槍の穂先3180m '13.8.2 |
山歩紀行 2014 人と交わり、草木と交わり、山気と交わり それら一瞬の表情を写真で切り取る楽しみも広がって 単独行もいいし、仲間とならなおいい そんな山歩きの楽しみを綴ってみました |
飯豊・石転び沢雪渓 '13.6.16 |
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2014年6月28・29日 憧れの八ヶ岳 岩稜にウルップソウ、ツクモグサ咲いて |
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八ヶ岳 2899.4m(赤岳) 長野県茅野市・南牧村 | ||||
29日8:18 赤岳山頂を目指して岩峰を登る 竜頭峰分岐直前のクサリ場 |
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<今回のルート> 第1日目(28日)12:18赤岳山荘駐車場発-12:28南沢コース入口(北沢との分岐)-15:35行者小屋(泊) 第2日目(29日)6:35行者小屋発-7:48文三郎尾根分岐-8:06キレット分岐-8:19竜頭峰分岐-8:25赤岳山頂8:37-8:45赤岳北峰(頂上山荘)9:03-9:33赤岳展望荘-9:41地蔵の頭-10:54杣添尾根分岐-11:16横岳山頂(奥の院)-11:50硫黄岳山荘12:20-12:48硫黄岳-14:37赤岳鉱泉14:45-16:30赤岳山荘駐車場着 |
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28日13:52 南沢コース 昼なお薄暗く苔生す樹林帯を進む |
これまでの登山で、八ヶ岳は、関東の山からも甲信の山からもよく目立っていて、いつかぜひ登りたいと憧れの山になっていた。 その八ヶ岳山行が、ありがたいことに阿賀北山岳会6月企画で実現することになった。 ウルップソウにツクモグサに、花を見るならこの時期なのだが、如何せん梅雨の季節、天候は不安定極まりない。 1週間前から天気予報に見入っていたUnqさんも、さすが参ったらしい。 梅雨前線の上下が日替わりで、その日によって予報がクルクル変る。 3日前の予報では、29日は天気の谷間、日本全国どこも雨予報。例によって、各方面の予備地を予定していても、どこも雨。 諦めかけていた前日の山天予報を見合って驚いた。 山頂予報は、28日は三段階でC、しかし翌29日は午前B、午後はなんとAとなっている。 寒気が入って予想外に梅雨前線は下がるとの予報。ツイテル!! 予定通りの決行ですねと、前夜のメール交換。 <第1日目> 行者小屋泊で、出発を早めたので余裕の日程。 諏訪で高速を下りてから、多少道草の時間ありということで、諏訪湖湖畔の原田泰治美術館と諏訪大社上社に寄り道。 いつものことながら、登山一直線でなく、できるだけ見聞を広めたいとの阿賀北山岳会の方針。 そして、登山口へ。 八ヶ岳山荘から赤岳山荘までの車道は無舗装の悪路。ものともせずUnq車は進入。お蔭で1時間の歩きを短縮できた。 1日目もさることながら、この短縮、2日目の帰路で最大効果を発揮した。 長い下山路でヘトヘトになってもう1時間の歩行はほぼ無理の状態で駐車場に辿り着いたからだ。 事前に調べてなかったら、八ヶ岳山荘前の大駐車場に車を入れて、歩くしかないと思ったに違いない。実際、そういう人たちも結構多かったのだから。 事前調査を綿密に行うUnqさんの計画に一分の抜かりもなかった。 さて1日目は、行者小屋への南沢コースを坦々と進む。小雨の中、初めは傘をさしたが、すぐに樹林に入ってそれも不要。 苔生す林床、鮮やかに路傍を彩るコイワカガミの群れ、一面に咲く白い花、黄色い花。 白花はイチゴの葉、黄色はキバナノコマノツメそっくり。Unqさん曰く、葉の色艶がどうも違う。小屋で借りた図鑑で分かったのだが、シロバナノヘビイチゴとヤツガタケキスミレ。 夕食時、小屋の壁にあったポスター「登山十訓」、心しなければと真面目に戒めあった。 <第2日目> 予報では夜半で上がるはずの雨が、明け方になっても強く降っている。早立ちの人たちは、カッパを着込んで、雨中出て行った。 窓の外は濃いガスと雨。 カッパを着込んで、悲観的に朝食を待っていた6時少し前、「外に出て見て!!」というUnqさんの声。 出て驚いた。雨がすっかり上がっている。それどころか、小屋の上に八ヶ岳連峰の稜線がくっきりと見える。あれだけ下がっていたガスもすっかり消えた。 マジックに掛ったような気分。 朝食を摂ってさて出発と外に出たら、なんと、日まで射して阿弥陀岳、中岳を照らしている。 奇跡か!! 文三郎尾根を少し登ってカッパを脱いだ。このあと再度カッパを出したのは、硫黄岳に着いた午後だったから、午前一杯、晴天に恵まれて八ヶ岳の岩峰稜線を歩くことができた。 雨が降っていたら、あの岩稜を歩き、岩峰を登るのは相当困難だったろう。 悪天候の場合は赤岳で戻ることもUnqさんの計画には入っていたのだが、あの岩場では、それすら相当難儀な思いをしなければならなかったはず。 空の神様に感謝感謝だ。 赤岳へ向う岩肌にも様々な高山植物が花を咲かせていたし、赤岳を越えた稜線上は、まさに天空のお花畑。 天候不順のこの時期にしか出会えない花々。 稜線で声を交わした人が、たまたま花に詳しい方で、待っていましたとばかりに教えてくれた。 眼の前の花を指してKeynさんが尋ねた。 「これ、何ていう花ですか?」 彼の人曰く 「それがツクモグサですよ。」 これがツクモグサか。写真を撮りまくった。 「ウルップソウは、咲いてますか?」 「あります、あります。この先、三叉峰(サンジャホウ)の手前にあります。」 その三叉峰手前で、Keynさんが 「これじゃない?」 と、またまた第一発見者になった。 先頭を行くUnqさんの足元にあった。 「しまった!! 別方向を見ている間に先を取られた。」 Unqさん、悔やむこと悔やむこと。いや恨んだのかもしれませんぞ。 それはともあれ、その方のお蔭で、滅多に見られないツクモグサにも、ウルップソウにも、出合うことができた。 その方曰く、この稜線を歩く人はみな余裕がなく、花に目を向ける人は少ないのだとか。 確かにキツイ岩稜歩き、岩峰登りの連続で、花など見ている余裕はないのかもしれない。 花を訊ねられたのがよほど嬉しかったのだろう。その方、まだまだ話していたい雰囲気だったが、Unqさんがとっておきの羊羹一切れをお礼に差し上げて一緒に食べてお別れした。 山は一期一会。こんな出会いが楽しいのです。 まだまだ沢山の花々に出合ったのですが、あげ切れません。 YouTubeにスライド動画にしてアップしてあります。 →こちらから 今回の登山の様子と合わせて八ヶ岳の花々をどうぞご覧ください。 さて、半日かけて硫黄岳山荘に辿り着けば、キツイ岩稜歩きも終了です。 ほっと一息、ここで行動食。 縦走の行動食というとどうしても軽量高カロリーを狙って甘いソイジョイ系にしているのですが、このときのYoumyさんが担いできた行動食は美味かった。 食パンにハムとキュウリ漬けのサンド。 去年の槍ヶ岳行で食パンに蜂蜜を塗ったのですが、喉を通らなくて大弱りでした。 ハムと漬けキュウリで喉の通りが全く違う。一工夫で、行動食がぐっと食べやすくなることが分かりました。 それにしても、あの岩峰を担いできた貴重な食糧を分けていただいて、恐縮しながら、ありがたく頂戴しました。 Keynさん手作りの酸っぱい梅干と合わせて、数々の心遣いに感謝感謝の山行でした。 硫黄岳山頂はガスって風雨も強まり、全貌はよく見えなかったのだが、爆裂火口の凄まじさは感じ取ることができた。 大昔、富士山以上の山が爆発して今の高さになったとか。 それゆえに、八ヶ岳の裾野は富士山よりも広いのだとか。 そんな事前知識はあったのだが、実際の山に立ってみて、想像もつかないくらいの話であることを実感した。 いつの山行もそうなのだが、今回もまた、小さな小さな、きわめて小さな存在の自分を思い知らされた。 ゴマ粒のような自分にケシ粒のような魂がある。 そして神は、ゴマ粒の一つ一つなど気にも留めないが、たまたま偶然の幸いを与えてくれる。 ゴマ粒は、僥倖に感謝する。それだけだ。 毎度毎度山へ入っていく度に、その確信が強くなる。 最後に、下山路で初めて出会った花をもう一つ。 オサバグサと、Unqさんから教わった。 どうみてもシダの類だが、図鑑を見たらケシ科だそうです。 オサは織機の筬、葉の形が似ているのだとか。 また一つ、知識が増えた。 二つか三つぐらい頭から追い出さないと、新しい知識一つが入らない。 で、古いことをどんどん忘れていく。それもまたよしか。 |
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15:00 どのような名園も自然の造園にはかないませんな |
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29日5:44(行者小屋前)つい先刻までの雨が上って、赤岳出現 まずは正面の鞍部左上辺を目指して文三郎尾根を登ります |
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7:18 急登で一気に高度を稼ぐと行者小屋が遙か左下に 右上は横岳の岩稜、小同心・大同心の岩峰 その先に硫黄岳 |
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7:21 朝日に歌うコイワカガミ 文三郎尾根は長い急登階段道 その辛さを花たちが癒してくれます |
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7:41 足元にキバナシャクナゲ 見上げれば赤岳の鋭い岩稜 |
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8:07 赤岳の岩稜に登りつく、険しい岩場です |
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8:25 ようやく赤岳山頂に辿り着きました 高度2900m 空気が薄い!! |
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八ヶ岳連峰最高峰赤岳山頂2899.4mに立つ 阿賀北山岳会の勇士 |
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9:30 黄みを帯びたチョウノスケソウ 赤岳から先は岩稜花園 チョウノスケソウは至るところに咲き広がっていました |
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9:42 岩壁の三重奏 コイワカガミ イワウメ コメバツガザクラ |
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10:01 登り終わって振返れば足竦むほどの岩壁ですが、 日頃のロープ・クライミングで鍛えた技を生かします |
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10:08 登り終わればご褒美の花園 チョウノスケソウ オヤマノエンドウ ミヤマキンポウゲ |
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10:12 チシマアマナと並んでお目当てのツクモグサ出現 いつもKeynさんが「これ何の花?」とさりげなく第一発見者 |
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まるでスーパーマリオのパックンフラワーそっくりじゃ!! |
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10:48 三叉峰の付近で、これもお目当てウルップソウ出現 第一発見者はまたしても目ざとさ抜群のKeynさん 先頭のUnqさん、うっかり見過ごして悔やむこと悔やむこと |
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11:06 奥の院(横岳山頂)手前で後ろを振返ると 右奥に赤岳、そこから乗り越えてきた岩の峰々 |
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11:27 奥の院を越えた稜線上で、すれ違う人が声を上げた 振返ると雲が切れて富士が出ている 口々に歓声が上がる すごい!! おみごと!! 素晴しい!! これは奇跡だ!! マジックだ!! ・・・・と、そこまで言ったかどうか |
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12:49 硫黄岳の爆裂火口壁 雲が湧いて雨が降り出した |
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14:47 赤岳鉱泉まで下山 今日歩いた岩峰稜線を一望 よく歩いたもんだと自他の足を褒め称え合ったのでした |
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