八ヶ岳 '14.6.29
  山歩紀行 2015

 人と交わり、草木と交わり、山気と交わり
それら一瞬の表情を写真で切り取る楽しみも広がって
単独行もいいし、仲間とならなおいい
そんな山歩きの楽しみを今年も綴ります

白山 '14.7.21
 
    2015年8月22~24日 Okkaaの初上高地
上高地・河童橋~徳沢園   長野県松本市    

24日5:49 徳沢園を発つ前の見納めにと、朝日の前穂高岳を仰ぎに川原に出て見た

1日目(8月22日)沢渡からタクシーで上高地着10:45-上高地発12:00-14:30徳沢園着、テント泊。
2日目(23日)は、蝶ヶ岳登山
3日目(24日)テント撤収、徳沢園発6:07-7:12明神、奥宮、嘉門次小屋7:49-8:59河童橋9:23-バス乗場発9:55、沢渡へ

たくさんの花や景色をYouTubeにUPしてあります。
 →こちらから どうぞ


今回の山行は、当初、立山の剱岳に挑戦することになっていた。
ところが、生憎の台風接近で、天気予報がめまぐるしく変わる。
出発当日の朝ギリギリまで山の予報を見て、断念。
急遽、比較的予報のいい、蝶ヶ岳へ向うことにした。

実は、我らが剱に挑戦中、山に登らないOkkaaも、立山で遊ぶことにして一行に加わっていた。
蝶ヶ岳なら、Okkaaも上高地で遊ぶことができるという温かい配慮からだった。

かくして、Okkaaにとっては、憧れの地だった上高地に初めて足を踏み入れることになったというわけだ。

1日目の上高地は小雨模様だが、時間にはたっぷり余裕がある。
憧れの河童橋で写真を撮り、インフォメーションセンターやビジターセンターをゆったりと見学した後、徳沢園目指して、途中、道端の花や川原の風景などを見ながら歩いた。
とりわけ、キツリフネの黄色が鮮やかで目を引いたし、サラシナショウマが見事なほどに大きく咲き誇っていたのには驚いた。
3年前の槍ヶ岳山行以来のジャコウソウの花をOkkaaに教えたら、後ろから続々やって来た登山者たちに口々に伝わって、根が小心者の当方、もし間違っていたらと身のすくむ思いをしたものだ。

モミジの形をした葉に赤い実がついていて、モミジにしては葉の切れ込みが多すぎるし、モミジに赤い実など聞いたことがない。
とりあえず写真に収めてきて、帰宅して図鑑を捲っていると、スグリにぴったし。
スグリは、グーズベリーのこと。我家の庭にもある。確かに、葉はそっくり。
栽培用はセイヨウスグリで外国産なのだが、日本では長野県と山梨県にだけ自生種があるとあった。
これだと思って、更にネットで調べると、上高地には、スグリ属でザリコミという名の木があるという。砂利場のグミが訛ったとのこと。

なるほど、赤い実はグミか。と、まあ、こんな具合で、帰宅してから数日は撮った写真と図鑑やネットを見比べて調べて過ごす。1度食べて、2度美味しいというのは、こういうことを言うのだろう。
植物だけではない。地形や地名なども、カシミール3Dを使って立体鳥瞰図を作ると、その位置から見える山の形や山名を調べることができる。撮った写真と見比べて、山の名を確定する。これなども、2度の美味しさを楽しめる。
登っている時間よりも、帰宅して、写真を整理しながらそうやって楽しんでいる時間の方が長い。
これも山歩の大いなる楽しみの一つ。

さて、2日目、我等は蝶ヶ岳へ。
留守番のOkkaaは、マイペースで横尾までの散策を楽しんだらしい。道々撮ったという花の写真を、帰宅してから見てみたら、知らない花があった。
例によって図鑑などで調べたら、ミヤマモジズリとゲンノショウコのようだ。
徳沢園~横尾は、早朝に我らも通った道なのだが、ちっとも気づかなかった。蝶に登る目的でせっせと歩いた我らと、無目的にのんびり歩いた人との違いだろうか。
常の山行でも、あっても見えてないことは多々あって、いつも、互いに教え合って、それをカバーしている。
それにしても、ゲンノショウコは我家の山林でもよく見ているが、みな白色。調べたところでは、西日本には赤紫色もあり、東日本は白色が主とのこと、また一つ勉強になった。

蝶の登山を終えて、翌3日目の戻り道、折角上高地に来たのだからと、多少遠回りだが明神から橋を渡って対岸を歩くコースを選んでくれた。
他のメンバーは以前通っているとのことだが、私とOkkaaは初めての道。
2年前、槍ヶ岳に来たときは日程がタイトで、梓川左岸の道だけを大急ぎで往復したものだった。
それに比べれば、今回は、多少余裕がある。それでも、午後には乗鞍岳に立ち寄り登山をする予定だから、そうのんびりと歩くわけには行かない。それに、皆、テント泊用の大荷物を担いでいる。
大勢の上高地散策者たちが行き交う中、大ザックを背に結構目立つ完全登山装備で、黙々せっせと遊歩道を歩いた。
それで、前だけを見て歩いているかというと、そんなことはない。珍しい花はないか、実は生ってないか、景色はどうかなどと、目は四方八方に向けている。山歩中はいつもそうだ。
一点集中は、かえって危険。それは車の運転も同じこと。注意力は常に四方八方に飛ばさなくてはいけない。

ニワトコの葉に似た枝にきれいな赤い実がついていた。
これも帰宅して図鑑で調べると、ミヤマニワトコ。
ニワトコの木なら、我家の山林では、刈っても刈っても生えて来て目の仇の様にしているのだが、ミヤマが付けば、話は別だ。
そういえば、2日目にOkkaaが見つけたミヤマモジズリにしても、貴重なランのように見えてくる。ただのモジズリなら雑草扱いだが。

嘉門次小屋は、いつかテレビの山番組で見たような気がするが、ここにあったのかと初めて分かった。
小屋にいた若者(おじさんかも)に、内部の写真を撮ってもいいかと尋ねたら、実に無愛想な返事で、ンと一言。
その話に、Unqさんは、いかにも嘉門次小屋らしくていいじゃないかと言う。おそらく、嘉門次もそんな人だったんだろうと。
なるほど、確かに、寡黙は美徳だ。山では特にそうだ。
前夜、テント場で遅くまで喋り捲っていたおっさんなど、高揚した気分は分からないでもないが、醜悪そのものだ。
山には、寡黙が似合う。
そもそも、山はいつも寡黙だ。無言で人を受容れている。
人も山に倣いたいものだ。

で、okkaaはというと、初上高地に大感激。寡黙どころではない。
軽いザックで、先頭に立ってセッセセッセと歩くこと歩くこと。
帰宅した翌日、太ももの裏側がガンガンになっていたほどで、こんなに歩いたのは初めてというくらいの運動量、これまた大満足。

それもこれも、すべて山岳会の皆さんの温かい配慮の賜物、本当にありがとうございました。
お蔭様で、河童橋の上での二人の記念写真も残りました。

1日目(22日)11:38 上高地といえば河童橋、ナニハトモアレ記念撮影

12:12 サラシナショウマの見事なのにはビックリ

14:09 花を探しての道草歩き、時間は余裕たっぷり

14:20 徳沢園に到着、ここで2晩テント泊

17:10 テント場から見上げると、前穂と明神の岩峰

18:18 テント場には、続々とキャンパーたち
 
2日目(23日)は、蝶ヶ岳登山
その間、留守役のOkkaaは横尾までのんびり散策
途中で撮ったというこの花、どうもミヤマモジズリのよう

これもOkkaaの撮影、ハクサンフウロと思ったらもっと小さかったと言う。図鑑を見たら、西日本のゲンノショウコは赤紫色をしているのだと

3日目(24日)5:15 2晩過ごしたテントを撤去

5:50 朝日の前穂を眺めた川原の上流に大天井岳
 
アザミの種類は多くて紛らわしいが、これは
ヒガシヤマアザミというらしい、特徴的な花の形

7:31 明神橋を渡って対岸の遊歩道へ

7:43 嘉門次小屋の内部、壁にウエストン愛用のピッケル

8:40 遊歩道の途中、清らかな水・木立・山、いかにも上高地

9:00 旅の終わりも、河童橋で 滅多に撮らないツーショット

9:17 橋の袂のケショウヤナギの下で、ザックと共に 

9:22 河童橋を渡りながら、下流に焼岳
   
9:24 河童橋の見納め、振返りつつバスセンターへ向う 
 ― ページのTOPへ ―