槍の穂先3180m '13.8.2
  山歩紀行 2014
 人と交わり、草木と交わり、山気と交わり
それら一瞬の表情を写真で切り取る楽しみも広がって
単独行もいいし、仲間とならなおいい
そんな山歩きの楽しみを綴ってみました

飯豊・石転び沢雪渓 '13.6.16
 
    2014年4月12日  残雪厚い鷲ヶ巣山 山頂までの長い道
鷲ヶ巣山 1093.3m  新潟県村上市

16:14 前ノ岳まで下山して振り返り、別れを惜しんだ中ノ岳と鷲ヶ巣山の威容
      メンバーの想いは唯一つ、「よくぞ、あそこまで・・・幾つ山を越えたやら!!」

<今回のルート>
6:05縄文の里駐車場-6:21林道登山口-8:00旧避難小屋-8:40前ノ岳-10:20中ノ岳(前峰)展望台-11:00中ノ岳-12:45鷲ヶ巣山山頂13:30-14:35中ノ岳-16:14前ノ岳-17:55縄文の里駐車場

8:00 旧避難小屋  雨量観測をしていた名残だろうか
不思議なくらい不釣合いな机と椅子が置いてあった


この日の山行記録をヤマレコにUPしてあります。
こちらから、どうぞ。
また、画像ムービーをYouTubeにUPしてあります。
こちらから、どうぞ。

間近で見る鷲ヶ巣山は
 黒々と威容を誇っていた



阿賀北山岳会は、月ごとに企画担当が交代する。
今月は、Kazuさんの担当。

実はKazuさん、阿賀北の名峰・鷲ヶ巣山にまだ登ったことがないという。
そりゃ、もぐりだ!!という評に応えて、今回、鷲ヶ巣山を企画したようだ。


お蔭で、私にとっても5年ぶり、人生4回目の鷲ヶ巣行きとなった。
しかも、残雪のこの時期に登るのは初めてで、ワクワクしていた。


Keynさんは、今回パスしようかどうか、随分迷ったと言う。
Unqさんも、Keynさんは中ノ岳までかなと思っていたらしい。
案に相違して、結局、12時間歩き通して山を三つ登り下りして、鷲ヶ巣山山頂まで行ってきた。

小柄な身体ながらたいした体力だ。
榛名山では、東京から来たという高齢者団体の一人から、さながら越後のヒメサユリさんですな、などと言われるほどのアイドルなのだが、これからはもうアイドルとは言わせない、ということになるだろう。


Kazuさんは、冬の間中、仕事の関係で山行が一切できなかった。鷲ヶ巣で今後の山行体力の度合いを計ったかと思いきや、なんと、これから始る農作業に向けての体力づくりだと言う。さすがは、専業農家だ。

Kazuさんには、もう一つもぐりと評されることがある。
下越の名峰・二王子岳の山頂にまだ立っていないらしい。
で、今月の第2回目の山行は、当然二王子岳ということになっている。

Kazuさんのブログ「Kazuの山旅」には、豪快な鷲ヶ巣山の写真が載っていた。久方ぶりの山行復帰と山ブログの復活、それが何よりも嬉しい。


鷲ヶ巣山の、残雪の中に黒々と聳える山頂は、威容と形容するのが一番いいように感じた。Kazuさんのブログの画像には、その感じが最もよく出ている。
改めて私の画像を探してみたが、Kazuさん以上のものはなかった。


普段、麓から南面の羽を広げた姿を見慣れた身には、きりりと立った山頂は威厳さえ感じさせられる威容だった。


さて、鷲ヶ巣山の登山ルートは、山を三つ登るのと同等で、下山も二つの山の登山となる。

昔から、「鷲ヶ巣に登れれば、どんな山でも登れる」と言われてきた山だ。
ましてや今回は残雪期、ルート上の雪がどのようになっているか、雪庇が落ち始めた尾根道は特に慎重を要する。

というわけで、リーダーのUnqさんは、時間に余裕を持たせて出発を早めた。
いつもはKeynさんを先頭に立てるのだが、雪道になったところからUnqさんが先頭に立った。

ルートを探しながら、キックステップでトレースを刻んでくれた。
急斜面の雪面で、そのステップが後に続くものにどれほどありがたかったか。
前ノ岳の手前で我らに追いついた単独行の高齢登山者が一人、いやー助かりますなどと言いながら、この後ずっと最後尾について行動を共にした。
ホントに助かったに違いない。


ところで、昨夏の槍の戻り道で、1時間おきに先頭を交代しながら歩いたことがあった。
私など、先頭に立つと、義務感からか切迫感からか、ついつい速度が上がってしまうのだが、先頭は常に後続者のご機嫌を伺いながら歩くようにと、Unqさんから諭されたものだった。

今回、それを身をもって示してもらった。
配慮の行き届いたペースづくりのお蔭で12時間歩き通し、難関ルートを乗り越え、あの鷲ヶ巣山まで行ってくることができた。

収穫の大きい今回の山行だった。

お蔭で、4人とも、改めて己が体力に自信を持ったに違いない。八ヶ岳に剱岳に白馬にと、これから始る夏山登山のための格好の訓練登山となった。


収穫と言えば、新潟から来たという単独行の高齢登山者に出会ったこともその一つだった。
高齢と言っても私とそれほどの年齢差はない。つまり、私も高齢の部類に近いのだが・・・・・。

それはともあれ、古希を二つ越えたというこの方、もし我々がいなかったとしても単独で山頂を目指すつもりで来たとおっしゃる。
若い頃からのベテラン登山者らしいが、この歳で、この気力、体力。
いやー、家にいれば酒を飲んでいるだけだから、などと淡々としておられて、気負ったところが少しもない。
山に入ること、山に登れること、そのことを楽しんでおられるような、そんな風情。

我もかくありたい、いい目標ができたと、道々しみじみと思った。
またどこぞの山でお会いすることがあるだろうか。
山はいつも一期一会だ。


Kazuさんのブログは
 こちらから
Unqさんのブログは
 こちらから

8:39 前ノ岳の雪庇の道  Unqさんが慎重にルートをとる

9:26 ブナの樹林を透かして光兎山が神々しく見えた
Kazuさんが、「いつも見ている光兎と違う側が見える!!」と
感歎の声

9:42 白肌が何とも美しいブナの樹林帯
ここからが中ノ岳への登り

10:14 平に見えるが、実はここはかなりの急斜面
Unqさんがキックステップでルートを刻み
Keynさんが後を辿る
11:12 中ノ岳を越えた稜線を行く、厚い残雪の先は鞍部

12:35 山頂間近
朝日連峰の雲が一瞬上がって以東岳が光る
12:50 鷲ヶ巣山山頂  目の前に祝瓶山

13:34 下山
  雪庇の道を折り返し、中ノ岳への戻り道を急ぐ

14:32 中ノ岳から手を振る仲間  一人増えている 

14:35 中ノ岳の眼下に、三面川ダム湖二子島

15:32 鷲ヶ巣山と中ノ岳に
名残を惜しみつつ、前ノ岳へ登り返す

17:05 遠く三面川河口辺りに夕日が照り返す頃
 前ノ岳を越えて最後の下り

17:34 清流に夕日が射し込む頃
 ようやく小沢の渡渉地点まで下山

清流のほとりに咲いていた濃い紫の一輪
これもキクザキイチゲか
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