八ヶ岳 '14.6.29 |
山歩紀行 2015 人と交わり、草木と交わり、山気と交わり それら一瞬の表情を写真で切り取る楽しみも広がって 単独行もいいし、仲間とならなおいい そんな山歩きの楽しみを今年も綴ります |
白山 '14.7.21 |
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2015年8月23日 蝶ヶ岳で穂高連峰大展望 | |||||
蝶ヶ岳 2677m 長野県松本市 | |||||
13:15 蝶ヶ岳山頂から 雲が切れて槍ヶ岳が顔を覗かせ、大キレットが目の前に |
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徳沢発5:10-5:30新村橋5:47-6:22横尾6:41-7:15槍見台-10:11横尾分岐-10:41蝶槍10:51-11:28分岐-13:02山頂(小屋でラーメン)13:36-14:36長塀山-17:03徳沢着 |
蝶ヶ岳でのたくさんの花や景色をYouTubeにUPしてあります。 →こちらから どうぞ 上高地の2日目。 徳沢園テント場にOkkaaを残して、5人蝶ヶ岳に向う。 コースは、横尾から登って長塀尾根を下る、急登緩降ルート。 横尾へ向う途中、新村橋から見上げた前穂・明神の光景が素晴しく、しばし佇むばかり。 朝の陽射を浴びて、山頂の岩峰が輝いていた。 あそこに立てるものなら立ってみたい。 横尾大橋に着いて見れば、その想いは募るばかり。 Unqさんから地図を借りて見れば、ルートは確かにある。いつかまた・・・。 横尾登山口から急坂を登って、ふと振返ると、槍が見えた。夢中でシャッターを切って、数歩登ると、そこが槍見台。 大喰から南岳への稜線が見えて、大キレットの北端が見えている。 2年前の夏、槍の穂先に立ち、大喰から南岳を歩き、あの大キレットを覗き込んだことが、懐かしく思い出される。 その前年の暮近くだったろうか、旅行社の山行ツアーで、槍~大キレット~奥穂の人数限定募集があって、迷いに迷った末に思い切って申し込んだら、既に満席ですとあっさりと断られた。 その話を、確か春の光兎山の上でUnqさんにしたのだった。 それから暫く経ってのこと、それならば、阿賀北山岳会の槍ヶ岳山行にどうかと、誘っていただいたのだった。 まだ2年しか経っていないのだが、あれから随分いろいろな山に連れて行ってもらって、もう何年も前のことだったように感じる。 だから、久しぶりの懐かしい山のように感じて、槍ヶ岳とそこから続く稜線を見ていた。 槍見台の頃は、稜線の雲は少なく、峰々もくっきりと見えていたのだが、やがて横尾分岐に出た頃には、雲が下から湧き上がってきて、槍もほとんどその中に入っていた。 分岐から常念に続く稜線の先も雲が厚く、常念はまったく見えなかった。 この稜線を常念まで往復して蝶に泊ろうと計画したのは、一昨年のことだったか。結局、悪天候で取止めたのだが、実際に来て見れば、かなりのアップダウン。果たして一日で往復などできたものやら。無謀だったかもしれない。 分岐から、まずは蝶槍に向った。 昔は蝶ヶ岳の山頂だったという三角点ピークがあって、そこまで上がらないと見えないほどの高さの槍。 対岸の本家の槍から見たら、可愛らしい槍だ。多分、ご本人も、槍などという名を賜ってしまって、本家の前では身をすくめているのだろう。 もしかしたら、今日のように、ご本家が雲に隠れている間だけでも、すくめていた身を多少は伸ばして、ホッと一息ついているのかもしれない。そんな、愛らしさに包まれた蝶槍だった。 蝶槍から常念への稜線が続いていた。結局、常念は一度も姿を見せることはなかったが、その先の大天井は見えた。大天井からは槍へ続く尾根。長い道、歩いてみたいとしみじみ思うばかり。 北アルプス穂高の連峰、なかなか惹き付けて止まない。 さて、蝶槍から引き返して蝶ヶ岳山頂へ向う稜線歩き、右方には常に穂高連峰の大山塊。 槍が見え隠れ、大キレットは呼んでいるし、前穂も隠れることはない。北穂がたまに姿を見せたような、まだてっぺんだけは隠しているような、奥穂はついに完全逃避のそぶり。 雲は薄れたり、また濃くなったり、思わせぶりな対岸を見ながら、いつベールを脱ぐか期待して歩く稜線も悪くはない。 蝶ヶ岳山頂への稜線は、実に平で円やかで穏やかな山。 途中には、窪地などもあって、これはどう見ても二重山稜だ。 土沢山城の探索で初めて知ったのだが、山稜は、重力によって引っ張られ左右に引き裂かれたように割れることがあるのだとか。割れ目は細長い窪地になる。 微地形のため、2万5千分の1地図程度ではよく分からない。現地に立ってみて初めて分かる。分かった上で地図を見ると、蝶ヶ岳の稜線には、なるほど、それらしい地形が描き込んである。 ネットで調べると、二重どころかここは三つ以上の山稜が並んだ多重山稜なのだとのこと。そう言われて写真を見ると、そうも見えてくる。 高山植物だけではなく、こういった地形も面白く、山は中々奥が深いのだ。 実際、奥深くの山に入っているのだが。 山頂付近に近づいてみると、平らな稜線上に腰を下ろして、じっと、穂高山塊の方を見つめている登山人が多くいた。 皆、槍の出、奥穂・北穂の出、大キレットの全貌、できればジャンダルムまでと、役者の登場を待ち望んでいる。 ここは確かに、穂高連峰の観覧桟敷に違いない。 完璧であれば、反対方向の松本、安曇野方面の眺望だって、主役以上の見せ場を用意してくれているのかもしれないが、この日、そちら方面はまったく望みなし。 ただ、大天井から槍に続く尾根が見通せて、表銀座というのだそうだが、そこを歩いたと言うUnqさんの話には垂涎の思いがした。 大キレットは呼んでるし、前穂も、表銀座も、裏銀座はもっといいという話もあるし、う~ん困ったぞこれは。 大キレットが手招きしていると言ったら、Youmyさん曰く、ちがうちがう! あれは、来い来いと伸ばした指を折り下げているのではなくて、近寄るな近寄るなと、折り下げた指を逆に跳ね上げ伸ばしているのだと。 そうか、同じ仕草でも、想い方によっては真逆に見えることもあるのかと、妙に感心したものだ。 広い蝶ヶ岳山頂で、腰をすえてじっくりと穂高を眺めたり、飛び上がってみたり、跳ねてみたり、まぁ様々なことをして時間を過ごし、後ろ髪引かれながら長塀尾根を下った。 塀は<へい>ではなくて<かべ>と読むのだそうだ。 その長塀尾根で、思いもよらずお花畑と出合った。樹林帯の長い下山路をだた黙々と下るしかないと思っていただけに、一入嬉しかった。 花百名山の田中女史は、花のない山は山ではないようなことを書いていたが、それは少々極端だとしても、花はやっぱりあった方がいい。 山には花、鹿には蝶だ。 いやいや、蝶には鹿ならぬ猿がいた。 下山路にサルの群れが陣取っていて、コメツガの実だろうか、それともシラビソの実だろうか、さかんに食いついていた。 我家の山林でサルには慣れているつもりだったが、どうも上高地のサルは勝手が違った。 山林のサルは一声掛けるとサッと藪の中に身を隠すのだが、ここのサルは微動だにしない。 見かねたUnqさんが先頭に出て、無言でサルの前を通ったら、何事もないかのようにして、そっと道を空けた。まるで、大都会の交差点だ。さすが上高地。 それにしてもだ。最近では、任天堂の花札はマイナーになってしまって、ついに、蝶と鹿の対は今では蝶と猿になってしまったかと、これは蛇足ながらのこと。 ともあれ、たっぷりと時間を費やして、下山したのは、事前にOkkaaに伝えていた見込みより2時間は遅くなった。 お蔭様で、日が翳ってからテントの中でゆっくり昼寝ができたらしい。なにしろ、日中の日向のテント内は灼熱の地獄だったということだ。いやはや。 かくして、上高地の2日目も無事終り、最終日を迎えることになったのでありました。 |
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5:30 新村橋から 朝の陽光を受ける前穂、明神の岩峰 |
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6:22 横尾大橋 バックに前穂高岳・明神岳 |
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7:16 槍見台1990mから 眼前に槍、大キレットの覗場・南岳 |
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10:28 蝶ヶ岳三角点のピークを越えると蝶槍が見えた |
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10:42 ここが一応、蝶槍の穂先 |
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10:46 蝶槍で憩う登山人 その足元は常念へ続く稜線 |
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11:36 蝶ヶ岳山頂への穏やかな稜線 ここは多重山稜 |
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13:05 蝶ヶ岳山頂 憧れの大キレットをバックに |
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13:16 大キレットを見つめ、槍の出を待つ登山人 |
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13:32 雲を額縁に、堂々と槍の出番 |
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13:38 常念に続く稜線、そのずっと先に大天井岳 |
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長塀尾根に思わぬお花畑があって、その中にトリカブト ホソバか、ミヤマか、トリカブトの見分けは素人には無理のよう |
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このシオガマも、ヨツバかクチバシか、なかなか難しい |
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ベニバナイチゴの実、一応食べてみたが、まだ苦い |
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17:03 のんびりとした分下山が遅れて、Okkaaはテントで昼寝か |
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徳沢園の名物だとか、たしかに特別な味がした |
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