八ヶ岳 '14.6.29
  山歩紀行 2015

 人と交わり、草木と交わり、山気と交わり
それら一瞬の表情を写真で切り取る楽しみも広がって
単独行もいいし、仲間とならなおいい
そんな山歩きの楽しみを今年も綴ります

白山 '14.7.21
 
    2015年8月8・9日 花の飯豊連峰稜線歩き
        足ノ松尾根~朳差岳~地神北峰~丸森尾根
差岳1636.4m 地神北峰1800m  新潟県胎内市・関川村・山形県小国町 

8日13:25 朳差岳の斜面は高山の花群れ咲く一面のお花畑、正面に飯豊連峰の稜線

<コースとタイム>
第1日目(8日)足ノ松尾根登山口5:35-6:58姫子の松ー7:54英三の峰-9:21イチジ峰-10:23西ノ峰-10:32大石山11:00-12:20鉾立峰12:43-13:35朳差小屋(水場-山頂-長者平)
第2日目(9日)小屋出発6:32-7:11鉾立峰-9:22頼母木小屋9:55-10:27頼母木山-11:28地神北峰12:00-12:50丸森峰-14:09夫婦清水-16:08飯豊山荘前登山口

8日11:10 大石山から先は天空の花園、さながら花追う流離人

今年の飯豊は花の当り年とのことで、2日間とも、稜線は天空の花園の連続でした。ここで紹介できなかった数多くの高山の花たちをYouTubeにUPしてあります。
  →こちら から、
どうぞ、たっぷりとご覧ください。


   ★ ★ ★ ★ ★


朳差岳の麓に住んでいて、飯豊の峰には年に一度は上がりたいと思っている。
毎年、早春、土手などを走りながら、今年も行くぞーなどと声を掛けているのだが、去年は、ついに機会を得ないままに過ごした。


改めてこれまでの記録を捲ってみると、
4年前(H11)の7月中旬
3日間のツアー縦走、大日杉から入り切合泊、2日目本山を越えて梅花皮泊、3日目地神・頼母木を経て足ノ松を下山

同じ年の10月初旬、仲間3人と梶川尾根から北股を越えて梅花皮泊、翌日また北股を越えて丸森下り

3年前(H12)の8月下旬、丸森尾根から頼母木でテント泊、翌日地神を越えて梶川下り、これも仲間3人

同じ年10月初旬、単独で足ノ松尾根から朳差泊、翌日頼母木までピストンして足ノ松下り

2年前(H13)の6月中旬、仲間3人で石転び雪渓を登り、北股を越えて門内泊、翌日梶川下り

同じ年9月中旬、単独で東俣ルートを登り朳差泊、翌日地神北峰から丸森下り

と、結構頻繁に飯豊の峰に上がっていた。

もっと古いことを言えば、
西俣ルートの大熊小屋泊、朳差を越え、台風襲来の予報で門内泊の予定を変更し、丸森を駆け下り途中ビバークしたのが50年前の8月

さらに、41年前、オンベ松尾根から大日に上がり本山泊、川入に下ったのも8月


古いことは別にして、一昨年までの3年間は、年間2回も飯豊の峰を歩いていたことになる。
まだ阿賀北山岳会本格入部以前のこと、身近にある光兎と飯豊北部は、マイフィールドにしたいと思っていた。
その想いは今も変わらないのだが、その後、行きたい山がどんどん増えて、山岳会で四方八方山行が広がると、ついつい地元が後回しになるのはやむを得ない。

そんな中、今年、山岳会としては久しぶりだという朳差行が計画に入った。
何しろ、7、8年前には、年間3回も朳に行った年もあるというのだから、暫くは控えたくなる気持ちも出てこようというものだ。


8月の朳差・飯豊は花の山。期待は大きい。
それが実際に行ってみると、期待以上の花だった。

大石山から朳差に向うトラバースの斜面から、突然のように天空の花園が始まる。
タカネマツムシソウが今まさに盛り。ハクサンシャジン、ハクサンフウロ、そのほか諸々。
朳差に近づけばミヤマトリカブト、小屋の周りも、山頂斜面も花尽くし。
ハナイカダの花を、今回初めて見た。Unqさんから教えてもらわなければ気づかないままだったかもしれない。なかなか珍しい花だという。

それと、長者平の草原と池塘。
以前、東俣ルートで来たとき、長者平は通っている。そこで草原越しに眺めた飯豊本山・地神の山塊は雄大な景色だったので、今回もぜひ山頂を越えて行って見たかった。
そのときは只登山道を通っただけだったが、今回はUnqさんの先導で草原の中を歩き、先端にある池塘まで足を延ばした。それがよかった。
広大な草原の中を彷徨する気分が実になんともいえない。
♪風にふるえる緑の草原~♪遥か昔のあの歌を思い出した。
多分一人だったら、そこまで足を踏み入れることはできなかっただろう。先達の存在がありがたい。

その夜の朳差小屋は、窮屈というほどではないが、一階も二階も、ほとんど満員に近い状態だった。
3年前の10月単独行では、まったく自分ひとりっきりだったし、その翌年の9月は、二階に夫婦一組、一階は自分単独という状況だった。
それが、さすが花の8月だけあって、朳小屋だけでなく、飯豊はどの小屋も満杯状態だったようだ。翌日稜線上で聞いたところでは、御西小屋などザックを外に出すほどだったとのこと。
まったく絶好の時に上がってきたものだ。

朳差に泊ればいつもそうだが、山頂からの夕日に朝日に、これは格別。山頂の祠と夕日・朝日のコラボが実にいいシルエットを描く。それに、山頂と小屋が近いのもいい。
それから、山頂から見下ろす我が家の辺り、いつも見上げている所から見下ろすのだから、何とも言えずいい気分になる。
やっぱり朳差は地元の山、何度でも通いたい山だといつも思う。

さて、翌日。
朳差岳で大満足なのだから登った足ノ松尾根を戻ってもいいのだが、この時期は特に、せめて頼母木山までは足を延ばしたい。
そこまで行けばイイデリンドウに会える。
飯豊特産のイイデリンドウ、飯豊の星とも呼ばれ愛されている花。不思議なことに頼母木より北、朳差側にはない。
ついでだからと、地神北峰まで登って丸森尾根を下ることにした。

山の上から電話して、下山先の飯豊山荘までOkkaaに迎えを頼んだ。2年前にもそうしたので、Okkaaも慣れている。
お蔭で、大石山から地神北峰までの稜線歩きをたっぷりと楽しめた。そこも、天空のお花畑の連続。お目当てのイイデリンドウも、そこかしこに咲いていて、久しぶりに飯豊の星に会えた。

丸森尾根を下るのは、これで何回目になるだろうか。
以前は、かなりヘロヘロになったものだが、今回は割と足がしっかりしていて我ながら頼もしかった。
走り込みの成果はてきめん、やればやっただけのことはあると、それもうれしかった。

前日の足ノ松尾根の登りでは、後ろのUnqさんからみて、私の調子が不安に見えたらしく、ザックの中のビールを担いでやるからよこせと言う。
もちろん、Unqさんはそんな粗暴な物言いはしないのだが、直訳すれば、そういうことだ。
そう言うUnqさんも、既に500mlを3本担いでいる。そこへさらに350mlとはいえ、3本担いでもらうのは心苦しく断ったのだが、確かに、登る足のバランスの悪さは自分でも感じていた。
Unqさんに指摘されて、やっぱりそう見えるのかと思い、崖やヤセ尾根では、努めて慎重に歩いた。ビールは渡さなかったものの、指摘はありがたかった。

道々話をして分かったのだが、前日の走り込みと寝不足に原因があったようだ。
何しろ昼は暑いもので、登山前日の夜9時過ぎまでドームで走り込み、その後、何だかんだと寝るのがいつもより遅くなった。
走り込みの疲れもあったのだろう。
さすがのUnqさんも、登山前日は走らないと言う。疲労が残ると安全性に問題が出ると。
その代わり、下山の翌日は走ると言う。疲労を残して走れば耐久力が増すのだと。

私は、まったく逆のことをしていた。下山の翌日は疲れた足を休めたい。今回は、下山の翌日に走ろうと思ったのだが、足の方がその気になってくれなかった。
次回からは、Unq方式を心がけようと思っている。


さて、話を初日に戻すと、大石山を過ぎ、天空の花園を漫遊していてKeynさんがときどきため息混じりに呟いていた。
遠くに行かなくても、近くの山にこんな素晴しいところがあるんだ~、と。自分に言い聞かせているようにも聞こえた。

それは、そうなのだ。
3月の葡萄鼻山行で会った山小屋梁山泊の主Tさんは、実は、朳差小屋の主でもあるのだが、この間会った際、オレは朳にしか行かない、朳で十分間に合っていると言っていた。
Murandoさん夫妻は、遠くの山にも出かけるが、基本は、月山・鳥海がベースフィールド。
TさんやMurandoさんのような山登りもいいなと思いながら、当方は、まだまだ欲気が消えない。
全国様々な山にも行ってみたい。

多分、広く各地の山々を知れば知るほど、地元の山の良さがなおよく分かってくるのではなかろうか。視野は常に広くしておきたいと思っている。


ところで、そのTさん、葡萄鼻山では、冗談ぽく、いやー電話をもらったから来てみたのさなどと言っていたから、今回も、朳小屋で焼肉でもして待っていてくれるかもなどど、淡い期待を抱いたのだが、どうも電話は通じていなかったようだ。残念至極と言うべきか。


さてさて、次の飯豊は、ぜひ5月の残雪期に歩いて見たい。
今年の連休にその計画があったのだが、折悪しく天候と体調と両方整わず、見送りとなった。
来年こそは実現したいものだ。

Unqさんは以前、連休の本山に立って、それで小学生レベルだと言っていた。それならば、残雪期の稜線を歩いて大日岳に立ったら、中学生レベルくらいにはなれるだろうか。

それから、更に欲を言えば、7月半ばのあのヒメサユリとニッコウキスゲの群れ咲く時期にも、もう一度飯豊の稜線を歩いてみたい。4年前の縦走で目にしたあの光景が、今も瞼に浮かんでくる。

と、そんなわけで、なかなか、欲は尽きない。飯豊、いい山です。

花園の中にマルバコゴメグサ、これも飯豊の特産品とか 

11:19 鉾立峰に続くアゴク峰を望む

11:23 遠く霞むのは二王子岳 

12:22 鉾立峰の絶壁上に人影二つ

鉾立峰の山上に咲く花たち

13:35 朳差小屋の周りも花でいっぱい

初めてお目にかかった ハナイカリ

13:36 小屋の前から見た朳差岳山頂

14:56 まずは登頂記念撮影、袋の中には山頂乾杯用ビール

14:57 山頂から関川村の盆地を望む 手前は前朳差 

我が家の辺りにズームイン 荒川に架かる温泉橋が見える

1546 長者平に遊ぶ 正面に頼母木山・地神山、左に雲の本山

18:27 朳差山頂で 夕日の花、その先は前朳差 

18:40 日本海に沈む夕日 満ち足りた一日の終り 

9日4:40 稜線を吹き越えて行く雲の流れ

4:50 日の出 また希望の一日がはじまる 

4:55 山頂から左に本山、右に地神山、頼母木小屋と門内小屋

7:12 再び鉾立峰に上がる、後ろに朳差岳と小屋

7:45 越えてきた鉾立峰 この峰越えがルート最大の難関

11:06 頼母木から地神へ花の稜線、飯豊の醍醐味

稜線のそこかしこ、イイデリンドウ またの名を飯豊の星

13:25 ミズキの先に倉手山、丸森尾根は難儀な下りが続く

16:09 無事にゴールイン  下界は暑い!!
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