人と交わり、草木と交わり、山気と交わり
それら一瞬の表情を写真で切り取る楽しみも広がって
単独行もいいし、仲間とならなおいい
そんな山歩きの楽しみを綴ってみました
雨ニモ負ケズ風ニモ負ケズ山ニ登リタイト思ッテハイルモノノ、ヤッパリ、天気ハ良イニコシタコトハナイ 
阿賀北山岳会の9月定例行で、メンバーは5人。前日は河原坊の登山口にテント泊。昼過ぎのまだ明るいうちから、テントの前で車座になって小宴会兼夕食。日暮れと共に寝袋に入って、睡眠時間8時間確保。
3:00 起床、朝食、テント撤収。
4:33 出立。登山道はまだ暗く、ヘッドランプの灯りを頼りに沢を徒渉。
しかし、5時を過ぎると薄明るくなり出して、灯りもすぐに不要となるくらい。
コメガモリ沢の登山道は、山頂への直登コース、下ることは一度もなく、ただひたすら登る。
沢の道は、大石がゴロゴロ、その岩石の下から水の流れる音だけが響く。上空はガス。
5:48 そのガスの上に朝陽が差し込んで、山頂稜線の岩肌が輝き出した。まるでレースのカーテン越しに山上を眺めているような景色に、一同、まずは本日の初感動。
6:05頃 沢の上部に達すると、あとは岩場。
頭の上に圧し掛かってくるような岩を見上げながら這い登っていく。
7:10頃、三点確保が必要になって、ストックをザックに収納するくらいの急な岩場の登り。
空は快晴に近い青空。足の下にはどこまでも広がる厚い雲海。対面の薬師岳が顔を出したり隠れたり、まさに絶景。
陽射しの暖かさと空気の冷たさがちょうどよい加減で心地よい。
道々、鵜の目鷹の目でハヤチネウスユキソウの名残を探すが、それらしいものは影も形も見つからない。
それでも、ナンブトウウチソウやナンブトラノオなどの早池峰山固有種の花々が、まだそう色褪せずに咲き残っていてくれた。
それに、ホソバイワベンケイの鮮やかな朱色が秋の気配を色濃く漂わせてくれていた。
7:43 山頂到着。
山頂一等三角点 標高1913.6m
山頂最高点 1917m
早池峰山も、三角点が最高点ではない山。地図にも標高が2通り記されている。
その山頂からの眺望が素晴らしい。
北西、雲海の上に岩手山。
先着の方が、西の方角に鳥海山が見えるはずと教えてくれた。微かに山らしき影が見えたが、鳥海山特有の三角形には見えない。
当方にとっては、鳥海山より北の山に登ったのは初めてのことで、どうも位置関係が頭にピンと入っていない。
彼の人曰く、年に何回かは、太平洋がキラキラ輝くのを見ることが出来るとか。
その話を聞いて、太平洋はどっち、あっちかこっちかと、あらぬほうを指差して、太平洋は東に決まっていると笑われる始末。
それはともあれ、360度の山頂大展望。
南方から西方は朝日に輝く大雲海。
北方から東方は雲海が晴れて、北上山地の低い山々が並んで見えている。
山頂の大岩の上に攀じ登って、絶景かな、絶景かな。
8:47 登山者が続々と上がってきて、山頂が賑やかになり出した頃、我らは下山開始。
下山路は、小田越へのルート。この道は、最初平坦なハイマツ帯の木道の上を歩く。
やがて岩場の下りとなって、20分後には長い長い梯子場が現れる。巨大な一枚岩の上に鉄梯子が長く2連かけられている。
下る我らとすれ違いに母と幼い娘の二人組がこの梯子を上って行った。
下る道々もハヤチネウスユキソウの名残を探した。
途中、自然観察員の腕章をした方が登ってきて、Unqさんが尋ねたら、花のカードなどを手渡してくれながら親切に教えてくださった。
探し物は、なんと目の前にあったのだ。あまりの変り様で、気づかなかったのだった。
喜び勇んで二人で急ぎ下り、Iskさんに追いついて教えたら、なんと、とっくに気づいてカメラに収めていたという。
かくして、第一発見者の栄誉はIskさんのものとなった。
10:34 小田越登山口に下山。
この登山口付近からは早池峰山の全貌がよく見える。暫し、5人で早池峰山を眺め、歩いた道を確認したりして、別れを惜しんだ。
その後、アスファルトの車道を2,30分下って河原坊に戻った。
その河原坊に宮沢賢治の詩碑があって、音読しているうちに最後の文言「攀ぢよう」がハタと読めなくて赤面。
帰って、辞書で「攀(よ)じる」という言葉があることを知り、まだまだ知らないことが多すぎると嘆息。

ところで、今回は余禄付きの山行だった。
前日のこと、登山者で文学者のUnqさんの計らいで、花巻にある宮沢賢治記念館を見学。
賢治の博学ぶりに驚いたり、90年近く前の原稿の推敲跡の生々しさに感動したり。
続いて童話村へ、そして山猫軒で昼食。しばしメルヘンの気分に浸ってひと時を過ごし、こんな山行も実にいいもんだと、Unqさんの企画に大感謝。
それに、長駆しかも行き帰り運転を続けてくださったIkd会長さん、独自の菅笠・地下足袋スタイルで楽しい語らいのWtkさん、そして紅一点、たくさんの食料を持ち込んでくださったIskさん、大変お世話になりました。
登り口にテント泊して早朝に出立、昼までに下山。
遠方の山行にはいい方法だと知った。これも今回の大きな収穫。
阿賀北山岳会の皆さん、素晴らしい山行をありがとうございました。
Unqさんのブログにも今回の山行が載っています。どうぞ、ご覧ください。
こちら と こちら
 
山歩紀行 2013

                 西穂山荘 2011.8.28撮影
 
  2013年9月28・29日 早池峰山 秋の気配と大雲海・大展望

             早池峰山 1917m 岩手県花巻市 遠野市 宮古市

29日朝7:44 早池峰山頂からの眺望  右方雲海の彼方に岩手山
     左方微かに見えるのは、秋田駒ケ岳ではないだろうか
     更に左の方向には鳥海山が見えるはずだが、僅かに山影は見えたものの確認できなかった
     東方向に太平洋がキラキラと見える日もあるとか
     それは無理だったが、とにかく素晴らしい眺望の日だった


5:48 コメガモリ沢から、稜線に朝陽が当りガスが晴れていく

6:19 頭上に圧し掛かるような岩峰を目指してひたすら直登

6:40 まるで狛犬のような巨岩の下を行く、とにかく登る

早池峰山にも槍があった  小槍、でもダンスは無理

7:15 足の下は素晴らしい雲海 後ろの薬師岳1645mが出たり
隠れたり

7:30 山頂まであと少し 巨岩が続く

7:50 山頂の巨岩の上に立つ女が一人 雲海を眺めてうっとり

8:05 岩手山をバックに山頂ポーズを決める男が一人

8:56 小田越へのルートを下る 初めは平坦なハイマツ帯

9:00 対面に薬師岳 雲海が晴れて下界がスッキリ見える 

10:40 小田越口に下山して、早池峰山を振り仰いだ

今回、早池峰山で出合うことのできた花たち
 
まずは、ハヤチネウスユキソウ             ナンブトウウチソウの群舞する峰
 なれの果てなどとは言わないでネ
 
コウメバチソウ                      ナンブトウウチソウ  下を向く
 
シロバナトウウチソウ  上を向く            ナンブトラノオ  これでも虎の尾
 
チングルマ穂  毛槍を振り振り            ヤマハハコ 秋も賑やか
 
ホソバイワベンケイ 朱の鮮やかなこと        ミネウスユキソウ
 
ミヤマキンバイ まだ咲いていた           これもナンブトウウチソウ ?
 
ツリバナ  満艦飾                   ガンジュアザミ ではないかと?

前日28日、宮沢賢治記念館など
 
記念館受付? 猫の事務所               童話村  セロ弾きゴーシュ デクノボー

注文の多い料理店 山猫軒

 早池峰神社社前に
珍しい「枝垂れ桂」の木
その原木で天然記念物とか

河原坊登山口にて  テントの前で夕食
自然環境の保護は、当然ながらかなり厳しい

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