八ヶ岳 '14.6.29 |
山歩紀行 2015 人と交わり、草木と交わり、山気と交わり それら一瞬の表情を写真で切り取る楽しみも広がって 単独行もいいし、仲間とならなおいい そんな山歩きの楽しみを今年も綴ります |
白山 '14.7.21 |
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2015年7月25日 花と大展望の仙丈ケ岳 | |||||
仙丈ケ岳 3032.9m 山梨県南アルプス市・長野県伊那市 | |||||
8:33 仙丈山頂から 中央アルプス 宝剣・木曽駒の右に噴煙の御嶽、その奥に白山 |
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<コースとタイム> テント場発4:00-4:58二合目-5:41四合目-6:12大滝頭-7:12小仙丈-8:30山頂9:05-9:28仙丈小屋-10:09分岐-10:26馬ノ背ヒュッテ-11:06大滝頭-11:47分岐-12:16北沢峠 |
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4:21 ヘッドランプの隊列と行き交う、甲斐駒へ向う一団 |
ここに載せきれないほどの沢山の花々と行程中の様子など、YouTubeにUPしてあります。 どうぞ、ご覧ください。 →こちらから 阿賀北山岳会7月山行第2弾は、24日から3泊4日で、蓮華温泉から入り白馬、杓子、雪倉、朝日のテント泊縦走が当初からの計画。 ところが、25日の山天気予報がよくない。麓の予報は晴天なのだが、3千m上空は17m/sの強風予報。これでは白馬の稜線は歩けない。代替地を探すと、東北方面は一層の悪天。それに反して南アルプス方面は絶好天の予報。 それでも、花の雪倉を諦めきれず、ギリギリまで判断保留。 24日朝5時、関川村を出発。北陸道上越JCTがギリギリの分岐点。その前にYoumyさんのスマホで山天気の最終確認。白馬の強風は変わらず。ここでついに雪倉を断念。Umq車は一路上信越道へ。 只管走って、夜叉神峠登山口駐車場に着いたのが昼前。そこでバスに乗って広河原へ。更にバスを乗り継いで北沢峠に着いたのが、午後1時ちょっと前。 北沢長衛小屋のテント場にテントを設営して、第1日目の行動は、これで終り。 4日日程の後半2日は、鳳凰三山を縦走するとして、さて、明日は甲斐駒にするか、それとも仙丈にするか。三人とも、どちらもまだ未踏。 テント場からは甲斐駒摩利支天の異様な岩峰が垣間見える。白い岩肌は魅力的だ。が、南アの女王に拝謁しないわけにも行くまい。いっそ二つ登るか、イヤイヤそれは日程上無理、ということで明日は仙丈に一決。 焼肉などで英気を養い、明日からの行動に備え、明るいうちに寝袋入り。 さて、翌25日。夜中2時半に起床、テント内でこっそりと朝食を摂り、まだ薄暗い4時から行動開始。 軽荷を担いで仙丈ケ岳へピストン、昼には戻る計画。 ヘッドランプを頼りに樹林の登山道を進むこと小1時間、左から朝の陽が射しこみ始めると辺りは一気に明るくなる。 暗道を先導していたUnqさんは後ろに下がり、Youmyさんと先頭を代わる。 軽荷とはいえ、Youmyさんの速いこと。それでも三人みな花好き人、咲いてる花は見逃さない。 目立たないコイチヨウランやセリバシオガマが、樹林の苔の中でひっそりと咲いていたし、マルバダケブキの大群落が目を楽しませてくれた。 やがて林の間から甲斐駒が出現し、摩利支天を従えた山頂の威容ぶりを間近に見せつけてくれるし、続いては、鳳凰三山のシルエット、空を指して屹立するのは地蔵岳のオベリスク。 単調な樹林尾根の登りも飽きることはない。 大滝ノ頭で五合目、そこから小仙丈への登りが始る。やがて森林限界を過ぎると、待ち望んでいた大展望の始まり。 振り返れば甲斐駒と鋸岳の稜線、その真後ろから八ヶ岳が覗き、高度を上げるごとに八ヶ岳がせり上がってくる。 目を転じれば、北アルプス穂高連峰、槍のとんがりまでくっきりと見える。 その右に続くのは後立山連峰、当初予定の白馬の辺りだけ雲に覆われている。あの中は強風に違いない。どうも予報的中のようだ。 こちらは、雲ひとつなく、すごい一日になりそうな按配。 白馬の右に、特徴ある山並、焼・火打・妙高の連なりに違いない。 更に右へ目をやれば、美ヶ原、車山、蓼科、そして八ヶ岳。赤岳が際立っている。 目の前には、あの北岳。 2年前にハイジーズとジージーズで登った山。小太郎尾根、肩ノ小屋が見えて懐かしい。 その北岳と鳳凰山の中間辺り、尾根の陰に頭がちょっぴり見えた富士、こちらが高度を上げるに従ってどんどん背を伸ばし、やがて北岳と並ぶくらいになって雲海の上に裾を広げる。 駒ヶ根の盆地を挟んで南アルプス。千畳敷、宝剣、木曽駒が見え、その右奥に御嶽山。噴煙が上がっていて、心の中で合掌。その右奥に見えるのが白山だと教えてくれた登山人。 白山から右へ目を移すと白く大きな乗鞍。 まだ小仙丈ケ岳だというのに、360度、見飽きることのない大展望。 山頂まで行けば、その大展望はいかばかりかとは思いつつ、いつ雲がかかるか分からない。見れるときに見、撮れるときに撮っておかないと、思わぬ後悔を生む。 それに、稜線は眺望だけでなく、高嶺の花も多い。 こんなとき、昔と違ってフィルムを心配しないで済むのはありがたい。それにバッテリーは予備を十分に担いできた。 バチバチと四方八方手当たり次第に撮りまくった。 結果的に、その撮り方は間違っていたと分かったのは、帰宅して写真の整理を始めたときのこと。 入魂の一枚がない。 小仙丈から山頂までの稜線、あれほどいい気持ちで歩いたはずなのに、その感動のよみがえる一枚がない。 山頂の大展望、ため息をつきながら360度、何度も何度も見回したはずなのに、その感動を伝える一枚がない。 強いてあげれば、Unqさんに自カメラを渡して撮ってもらった山頂岩上に立つ自像か・・・、それではあまりにも俗すぎる。 写真一枚に切り取るにはあまりにも雄大すぎる景色だったということか。 それとも・・・、ぐるりと見回して、あの山に登った、あの山にも登った、あそこの山はまだ登っていない・・・などと言ってみたところで、所詮は釈迦の掌の上のこと。 芥子粒のような存在の人間など、せいぜい岩の上に立っていい気分になっているのが似合いのところということか。 自分の小ささを確認するために山に登っているみたいなところは、確かにある。 明日は、2年前北岳から眺めた鳳凰三山、雪かと見まがった山頂稜線の白い山肌が魅惑的だった山。 1時半発のバスで広河原に移動しなければならない。それを逃すと次は確か4時。 12時半までには下山してテント撤収の予定。 大急ぎで駆け下る、先頭のYoumyさんの速いこと。 それでも、高嶺の花は見逃さない、花好き人の3人ではありました。 途中、大ザックを背負い、汗したたらせながら一歩一歩、上へ上へと這うように進む初心者らしい登山人とすれ違った。 道を譲り、頑張ってと声を掛けたが、それは明日の我が身の姿。 荷一切を背負って、広河原から夜叉神峠まで鳳凰三山を縦走する。果たしてどうなるか。 それと比べたら、この日のピストン軽荷は、楽なこと楽なこと。 朝早いこともあってか、汗一つこぼれない。 明日明後日のための足慣らしと言えば、女王様のご機嫌を損ねることになるだろうか。 そこはひとつ、稜線漫歩の大感動に免じて、何卒のお許しを。 さてこの日は、予定通りに下山して広河原へ移動、懐かしい北岳バットレスを見上げつつ、吊橋を渡って広河原山荘テント場に幕営。 生ビールで喉を潤し、明朝に備えてまたまた明るいうちにシュラフ入りとなったのでありました。 |
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5:27 突然、尾根道の樹間から甲斐駒の威容が |
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6:11 明日登る鳳凰三山、オベリスクがくっきり | |||||
6:51 穂高・槍から後立山、白馬に雲かかり、右端は妙高連峰 |
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7:00 甲斐駒とアサヨ峰、遥か下方の谷間にテント場 |
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7:11 小仙丈から山頂へ続く稜線を歩く、気分は最高!! |
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7:23 高山の花を愛で、大展望を楽しみながら天空漫歩 |
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8:10 右端の山頂まで、稜線眺望の楽しみは続く |
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8:14 タカネツメクサの群れ、北岳稜線の向うに富士 |
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8:23 山頂への最後の登り、登山人の列が続く |
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8:31 順番を待って登頂記念撮影 |
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8:34 甲斐駒・鋸岳の先に八ヶ岳、蓼科山、その奥に浅間山も |
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8:36 3033mの頂に立って、大展望 贅沢の極み |
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8:40 北岳に富士に鳳凰三山、遥か奥秩父の山々 |
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9:28 仙丈小屋まで下って、カールの底から見上げた山頂 |
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10:33 馬ノ背ヒュッテで、タカネグンナイフウロ |
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コフタバラン |
コイチヨウラン |
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どちらのランも、北沢峠の林床苔の中にひっそりと咲いていた。Unqさんに指摘されなければ、蘚苔類の一種かと見過ごすところだった。ほかに、葉の少し大きなイチヨウランや見落とすほどか細く小さいキソチドリなども。 |
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