八ヶ岳 '14.6.29
  山歩紀行 2015

 人と交わり、草木と交わり、山気と交わり
それら一瞬の表情を写真で切り取る楽しみも広がって
単独行もいいし、仲間とならなおいい
そんな山歩きの楽しみを今年も綴ります

白山 '14.7.21
 
    2015年5月6日  東北の名山・博士山へ
             博士山 1481.9m  福島県柳津町
                         ↑ 山名クリックで、地図表示 

10:30 山頂に続く稜線から、会津盆地の空に浮かぶ飯豊連峰

8:38P登山口-10:18分岐-11:25山頂12:38-15:00下山-15:25P

行程中の各地点の様子や花画像など
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連休の飯豊連泊登山は、天候やら諸々の事情で中止。前半と後半の2回に分けての日帰り登山となった。
前半戦の飯士山は参加見送り、後半戦の博士山には、何とか参加できた。

会津の博士山と聞いたとき、さては野口英世博士に因む名かと思ったが、全く違った。
一説には、山頂稜線1300mの峰上にかつてあった寺の山号だという。
その寺の僧かどうか、道海という坊主も堪らず泣いたというのが道海泣き尾根の登山道。
まさに名にし負う急登だった。

それでも、飯士山のヤセ尾根急登はこんなもんではなかったと、Youmyさんは言う。
そこでしっかり鍛えられたというJunjyさんは、今回は先頭になって快調ペースで急坂もナンノソノ。
10日ぶりの登山の小生を、大丈夫?などと労わってくれて、一戦パスしただけで、思わぬハンディがついてしまった。


それはともかく、第一に印象に残るのは、飯豊連峰の遠望だった。

高速道路の西会津PAで、すでに飯豊連峰の白嶺が秀逸だった。
正面中央に大日岳、その右方に本山。越後から見る連峰とは全く位置関係を異にしているが、左端に離れて二王子岳が見えたのには驚いた。その反対側、右端にやや遠く離れて見えるのは西吾妻の連山だろう。
飯豊は会津の山だと、改めて思ったものだ。

その飯豊連峰の白嶺が、博士山の山頂に続く稜線上から、ずっと見えていた。
標高を上げると、遥か会津の盆地は霞み棚引く風情で、その空に飯豊の長い白嶺が横たわって浮かんでいるように見えた。
まさに絶景。

新潟から見る飯豊の連峰も秀逸だが、博士山からの飯豊も、また違った趣で秀逸だった。
とにかく連峰が長い。二王子岳が立派に連峰の最右翼を守っている。それに中心が連峰最高峰の大日岳で、そこから続く御西、本山への稜線がほぼ平らに連なっている。
これを見れただけでも、登った甲斐があったというものだ。

条件が整えば、この連休は、あの白嶺の稜線上を歩いていたはずだった。
かつてUnqさんが書いていたのだが、連休の飯豊本山一泊登山は小学生レベルだと。
ならば、予定通りなら、連休の飯豊・大日二泊登山は中学生レベルにはなれただろうか。
それを思うと、かえすがえすも残念なことをした。そして、来年の連休時期こそ、あの白い峰の上を歩こうと固く決意したものだった。

なに、一年などすぐに回ってくる。近年の鬼は、来年の話をしても笑っている暇などないという噂だ。只管走って体力をつけておかねばならない。

さて、印象の第二は、春の花を見れたことだ。
ついこの間まで、雪上の山歩きだったのに、山は一気に花の春が押し寄せていた。
とりわけ、博士山にはイワナシが群れ咲いていたのに驚いた。
イワナシ自体はそれほど珍しい花ではないが、これまで見た山では、点在していることが殆どだったが、ここでは一面びっしり。それも一ヶ所二ヶ所ではなく、登山道に沿ってかなり長い範囲に群れがあった。

しかし、イワナシで驚いている場合ではなかった。
ヒメイチゲは、珍しい花だと思っていた。思い出せないがどこかの山で一度だけ見たきりだ。
ツバメオモトを見つけて喜んでいたとき、その先で、Ike会長が見つけた。
これは珍しい花を見つけたとUnqさんも喜んでいたその先に、次々とヒメイチゲが見つかった。
なんと、しまいにはイワナシと同じぐらい道の傍に群れている。

あるところにはあるもんだ。
これが今日の結論だった。

下りは、急坂の道海泣き尾根を避けて、やや緩い大谷滝尾根の周回ルートをとった。
まだ盛りの時期には早いのだが、アズマシャクナゲがもうすぐ咲こうかという風情で蕾をほころばせ始めていた。今季初めてのシャクナゲだ。
毎年見ている花でも、今年の初見はどこの山だろうかなどと考えるのも山歩人の楽しみの一つだ。

驚くやら感心するやらの出合いは、倒れ掛かったブナの老木を、同じくブナの木が抱かかえるようにして支えていたことだ。
よく見れば、老木はまだ芽を吹いていて生きていたようだし、その老体を支えていたのは、太く逞しい壮年の木と、その隣に立つややほっそりとした若木。
枝をまるで人の腕のように伸ばして、いわゆるお姫様抱っこのようにして二本の木で老木を介護しているような風情。

思わず出たのは、これは年金の木だ!!
なんとも、敬老の鑑ではないか。


なべての頂に憩いあり
なべての山に出合いあり
なべての山に得ることあり

8:45 新緑の沢を渡るとすぐに急登が始る 

9:53 分岐までは、急登の連続、只管登り続ける

9:54 シャクナゲ洞門を過ぎてもまだ急登

9:57 タムシバの咲き誇る急坂を進む 

登山道の至る所にイワナシの群生、これには驚いた

10:34 桧の巨木、クロベ(黒檜)というとか

ヒメイチゲ めったに見れないこの花が群れ咲いていてビックリ

ツバメオモト 楚々とした感じがなんともいい

11:10 頂上直下はまだこの残雪 滑落しかけておっと危ない

11:25 博士山山頂に到着

12:33 山頂から、霞の中で微かに見えた会津盆地と磐梯山 

12:41 残雪を踏んで山頂を降る ブナの新緑が柔かい

アズマシャクナゲは、ほころび始めた蕾 

コヨウラクツツジ つい摘まんでみたくなる花 

14:02 老木を抱きかかえる壮年と若年のブナの木 敬老の鑑

15:13 下山して林道を駐車場に向う 右に博士山 正面に長い滝
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