人と交わり、草木と交わり、山気と交わり
それら一瞬の表情を写真で切り取る楽しみも広がって
単独行もいいし、仲間とならなおいい
そんな山歩きの楽しみを綴ってみました
この春、山形県飯豊町と福島県喜多方市を繋ぐ飯豊トンネルが開通した。そのトンネルの入口の葡萄沢登山口は標高830mで、飯豊の登山口としては最も高い位置にある。その情報をいち早くつかんだJunjyさんが、このルートを使って本山、大日へ行ってみたいと言い出したのは、夏の初めのことだった。
槍と北岳の縦走を終えた8月後半に、このルートの下見に行くことにしていたのだが、何だかんだと後回しにしてしまった。
10月に入って、飯豊の秋景色が見たくなり、前日の6日に電話を入れてみた。
武尊から一ヶ月、Junjyさんは、秋の展覧会出展作品の制作に余念なく、アトリエに籠りっぱなし状態だったらしい。ちょうど山に餓えていたときだったようで、即OK。今回は、そんなJunjyさんの足慣らしも兼ねて、ゆっくりと五段山から地蔵山までの秋の稜線歩きを楽しむことにした。
登山道は実によく手入れされていた。しかも、あまり入る人もないようで、全くと言ってよいほど傷みがない。
多少のアップダウンはあるものの、ほぼ平坦な稜線道で、ところどころに湿地や池塘があり、五段山、牛ヶ岩山、御前山、地蔵山のどれも、標示がなければ山頂であることさえ見逃してしまうほど。そんな山道で、はじまったばかりの紅葉の秋を満喫してきた。
7:28 葡萄沢登山口から入山、30分ほど登り汗ばむ頃、標高1022mの川入切合で、尾根の上に出る。
更に50分ほど、ゆっくりと登ると1312mの五段山。
ここから、稜線歩きが始る。

9:16 五段山のブナ林
道はよく整備されて、登山道というよりはトレッキングコース。
いつもは時間を気にして、セカセカ登山になるのだが、今回は、目的地を地蔵山にして、ゆっくり秋を楽しむのんびり山歩き。
紅葉はすでに始まっていて、黄や赤に染まるトンネル道などもあり、池塘や湿地の植物を眺めたり、喜多方や米沢の遠景を楽しんだり。
10:43 地蔵山着。名前の通り山頂に石仏がある。山頂を下って分岐に出ると、その名も怪しい「血の池」などという池塘もある。
分岐から少し下って見通しのよいところに出ると、正面の三国岳から右端の飯豊本山まで、連なる峰が一望に見渡せるところがあった。
この時期ならではの飯豊の独特な風貌が何ともいい。これが見たかったのだから、目的は達成だ。
三国岳山頂の下には、剣ヶ峰の岩峰ルートが見える。飯豊最大の難所とか、どこかに書いてあったような気がする。
予定より少し早く着いたものだから、Junjyさん、何か物足りなそうで三国岳まで行きたそうな口ぶり。
そこまで上がれば、大日の雄姿も拝めるし、どうしようか迷うところだが、往復すると3時間はプラスになるし、秋の日暮れは速いし、難所を急ぐと危険もあるし・・・ということで、今回は当初の予定通り、地蔵からUターンすることに一決。
来年、日足の長い時期に、本山から大日に足を延ばすことにして、今日はの~んびりとコーヒーを点て、山の景色や紅葉や遠景を楽しんで、帰途についた。
たまには、こんな山歩きもいいもんだ。今回はまさに、Alpinist ならぬ
Naturalist の気分。
帰路、振返ると、種蒔山の右方に切合小屋が見えた。一昨年、谷を挟んだ反対側の尾根を大日杉口から上がってあの小屋で第1日目の夜を過ごし、2日目は、そこから草履塚を越えて本山を越えた。
その懐かしいルートを眺めて、あの縦走の素晴らしさを改めて想った。
あれですっかり飯豊の魅力にはまったのだったが、あの縦走に誘ってくれたのが、ほかならぬ今日同行の
Junjyさんだった。そのJunjyさん、アトリエに籠もって殆ど歩いてもいないという一ヶ月のブランクも、何の差障りなく快調に山歩きを楽しんで、翌日会ったら、足が痛くもなんともないと笑って言うのだから、すごいもんだ。カイブツだ~。
山歩紀行 2013

                 西穂山荘 2011.8.28撮影
 
  2013年10月7日 飯豊連峰・地蔵山 Naturalistの歩く道
         地蔵山 1485,2m 山形県飯豊町 福島県喜多方市
11:05 地蔵山から  眼前に広がる飯豊の峰、左端・三国岳(三国小屋が見える)、右端・飯豊本山

本山のアップ  この日、午前中は雲が多く、本山山頂付近にも
雲がかかっていたのだが、地蔵山に着いたときには山頂雲が晴
れてくれた。いつも、飯豊連峰の北方向から本山の南面を見てい
るのだが、この日は、南方向から本山の北面を見ることが出来
て、今回の目的達成。

9:21 稜線の道は秋満載、空に透かして紅葉を見上げた

9:28 真っ先に山を彩るヤマウルシ

9:43 黄色に染まる道、紅葉のトンネルで一息

10:03 喜多方の盆地 田圃から稲刈後の煙が何本も

11:05 種蒔山と飯豊本山、中間に草履塚も見える

12:13 地蔵山の「血の池」 正面に三国岳、今回は眺めるだけ

12:34 丁寧に刈払われた稜線の道、秋色の中をのんびりと戻る

12:55 喜多方盆地の向うの雲が晴れて、会津磐梯山が見えた

13:02 種蒔山を振返ると山と山の間に切合小屋がポツリと見えた


今回出合った花など秋の植物
 
マンサクの虫こぶ 実かと思ったら違った      チングルマ  まだ咲いていてビックリ
 
オオカメノキの紅葉と実 秋の代表          5葉だったから、エチゴキジムシロ ではないかと
 
コケスギランの胞子嚢ではないだろうか?      イワショウブ これも湿地に残っていた
 
ミズキ この実を猿が貪り食い散らす        ブナの大木の枯幹に月夜茸がびっしり 食べたら危ない

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