ジャンダルム                ソバナ
 
8月4日7:02 天狗原に下る                         クモマグサ

 
ホソバトリカブト                   ヤマオダマキ
 
ヒメゴヨウイチゴ                   ミヤマカラマツ
 
イワツメクサ                     ミヤマクワガタ
 
ツガザクラ                      タカネヤハズハハコ・ミヤマタンポポ
 
タカネシオガマ                   モミジカラマツ
 
サワギク                       ベニバナイチヤクソウ
 
センジュガンピ                   キバナシャクナゲ

今回の槍ヶ岳山旅の様子は、
Unqさんのブログ と 山旅 に また、KazuさんのHP「KAZUの山旅」にも
掲載されています。  どうぞ、ご覧ください。

 
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