八ヶ岳 '14.6.29
  山歩紀行 2015

 人と交わり、草木と交わり、山気と交わり
それら一瞬の表情を写真で切り取る楽しみも広がって
単独行もいいし、仲間とならなおいい
そんな山歩きの楽しみを今年も綴ります

白山 '14.7.21
 
    2015年5月10日  妙高山麓彷徨ハイク
           妙高山麓  新潟県妙高市
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笹ヶ峰の乙見湖湖畔から正面に焼山、その右方僅かに火打山に続く白い稜線が見えた 

<彷徨いた所>8:15いもり池-9:50苗名滝-11:45笹ヶ峰・乙見湖-15:00燕温泉・黄金の湯

何がそれ程嬉しいのか、とにかく皆ニカラニカラのいもり池


山は、低くてもいいし、高くてもいい。
登ってもいいし、眺めてもいい。
麓を歩き回るのも、もちろんいい。

ということで、 阿賀北山岳会には年一度くらい、山に登らない山行がある。

今回は、妙高山麓の名立たる景勝地を訪ね歩くドライブ・ハイキングということになった。

まずは、いもり池。
よく地元TV局で季節の題材に取り上げる名勝地だが、これまで一度も訪ねたことはない。
来て見て思ったが、なるほど、ここの水面に妙高山が映ったら、それはそれは見事な景色にちがいない。
ただ、残念なことにこの日は曇り、妙高山は厚いガスの中だった。
こんなときは、山ではよくあることだが、頭の中で景色を合成するしか手はない。

ミズバショウを眺めたり、ミツガシワを見つけたり、これはマムシグサだのそうでないだのと賑やかにしゃべったり、の~んびりと池の周囲を歩き回った。
写真を見ると、何故か皆ニカラニカラとして歩いている。こんな贅沢な時間がよっぽど嬉しかったのに違いない。

次は、苗名滝
笹ヶ峰への通り道から少しそれた山中にあるという。昨秋の妙高・火打山行で話に出て、興味は持っていたが、翌春に来ることになるとは思ってもいなかった。
不思議なことだが、一度道がつくと繋がるということはよくあることだ。
苗名滝の入口に、物凄く大規模な水害防止用の人工ダムが轟音を立てていて、これを見て、苗名滝かと早とちりして帰る人もいるのではないかと、冗談でなく思ったものだが、さすが案内看板に苗名滝はこの奥にあると丁寧に示してはいた。

苗名とは面白い名だと思ったら、地震のことを古くは「なゐ」と言い、地震の様な地響きをたてる滝だから「なゐ」、それが転じて苗となったと説明看板があった。ゐはイだが、エに訛ったのだろうか。
それにしても、なぜ「苗」なのか説明は尽くされていない。しかも、「名」の意味には全く触れていない。

だいぶ離れた別な場所に、古歌が刻まれていて、そこには「地震(なゐ)ノ滝」とあった。
それで、「ナイノタキ」が「ナエナタキ」となったのかと推測できたが、折角説明するなら、もう少し丁寧な説明がほしいものだ。

そんなこととは関わりなく、滝そのものは、豪快で迫力のあるものだった。さすが日本の滝百選、一見の価値はある。

次に、笹ヶ峰。
苗名滝までは曇り空だったのが、そこから道はどんどん標高を上げ、雲の上に出ると空は一気に晴れ上がり、高原は見事な青空と木々の若芽、感動の風景。

それを見ながら、乙見湖湖畔で昼食。
今回は山登りはなしなので、安心して材料、道具を持ってきた。
それでも、数キロ歩くことは覚悟して、ザックに、分厚い鉄板やら食材やら一切を一括詰め込んで来たのだが、何のことはない、車から荷を降ろすとすぐそこで、昼食会場を設営できたからありがたかった。
お蔭でなんとも賑やかで楽しいひと時を過ごすことができた。

乙見湖は、灌漑用の人造湖だが、そこから眺めた焼山とそれを取巻く山々の景色は中々のものだった。
とりわけ、昨秋、火打に登り、そこから焼山を見、乙見湖も見ているので、懐かしさというか親しさというか、知っている人たちの顔に出会ったようなそんな気分で眺めたものだった。

食後、湖畔の白樺、ダケカンバ林の残雪の上を三々五々散策した。
雪融け直後で、早春の花々は瑞々しかったし、萌え出したばかりの木々の新緑は柔らかかった。

いつもなら、大汗かいて山に登って、山頂近くの残雪でやっと出合える景色なのに、今日は、車でサーッと登ってきて見ることができた。なにかずるいような気分もしないではないが、良い景色には変りはない。
大汗かいて見れば勿論感動するが、一汗もかかなくても感動できた。良い景色は、どういう見方をしても感動的だというのが、この日の結論。

それにしても、ダケカンバの木の皮を珍しがってせっせと拾い集めて、持って帰った人たち、あれを一体どうする気だろう。
因みに、我家のOkkaaは、袋に入れたまま玄関に放置している。どうも、来た人来た人に見せびらかす気らしい。
なんともはや、だ。

最後は、燕温泉は黄金の湯。
これは一見の、いや、一浴の価値あり。
100%天然、完全無欠の野天風呂。しかも無料。
バックは鬱蒼としたブナ林、霞に煙って深山幽谷の雰囲気。
周りには分厚い残雪で、冷気津々。入ったらもう出られない。
湯は白色、ぬるっとした硫黄泉で、肌はすべすべ。
よほど知る人ぞ知るの湯らしく、まばらながら次々と人が訪ねてくる。
若い娘が入浴中、連れの男の子たちは外でそれを待っていた。もちろん、混浴ではないのだが。


以上が今回彷徨いた妙高山麓名勝の地。

登山は日程がきびしく、山麓をのんびりと彷徨くことなど、殆どできない。
だから、こうやって、一度登った山の麓を改めて一日ゆったりと散策できることは、この上もない贅沢ということになるだろう。


それにしても、3日前まで、行き先を何処にしようかと散々迷っていたUnqさん、たった3日のうちにこれだけの散策コースを設定してガイドしてくれた。
そんじょそこらの旅行社のコーディネーターも及ばない。もしかしたら職を間違えた?

本来なら水面に妙高山が映る筈、水芭蕉咲く林の緑が柔かい

たった一株だけ、早咲きのミツガシワ

ようやく苗名滝が見えた山道で、滝と吊橋をバックに、これが全員

近づくと瀑音轟き、かなりの迫力

苗名滝に向う途中にある天空階段

大瀑布もいいが、こんな清滝もいい  苗名滝への途中山道で

笹ヶ峰の乙見湖展望台でまずは腹ごしらえ

ダケカンバの皮を拾い集めた人たち

早春のカタクリにまた会えた

咲いたばかりの瑞々しいミズバショウにも

思わぬ桜の花見

本日のラストイベント、燕温泉奥の黄金の湯

完全無欠の天然野天風呂、しかも無料
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