八ヶ岳 '14.6.29
  山歩紀行 2015

 人と交わり、草木と交わり、山気と交わり
それら一瞬の表情を写真で切り取る楽しみも広がって
単独行もいいし、仲間とならなおいい
そんな山歩きの楽しみを今年も綴ります

白山 '14.7.21
 
 
 
    2015年6月13日  高山の花繚乱、平標山・仙ノ倉山
平標山 1983.8m 仙ノ倉山 2026.3m 新潟県湯沢町 群馬県みなかみ町 

13:42 仙ノ倉からの復路、平標山頂直前の斜面は百花繚乱の花園、まさに天空の楽園

<コースタイム> 駐車場登山口7:25-8:28鉄塔-9:13松手山-10:50平標山頂-11:46仙ノ倉山頂12:56-13:48平標山頂-14:59松手山-16:40登山口

ここに載せ切れなかったたくさんの花々や、行程中の各地点の様子など、YouTubeにUPしてあります
 →こちらから  どうぞ



平標・仙ノ倉は、思い出深い山だ。2年前の6月末のこと、阿賀北山岳会に初めて加えてもらって登ったのがこの山だった。
同行5名、平元新道から登り、平標山ノ家テン場に荷を置き、その日のうちに大源太山に登り、戻ってテント泊、翌日もテン泊荷を担いで平標山頂に登り、空身で仙ノ倉ピストン、松手山コースで下る2日日程の山行だった。

あれ以来、山岳会の温かさにどっぷりと浸ってしまって、山行を頻発することになった。その始まりがこの山だ。

あの時、平標・仙ノ倉の稜線はガスっていて眺望はきかなかったものの、稜線の花々の素晴しさは、それを補っても余りあるものだった。

山に登る人の温かさと、山の花のあまりにも見事さと、仲間と登る楽しさと、教えてもらったのがあの時のこの山だった。
すべては平標・仙ノ倉から始ったと大袈裟でなく思っている。

その平標・仙ノ倉に2年ぶりに、また来ることができた。
6月山行担当のJunjyさんが、いろいろ当たってくれて、花の時期なら今だと、この時期のこの山を選んだのだった。
どんぴしゃりだった。
朝7時過ぎに登山口のある駐車場に着いたとき、すでにほぼ満車状態で、第3駐車場に回されたのだが、そこもすぐに満車。
花のこの時期を狙った登山人が全国各地から押し寄せていた。


松手山からの稜線コースには、思った通りの高山の花たちが乱舞していた。

2年前、真紅の鮮やかさに感動したベニサラサドウダンは、期待した通りの紅色を見せていたし、Wの黄文字が特徴のオノエランも、小さく可愛らしく、2年前と変らない姿で立っていた。
どちらも、今回、2年ぶりの再会を期待して来た花だ。

平標から仙ノ倉の稜線は、期待に違わぬ天上の花園、天空の楽園だった。赤・黄・紫、色とりどりの花々が咲き誇っていて、行き交う老若男女、感歎の声を上げない人はいない。
定番のハクサンイチゲ、チングルマ、ハクサンコザクラ、ミヤマキンバイ、ミヤマダイコンソウ・・・、やっぱり花は数だ。
おみごと!!アッパレ!!というしか言葉はない。

道の傍らに、ふと見ると八重咲きのハクサンイチゲが一叢。
これは珍しい。
北岳で、これも2年前のことになるが、八重咲きのミドリハクサンイチゲを見たことがある。
しかし、真っ白いのは初めて見た。

八重咲きのに限らず、ハクサンイチゲはどれも純白だった。つまり、咲いたばかりなのだ。ハクサンコザクラにしても、すぐに花びらに傷みが来る花なのだが、まだ若く色鮮やかで瑞々しかった。

それらの花々が一面に群れ咲いているのだから、まさに天上の花園、天空の楽園。


花だけが山の楽しみではないのだが、花の時期の山は、やっぱりいい。
誰が育てているわけでなし、誰のために咲いているわけでもなし、勝手に自立して、自分のために咲いている。
環境が厳しいだけに、他を寄せ付けない気高さ、際立つ鮮やかさ、そこに惹き付けられるのだろう。


こんなに山の花に感動して、下山した翌日、畑に行って、雑草を片っ端から引き抜いて滅ぼした。
山ではキジムシロだと花を褒め称え、畑ではアゼムシロだと花でも引き抜く。
新美南吉ならずとも、人間って一体何なんだと思ってしまう矛盾。

ただし、そんな難しいことを考えたくて山に行っているわけではない。
ひたすら歩いて、食って、出して、感動して、満ち足りて眠りにつく、その単純さがたまらなくて、山に入る。山に矛盾はない。生は単純な方がいい。

<高低図> 単純標高差 約1063m

7:58 鉄塔までは樹林帯の中、急登の階段道が続く

9:04 ベニサラサドウダン、期待した通りの紅色で

9:13 松手山、目指す平標山頂は遥か稜線のその先

10:13 登ってきた急坂道を振り返ると、対面に苗場山

10:17 名の如く、平らな稜線に登山者が続く

10:31 群れ咲くハクサンイチゲに、しばしうっとり 

10:36 オノエラン、まだ時期が早く咲いていたのはここだけ

10:43 右に平標山頂、その奥ようやく仙ノ倉の峰が見えた

10:53 平標山頂を越えて仙ノ倉山へ続く長い稜線の道

11:02 その稜線は、高山の花が繚乱・乱舞する禁断の園

11:29 道の傍らに、珍しい八重咲きのハクサンイチゲ

11:37 仙ノ倉への道、山頂は山ひとつ越えたその先

11:46 仙ノ倉山頂、ここで憩いのひと時、いつもの山頂宴

12:57 仙ノ倉から帰途に着く、平標は遥か右端、遠く長い稜線

13:09 仙ノ倉山から続く谷川連峰、最奥に谷川岳が見える 

13:31 先方に平標山頂、その斜面は天上の花園・天空の楽園

14:25 平標山頂を過ぎて松手山へ、登った坂道を下り帰る辛さ

14:34 カラマツソウ、楚々とした感じがなんともいい

14:36 名残惜しく平標の平らな稜線を振り返り、振り返り下る
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