帰り途R399は、天国と地獄


大した汗もかかなかったので、入浴もせず高速に乗ったものの、福島飯坂ICで下りたら、気が変わって飯坂温泉に寄り道。大正創業という古い旅館に、日帰り入浴歓迎とあるのを目にして飛び込んだ。

何ともゆかしい古式な浴槽で、疲れを癒して、さて帰ろうかとナビを見たら、来た方向R13に戻る気はないらしく、真逆の方向を示している。


周囲はすっかり暗くなって景色も見えないが、確か、そっちは山の方向。
不安に思いながらも試し気分で走り出すと、国道399号の標示、続いて、高畠に至るとの案内板。
栗子トンネルを通らないで戻る道があるらしい。
さすがナビさん、と褒め称えて進むと、摺上ダム湖の道は4車線かと見紛うばかりの高級道路。

が、それはそこまで。

ダムを過ぎると、突然、大型車進入不可の標示。一気に道幅大減少。
右側はコンクリ擁壁の垂直崖で、落石注意の連続。左側はガードレール、その下は真っ暗闇。多分断崖なのだろうが、見えないのが幸い。
路面には敷いたような落ち葉、轍だけが頼りの勿論1車線。
ど真ん中を恐る恐る進む。暗いのも幸い、対向車があればライトで分かる。

山中に、「この先にソバ屋」の看板。やがて人家あり、これがそのソバ屋か?灯りもない。
もしかしたら、「注文の多いソバ屋」かも、クワバラクワバラ。そっと通過。

と、突然、「ここから福島県」という大きな看板。
えっ?今まで走っていたのはどこの県だ? まるで狐につままれたよう。
後ろからヘッドライトの明り、急速に近づいてくる。退避所に車を寄せて、道を譲る。
Okkaaに、今の運転手見たか?狐がニヤリと笑ってなかった?
山形車のその車、速いこと、あっという間に明りも見えなくなった。
でも、これでこの先進めることが分かって、まずはひと安心。ただし、狐でなかったらだが。


右に左に蛇行する道を登っていくと突然、Okkaaが喚声。
車を止めて、「見て!」と喚く方向を見ると、ナント左下方に、米沢盆地の見事な夜景が。

米沢、高畠、南陽などの灯りだろう、赤、青、黄、橙色の光がチカチカと星空のように瞬いて、山頂小屋に泊まったときでもなければ滅多には見れない光景。

そんな経験の皆無なOkkaaにしてみれば、それはそれは、この世のものとも思えない光景だったのだろう。
ナビさん、これを見せたくてここに連れて来たんだねぇ、などと大感激。


ナビを見ると、ここは鳩峰峠、標高790m。なんとも絶景、ここは天国。
しかし、ここから先は地獄。


後で分かったのだが、ここから先の道は、酷道愛好家には知られた道のようだった。

峠の下り道は強烈なヘアピンカーブの連続。
さすがのナビさんも、ついに正気を失って、「ここからUターンです!」などと、本気声で喚く始末。
おい、今更ここでUターンはないだろう!と一喝すると、今度は、「間もなく右折です」ときた。
一本道に右折も左折もあるものか!とナビさんのうろたえぶりに、車中大笑い。
危機に直面して笑いは効果的、それでナビさん、どうやら正気を取り戻したらしい。

どうにか麓の高畠町に出て、R113で帰途に着けた。


これも後で分かったのだが、鳩峰峠は、地元の人には、知る人ぞ知る隠れた名所らしい。
もし、興味のある方は、是非、どうぞ。
但し、自己責任で、天候のよいときに。


参考までに、
地図は、こちら
鳩峰峠の紹介ブログは、こちら


Okkaa曰く、今度、紅葉の時期の明るいときにまた通って見たいと。
でも、ナビさんは、もうコリゴリ、金輪際御免こうむりたいと言ってるようだし、さて、どうしよう。
人と交わり、草木と交わり、山気と交わり
それら一瞬の表情を写真で切り取る楽しみも広がって
単独行もいいし、仲間とならなおいい
そんな山歩きの楽しみを綴ってみました
紅葉の真っ盛り、3連休の最終日。
こんな日に、観光登山に割り込む気などさらさらないのだが、天気予報ではこの日の前後は荒れ模様、適日はピンポイントでこの日だけ。となれば、やむをえない。覚悟はしていたが、駐車場1.5km手前で早渋滞。ようやく誘導されたのは、勿論最下段の駐車場。RW乗場も長蛇の列。Okkaaはそこに並び、当方は、くろがね小屋を目指す。1年前、Murandoさんからそこの紅葉は秀逸と聞いていた。
ふと見ると列から離れて、ゲレンデを直登していく人たちがいる。
日頃から付和雷同型の当方、近道に違いないと勝手に思い込んで、人の少ないそのコースに入った。
途中で、ルートが違うことに気づいたが、今更戻る気にもならず、これまた日頃の臨機応変いいかげん性そのままで、「まあいいさ、予定の逆回りで行くだけだ」と、そのまま登り続けた。
昨日は降雨があったとかで、五葉松平への道はぬかるんで、ここを下るにはかなり閉口したことだろうと思うと、結果オーライ。
RW山頂駅近くの薬師岳に着いたのがほぼ10時頃。
後で聞いたら、Okkaaも同じ頃少し遅れてそこにいたらしい。が、10分の乗車で上がってくるRWで、まさか1時間もかかるとは思いもよらず、とっくに先に行ったかと、探しもしなかった。
Okkaaにしてみれば、当方の予定は、くろがね小屋ルートから登ると言っておいたから、この時刻にその場所にいるとは思いもしなかったらしい。
仮に探したところで、この人混みで、果たして見つかったかどうか。
内輪のことはさておいて、薬師から山頂への道は、老若男女の人の列、観光客姿多数、このままでは何時に着けるか分からない。
登山者なら、急ぐ人には道を譲るのだが、観光客にはその習慣もないようだ。で、隙を見つけては、前に出る作戦。多少えげつないかなとも思えたが、そもそも履物・身支度が違うのだから仕方がない。
この人、何でこんなに急いでるんだ?その上、こんな大きなザック背負って。そんな目で見られたような気がする。どうにも、観光客多数の中で異質者、異邦人、居心地が悪かった。
そもそも、Okkaaがその観光客の一人になってこの人混みの中のどこかにいるのだから、愚痴ってもいられない。これも下山後再会してから聞いたのだが、Okkaaは、どこぞの観光客の老老男女の一団に混ぜてもらって、無事、山頂まで行ってきたのだそうだ。これで俄かに自信がついたらしく、次の山にはカメラを持っていくなどと言い出している。
それはさておき、今年の紅葉はイマイチだというのが、周囲の専らの声だった。
そういえば、Murandoさんの去年の画像を見たら、同じ10月14日にこの山に登っていて、その画像の紅葉は、今日のものとは比べ物にならないくらい鮮やかだ。
今年の紅葉は遅れているかと思えば一部終ってしまったように赤黒く掠れてしまったところがあったり、何か変な感じがしないでもない。
がしかし、格別な晴天のお蔭もあって、この日の安達太良山の紅葉、充分錦秋を感じさせてくれて、期待したとおりの満足感があった。欲を言えばきりがない。人間、程ほどのところで満足するのが一番だ。Murandoさんから、安達太良の紅葉を是非にと勧められて、昨年は天候に恵まれず、磐梯山に変更したりしたのだが、一年ぶりに念願を達成できた。一年などという期間は、あっという間にやってくる。実に速いものだ。困ったものだ。
山歩紀行 2013

                 西穂山荘 2011.8.28撮影
 
  2013年10月14日 紅葉の安達太良山 人混みをかき分けて進む道
            安達太良山 1699,6m 福島県二本松市

13:20 下山途中、くろがね小屋を見下ろす岩場で
山頂で吹き荒んでいた寒風も、ここでは穏やかな風に変り、ここの紅葉が一番よかったような気がして、
岩の上に腰を下ろし、湯を沸かしてラーメンを啜り、コーヒーを点ててゆっくりと鑑賞した。
傍らを通り過ぎていく行列の喧騒は無視することにして。

 
8:38 駐車場から登山口、RW乗場に向う人の列  8:49 RW乗場の人の列、Okkaaはここに並んだ

9:17 ゲレンデを上がっていく人が見えて、人少なく近道らしく、
後を追った

9:47 五葉松平直前で、薬師岳方向の山が燃え始めている

9:59 薬師岳直前で、左に山頂の乳首が見える
  別名を乳首山とか

同じ場所から、望遠で、吾妻小富士だと思うのだが

10:03 薬師岳に上がったら、がっかりするくらいの人ごみ

薬師岳「ほんとの空」の碑の先に山頂乳首 
人を入れない画像に一苦労

11:14 山頂乳首に人の列、やむなくそこに並んだが、
待つ風の寒いこと

11:17 乳首登頂を待つ間に    山頂の賑わい   目の前に一直線の雲、こんな山日は滅多にない

乳首頂上の碑 確か月山にも八紘一宇の碑があった 下界は福島市

11:35 乳首を横から見て ナナカマドの実の赤が鮮やか

荒涼とした火口  遠くに磐梯山 秋元湖 その奥かすかに飯豊連峰

12:09 峰の辻に向う人の列 いやはや人の多いこと

「おや、今ごろどうした?」路傍のイワカガミに思わず声をかけて、
パチリ

12:18 篭山から続く斜面、ツツジだろうか赤く燃えている

12:24 紅葉の谷 矢筈森の方を見上げていると思うのだが

12:38 紅葉に憩う人々  この日来たことに、皆心満たされて
いるふう

13:38 くろがね小屋前を過ぎて   紅葉の中へ下る人たち
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