八ヶ岳 '14.6.29
  山歩紀行 2015

 人と交わり、草木と交わり、山気と交わり
それら一瞬の表情を写真で切り取る楽しみも広がって
単独行もいいし、仲間とならなおいい
そんな山歩きの楽しみを今年も綴ります

白山 '14.7.21
 
    2015年12月5~6日 忘年会登山は青空の群馬へ
 第1日目 霊山・嵩山 奇岩巨岩に秘所ありスリルあり
 
嵩山(たけやま) 789.2m     群馬県中之条町    

10:46 五郎岩の稜線から白嶺の浅間山に見入る その左方に明日登る浅間隠山 

11:05 山頂大天狗への岩場から眼下に中之条町の盆地とその先に榛名の連山 

東登山道登山口9:35―10:05弥勒穴―10:20一升水―10:47五郎岩―11:10山頂―11:43弘法筆跡(昼食休憩)12:40―12:51小天狗―13:25表登山道登山口に下山。

行程中の写真をYouTubeにUPしてありますので
 →こちら からどうぞ


この日、越後は北寄りの風が吹き荒れる時雨日。風雨の中を早朝に出立し、関越道の長いトンネルを抜けると、毎度のことながらそこは抜けるような青空の別世界。暗黒の空の下、越後に生まれた身の不運を嘆くのも、この時季だけの毎度のこと。
もっともそれは、まぶしいばかりの陽射しを浴びて暖房を止めたほどに温い車の中だからこその感慨で、車外を吹き抜ける関東のあの空っ風に身を曝せば、すぐにまた別の感慨が湧くはずではあるのだが。

嵩山は南斜面を登る。だから、越後から吹き渡ってくる北風は全く当らない。登り始めて数十分もするとじっとりと汗ばんでくる。冬支度の衣装を一枚脱ぎ、二枚脱ぎ、Youmyさんなど、ついには半袖Tシャツ一枚になってしまったほど。
それが、ひとたび稜線に出て北面すれば激変する。上越国境を越えてくる寒風がもろに吹きつけてくるから堪らない。これが名高い上州の空っ風かと身に染みて、脱いだ衣装を一枚、二枚と着込んでいく。
冬の関東の山は、衣装の調節具合がなかなか煩わしい。

さて、その嵩山。「たけやま」と読む。麓の道の駅から見上げると恐ろしいほどの巨岩が木々の間からそそり立っている。全山、巨岩奇岩の塊。
中世には山城があって実際に攻防戦が展開され城主一族が滅亡する悲劇の舞台ともなったとのこと。それもあって鎮魂慰霊のためか、その後は霊山として崇められ、数多くの仏像が山内各所に安置され巡礼の地ともなってきたらしい。
それだけに秘所も多いようだが、一見の登山者には、メーンコースから逸れた地域への立ち入りは中々難しい。今回は、幸いというべきか、登山口にボランティアでガイドをしているという方に出会って、親切にも立ち入りがたい箇所まで引率してくださった。
聞けば、毎日この山に登り、我等のような山歩人が来ていれば、案内を買って出ているとのこと。もちろん無料のボランティアで。
お蔭様で、弥勒穴、一升水、五郎岩などメーンルートから逸れた秘所を巡ることができた。多分、この方の案内がなければ、立ち寄ることなくスルーしたかもしれない。
各所各所での詳しい説明と併せて、感謝感激。本当にありがとうございました。

さて、麓の道の駅には、3年前に立寄っている。8月に御嶽山に登り、その帰路ナビ任せに走って信濃路から志賀高原を越えて上州に入り、この道の駅で一休みしてR17へ抜けたのだった。
あの時は、頭上の巨岩を恐る恐る見上げて立ち去ったのだったが、今回、四万温泉で忘年会ということになり、近くの手頃な山をということで嵩山を推薦したら、Unqさんは既に登ったことがあるという。こんな人知れずの山まで登っているかと驚いたら、群馬百名山だという。その後、少々の経緯があって、結局第1日目はこの山ということになった。
奇しきご縁ということになろうか。

実は、あの時、ここには木工体験のできる販売所があって、そこの入口に、大小の丸太を輪切りにした丸板で作った操り人形状の置物があった。それを見て、翌年のMargoの夏休みの工作をこれにしようと思ったのだが、1年後の夏には、そのことをすっかり忘れ果ててしまっていて、青竹で筆入れなどを作ったのだったと、今になって思い出して、独り後悔の想いに駆られてしまった。覆水盆に戻らずとはいうものの、自分のいい加減さを思い知らされたようで、情けない思いがしてくる。これまた、奇しきご縁ということか。

その体験施設を探したのだが、ない。通りかかった人に訊ねたら、今はもう閉店とのこと。たった3年で変ってしまうもの、変らないもの、これもまた世の常。それを言えば御嶽山のあの惨状、3年前のあの穏やかな山頂の光景はもう戻らない。無常といえば無常。
仏の山で、俄にしおらしくなる。

9:54 青空の下 気持ちのいいモミの林を登る

10:04 巨岩絶壁の連続 クサリ場の先に弥勒穴

10:18 大絶壁の下に一升水、中世悲劇の舞台

10:30 稜線の東屋 南斜面は半袖になるくらいの温かさ

10:47 五郎岩の上であのポーズ 何ともお茶目な!!

10:51 五郎岩からの遠望 浅間山と浅間隠山

11:04 山頂・大天狗へ向う長い鎖場

11:11 山頂にも大岩 標高789m 実に覚えやすい数字!!

11:16 山頂から遠望 異様な岩山は妙義山その先は奥秩父

11:27 大天狗を下る なんともお転婆に!!

11:33 実城の平 山城の本丸址 ここも中世悲劇の舞台

12:53 小天狗 上越国境の山から吹き降ろす風は冷たい

13:10 稜線の寒風が信じられない程に温い南斜面の林を下る

13:26 麓の道の駅「たけやま」に下山
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