八ヶ岳 '14.6.29
  山歩紀行 2015

 人と交わり、草木と交わり、山気と交わり
それら一瞬の表情を写真で切り取る楽しみも広がって
単独行もいいし、仲間とならなおいい
そんな山歩きの楽しみを今年も綴ります

白山 '14.7.21
 
    2015年6月29日 越後の霊峰・米山 足下に青き日本海
米山 992.5m   新潟県柏崎市・上越市        

12:17 山頂から、青き日本海と柿崎から直江津に続く海岸線

<コースとタイム>
下牧登山口8:46-9:20分岐-9:36駒の小屋-10:13分岐-10:23しらば避難小屋-10:57山頂12:20-12:47分岐-13:13駒の小屋-13:29分岐-13:57登山口下山

行程中の各地点の様子や野の花など、YouTubeにUPしてあります
 →こちらから  どうぞ


もしかしたら夢だったのかもと思っている記憶がある。
遥か昔、恐らく小学校入学前、その頃住んでいた家の座敷に親族縁者が揃い、膳を並べて宴会をしていた。やおら祖母の妹か従姉妹かが唄い出した。
その唄が、ヨネヤマサンカラ ツキイガデタ~
一座手拍子、そして、トンカラシャンカラで一斉に合いの手。

以来、「米山さん」という山があることだけは記憶に残っていた。

今調べたら、三階節の歌詞は、出るのは雲で、ハヤシはピッカラシャンカラ、妙な覚え方をしたものだ。

高速の北陸道を度々通るようになって、米山の頂を見上げるたびに、いつかあそこに登ってみたいものと漠然と思って来た。
かといって、わざわざ一人で登りに行こうと思うほどでもなく、今日まで来たのだが、今回、たまたま公民館の7月行事・健康登山が、その米山に行くことに決まり、それで、主催者側のUnqさん、Iさんと、主管している阿賀北山岳会側から私の3人で、7月登山のための下見をすることになった。

というような経緯で、ひょんなことから、長年もしかしたら70年近く、記憶の底に沈殿していた米山さんに、ついに登る日がやってきたというわけだ。


前日は雨で、登山道はぬかるみ、樹林の中は湿度100%。額から汗を滴らせて登った。
その代わり、ちょっと開けた尾根に出ると、サアァッと涼風が吹き抜けていて、それはそれは実に美味しい空気を肺活量一杯に吸い取ったものだ。

登山道は山頂にある米山薬師の信仰参拝の道で、そこかしこに石仏がある。特に石仏に興味を持っているわけではないが、幾百年の人々の切なる願いが込められていることは、それとなく伝わってきて、石仏を見ながら歩くのも趣があった。

それに、道々に咲く野の花も、高山の花と違って実にささやかなのだが、それはそれで目を楽しませてくれた。
とりわけ、Unqさんは植物にうるさくて、葉の付根の形やらガクのつき方やら、細々とした部分にこだわる。
ベンケイソウが咲いていて、これはイワベンケイではなく、只のベンケイソウだと私が言うと、その理由は?と突っ込んでくる。
ざっくりとしか判別できない私など、いや只何となく・・・と答える。と、Unqさんは、フフフと鼻で笑う。

印象派の小生だが、分析派のUnqさんに影響されて、最近は細々した部分も少々は見るようになって、お蔭で後日、タテヤマウツボグサと只のウツボグサの違いをUnqさんに教えてあげるようなこともしている。
ただ、実物にはその中間形態が多く、いつも判断に迷うことが多いのだが。

ヤマホタルブクロと只のホタルブクロの違いは、ガクを見れば分かると、これは「しらば避難小屋」に咲いていた実物で教えてもらったのだが、翌日、我家の庭で確かめると、見事に両者が揃っていて、その違いたるや一目瞭然だった。

花や草木の名は、知らなくても山は楽しめるのだが、知らないよりは知っている方が、数段楽しみは多くなる。それだけのことだが、楽しみは多いほうがいい。

さて、米山の山頂からの観望は素晴しかった。
さすがは海岸近くに屹立する山だけのことはある。足下の海の色がことのほかきれいだった。
コバルトブルーと言えばいいのか、それともエメラルドグリーンと言えばいいのか、なんとも微妙な色合いの海が広がって、足の下から南へ北へ、長く続く海岸線がまた実に良かった。

山頂にいた地元の方の話では、条件がいいときには、佐渡はもちろん、飯豊連峰から谷川連峰、妙高・火打にその後の白馬まで、越後が360度ぐるりと見渡せるのだとか。
さもありなんの態ではあった。


健康登山は、7月11日土曜日。その日もこんなふうに海がきれいに見える日だといいのだが。
ともあれ、危険箇所、トイレ、休憩箇所、所要時間、マイクロバス通行の可否等々、下見に必要な事項はもれなく確認できて、当日の好条件を祈るのみ。


ところで、三階節はじめ米山には「さん」と敬称をつけることが多いようだが、あれは実は敬称ではなく、米山山なのだという説を何かで読んだ記憶がある。
日本山岳会編「新版日本三百名山」に書いてあったようだと道々Unqさんに話したが、帰宅して確かめるとまったくの勘違いで、山名は米山で、地元では親しみを込めて「米山」さんと呼ぶと、しっかりと書いてあった。
手元にある、わずかばかりだが、ほかの本を調べてもそんな説は載っていない。ネットで調べても、米山山など微塵もヒットしない。

米山という地名の山だから米山山だという説、確か何処かにあったような、それも最近見たような気がするのだが・・・、もしかしたらそれも夢で見た記憶のはざ間の断片か。

そもそもが、米山の山名は、海上を行く船の上から米俵を山頂に飛ばしたことからついたという、その謂れ自体が夢想のような話なのだ。
ゆめ山がよね山に訛った、な~んてことは、ないか。


それにしても、夢か現か、最近、判然としないことが多くなった。
この世のことは、すべて、ゆめまぼろしの如くなり・・・、それもまたよしとしよう。


健康登山の参加申込は、関川村公民館へぜひどうぞ。


<訂正>
※ 原三角測点の後ろに苔生して黒ずんだ四角い石柱が埋まっていて、大きさ・形から一等三角点と思い込んでいましたが、7月11日に再度登って確認したところ、どなたかが苔を剥がして確かめたらしく、よく見るとこの石柱には薬師堂関係のものらしい図柄が掘り込んでありました。
 一等三角点は、薬師堂正面の階段の向って右下に、四方に石を据えた囲いの中に、きちんと設置されてありました。
以上、訂正です。

一等三角点(7/11撮影)

8:42 登山口「ベース993」 広い駐車場と新設の休憩施設

9:01 登山道には多くの石仏  中にはバンダナ姿も

9:32 幽玄の気漂うブナ林を進む

10:40  山頂への最後の登り階段道を 喘ぎながら登ると・・・

10:57 突然山頂に出て、そこにはまるで大草原の小さな家

高田平野の先に妙高・火打の峰々

国内三箇所しかないという原三角測点
※ 後ろは一等三角点だと思ったが、それは間違い。薬師堂正面の階段下にありました。

柏崎の市街と海岸線 足下に米山大橋

山頂にキアゲハ舞い、海上の雲の下に佐渡の島影

12:18 山頂の絶景を見納めて、下山にかかる

早くも萩が咲いて道に彩を添えていた、ヤマハギか?

図鑑の説明通りなので、ウスノキの実だと思うのだが

ヤマホタルブクロ 白花に僅かに残った紫の斑点を見て、ホントは紫になりたかったのだろうとUnqさんは思う

13:14 駒の小屋の少し上、尾根が大きく裂けていて、これはもしかしたら二重山稜ではないだろうかと、カメラに収めた

13:43 バンダナ石仏に見送られて無事下山です
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