八ヶ岳 '14.6.29
  山歩紀行 2015

 人と交わり、草木と交わり、山気と交わり
それら一瞬の表情を写真で切り取る楽しみも広がって
単独行もいいし、仲間とならなおいい
そんな山歩きの楽しみを今年も綴ります

白山 '14.7.21
 
    2015年7月5日 コマクサ咲き誇る岩手山
岩手山 2038.0m   岩手県八幡平市・滝沢市   

5:48 第2噴出口跡で、雲海を眺める一行  頭上に朝陽を受けて聳える岩手山々頂

<コースとタイム>
3:56 焼走り登山口-5:40 第2噴出口跡-6:07 第1噴出口跡-6:18 コマクサ大群落-6:44 ツルハシ分れ6:57-8:16 平笠不動避難小屋-9:13 山頂火口縁-9:21 山頂薬師岳 10:24-11:57 避難小屋-11:41 ツルハシ分れ-13:36 登山口下山

3:38 前泊したバンガロー村を出るとき、月光を受ける岩手山

ここに載せ切れなかったたくさんの花々や、行程中の各地点の様子など、YouTubeにUPしてあります
 →こちらから  どうぞ



岩手山のコマクサには、思わず
「おみごと!! 日本一!!」
と声をかけた。

もとより、どこどこが日本一だと言えるほど各地の山を歩いているわけでもないし、コマクサの群生地をくまなく知っているわけでもない。
が、主観的には、どう見ても日本一のコマクサだった。
一株の大きさといい、花の色艶といい、そして何よりも、群落の広がり、規模。
いやはや、驚いた。

なんでもそうだが、花も、あるところにはあるものだ。
そして、やっぱり花は数だ。

それにしても、砂礫地のやせた土壌に、これほどまでに色鮮やかに花を咲かせるとは、一体全体、どのようなわけがあるのだろうか。
花の色だけでない。形の方はもっと特徴的だし、葉の色もアクアマリーンというのか、他の草木とは異なった清しい緑。

コマクサは、火山などの砂礫地にいち早く定着するパイオニアプランツ(先駆植物)の一つとか。
ほかに競争者のいない裸地、なぜにそこまでして目立ちたいのか。その理由を尋ねるのだが、黙として答えてはくれなかった。
ま、目立ちたがり屋の理由を尋ねても、性分だからしかたがないのさと答えるしか術はないのかもしれない。


ともあれ、岩手山に登るなら、この季節。
早朝未明に登りだした甲斐があって、人ごみを避けてたっぷりとコマクサの群落を鑑賞できた。
早起きは三文の得とは、よく言ったものだ。


もちろんのことだが、岩手山の花はコマクサだけではない。
印象的なのは、ベニバナイチヤクソウ。色鮮やかで、背も高く、数も多かった。
初めて会ったのは、シロバナハクサンチドリ、それと、シロバナエンレイソウ。
とりわけ、シロバナエンレイソウは、花に詳しいUnqさんも初めてだったらしく少々興奮気味だった。

これは珍しい、滅多に見られる花ではない、教えなくてはと、先を行くkeynさんを追って走ったものだ。
追いついたら件のKeynさん、アラ、その花なら、とっくに写真に撮ったわよと、のたまったそうな。
Unqさんを走らせたほどの貴重な花だと、知ってか知らずか。
そこは、毎度のパターン。

キバナノコマノツメとタカネスミレが混在していた。
去年の八ヶ岳では曖昧だった違いが、今回ははっきりと分かった。葉を比べてみれば一目瞭然。

さんざんコマクサを見た後に樹林に入り、ズダヤクシュの花を見た。これもよかった。
たとえて言えば、結婚披露宴でたっぷりとご馳走を食べた後の帰宅してくつろぐ漬物一切れの味。


ハナイカダというしゃれた名前の木も初めて知った。
夜明け前の薄暗い登山道に入ってすぐ、Unqさんが見つけて教えてくれた。ヘッドランプの明りでよく見つけたものだ。
下山時の明るい昼に再度詳しく観察した。結構な数が見つかったので、それほど珍しい植物でもないのかもしれない。
葉っぱの上にちょこんと乗った実、いかにも筏乗りのようでおかしかった。

下山口も近く、いいかげん草臥れ果てた頃だった。誰が先に今朝のハナイカダを見つけるか、アイスを掛けた。
Youmyさんが一番乗り、葉っぱの上に確かに玉が乗っかっている。
アイスいただき。
いやいやちがう、それは、葉の虫こぶ。その証拠に、こぶが複数ある、と完全否定。
2回目は、不肖ながら小生が発見。今度はどうだ。葉っぱの上に玉は一つだ。
いやいや、それもちがう。なぜなら、玉が葉脈の上に乗っかっていない。これも虫こぶだ。
Unqさん、自分がアイスをゲットするまで完全否定を続ける気なのか。
3度目の正直、先頭を行くKeynさんの左横にあった。後ろから小生の発見、3番目に並んだ後方から発見したのだからアイス3個ゲット。ただし、すでにお手つき2回あったから、2個没収。

こんな他愛もないやりとりで笑いながら疲れを紛らわすのも、下山時の知恵。

花筏、花の時期に、ぜひ見てみたいものだ。

さてはて、この時期のこと、紹介したい花々は、まだまだたくさんあるのだが、このページには載せ切れなかった。
YouTubeのスライドショーで、ぜひご覧ください。


帰宅して後、撮りまくった写真を整理しながら、図鑑をめくって草木の名を探る。
Unqさんから、登山道で写したランは、どうもジンバイソウのようだと、メールがあったりして、帰ってから何日間も、岩手山を楽しんでいる。

道々論争になったカラマツソウか、ミヤマカラマツかも、図鑑で確認して確定。(正解はYouTubeにあり)
この件に関しては、もう、Youmyさんを呆れされた論争は起きないだろう。

とは言え、次に2つ覚えれば、前の1つを忘れていく世界。
山道で、気弱な小生など、Unqさんの勢いに気圧されて渋々自説を引っ込めたのだが、それも記憶力に自信のないのが大要因。
よって、新たな問題が発生すれば、またまた論争は持ち上がり、果てしなく続くのだろう。

そして、下山後図鑑をめくる楽しみも果てしなく増えて、結果、1度食べて2度3度と美味しいヤマノボリとなるのです。

4:36 朝陽が射し込み始めた樹林帯を進む

5:42 第2噴出口跡、足下に焼走り溶岩流、その彼方に雲海

6:14 ベニバナイチヤクソウ出現、色の鮮やかさにびっくり 

6:19 コマクサの大株出現、花の見事さにびっくり

6:30 コマクサ・ロードを行く、数の多さにびっくり

6:35 コマクサ群落の中にハクサンチドリ、白花も

6:41 大群落、思わず「おみごと!! 日本一!!」

8:12 平笠不動尊避難小屋と、小屋背後の大岩

8:14 珍しいシロバナエンレイソウ、別名ミヤマエンレイソウ

8:56 越えてきた避難小屋と大岩は遥か下方、遠くに八幡平

9:12 辛い砂礫斜面の急登、イワウメの群落に心和ませて

9:16 山頂火口の縁を行く、石仏に見守られて

9:23 山頂一等三角点2038.0m 登頂記念撮影

9:52 賑わいを増していく山頂で、憩う人々

10:27 続々と上がってくる登山者とすれ違いながら下山

10:34 砂礫の斜面はコマクサとタカネスミレの群生地

13:29 登山口近くの林間にハナイカダ(花筏)の実
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