八ヶ岳 '14.6.29
  山歩紀行 2015

 人と交わり、草木と交わり、山気と交わり
それら一瞬の表情を写真で切り取る楽しみも広がって
単独行もいいし、仲間とならなおいい
そんな山歩きの楽しみを今年も綴ります

白山 '14.7.21
 
    2015年4月18日  奥只見の日向倉山は、今が旬の山
             日向倉山 1430.6m  新潟県魚沼市
                         ↑ 山名クリックで、地図表示 

10:28 取付きの尾根から標高1150mの稜線に上がると、後ろに左から荒沢岳、中ノ岳、越後駒

<この日のコース>
8:41駐車場発-9:00尾根に取付き-10:28稜線-11:40日向倉山山頂13:03-14:16稜線から下山尾根への分岐-15:04駐車場着

9:13 取付いた尾根の厚い雪は、割れ始めていた

行程中の各地点の様子は
  YouTubeに画像があります。
   →こちら からどうぞ。


登った山には思い出があるが、初めての山には、期待がある。
まして、登山道などなく雪の時期しか登れない山となれば、なおのこと期待はふくらむ。

日向倉山(ひなたぐらやま)。
Unqさんから聞いて初めて知った山。
奥只見湖の湖岸にそびえる山。
登山道はなく、雪の季節にしか登れない山だという。
雪の季節とは言っても、名にし負う豪雪の北魚沼のそのまた奥の奥只見、降雪期は深雪のラッセル間違いなし。表層雪崩だって恐い。

となれば、雪の締まった残雪期の今が最適期。
行って見れば、ぶ厚い積雪は融け始めて、急斜面の雪壁には割れ目、これより遅い時期になれば、崩落しようかという気配ありあり。

まさに、今が旬の山。
今行かないで、いつ行くのか、というぐらいの適期に巡り合えた。

強風と黄砂の予報もものかは、銀山平の空はあくまでも青く、奥只見の雪は汚れなく白い。

まさに、まさに、今日が旬。


駐車場から尾根筋を見上げると、既に先行者が何人かいて、尾根上に芥子粒が蠢いている。

事前情報では、赤崩山と日向倉山を結ぶ稜線に上がってしまえば、たおやかに続く稜線歩きが待っているはずだが、稜線に上がるまでの尾根筋は、かなりの勾配だ。

取付き尾根のルートは2本。
東側尾根は最短ルートで急勾配なだけに時間は稼げる。
緩やかで長い西側尾根は下りのルートにして、東側尾根を直登することにした。

急勾配だけに厚い雪に割れ目が入っている箇所がある。そこは慎重に避けて、積雪のなくなった雑木の藪に分け入る。
そんなとき、雪のルートが如何にありがたいか、身に染みる。
これは、経験した人にしか分からないかもしれない。

急斜面で一息ついて、ふと振り返れば対岸に荒沢岳の厳つい岩峰が大きく横たわっている。西方には真っ白な越後駒ケ岳、中ノ岳。
すぐそこに見える。

稜線に上がれば、予想外に広々とした雪原が続く。
北に未丈ヶ岳、東に目的地の日向倉山山頂。
眼下に銀山平、奥只見湖、後方に荒沢岳、越後駒、中ノ岳、少し進むと、荒沢岳山塊の端から燧ケ岳が姿を現した。
北方遠くに見えるのは守門岳だろうか。

まさに絶景。

絶景の中を、たおやかに稜線の道が続く。

山頂直下の尾根筋は、南面の雪庇がすでに崩壊を始めていて、北側斜面、時には林間に入り、雪庇を避けて登る。
標高差150mほどの登りなのだが、これが意外ときつくて、時々立ち止まっては、写真撮影のついでに、息継ぎ。

先頭を行くYoumyさんは、一息も入れることなく淡々粛々と登り切った。これには脱帽。
山頂で休憩して分かったのだが、Youmyさんのザックには、焼肉やらお握りやら、たんと詰まっていたのだから、脱帽どころか敬服ものだ。
この調子では、6月の東根マラソンで遅れを取るかもしれないなどと、場違いなことが不安になった。

山頂は、思いのほか広い雪原。
おそらく雪がなければ林の中、大藪なのだろうが、今は、眺望抜群。

燧ケ岳、会津駒ヶ岳まで一望。

スキーを担いだ人たちが次々と登ってきた。我らのルートとは別らしい。滑降ルートも別にあるようだ。

その手があったかと思ったが、やっと登ったこの勾配を、スキーを担いで登るかと思うと、少々気が萎える。

それに、サーッと滑り下るにはもったいない眺望だ。

下りは、雄大な荒沢岳を左に常に見ながら、正面には、越後駒と中ノ岳の真っ白な麗姿を常に目に入れて稜線を歩く。
この光景は、スキー下りには替えられない。

ただ、登りのときは全く意識しなかったのだが、下りとなると、こんなにアップダウンがあったのかと、登り返しを恨めしく思う。
とりわけ、赤崩山に向う稜線上の分岐点までの登り返しは、さすがに顎が出た。

楽な山など一つもない。
それなのに、懲りることなくまた行きたくなる。
この満ち足りた思いは、山に登る人にしか分からない・・・のかもしれない。

9:32 割れ目を避けて、時にはブッシュに入って慎重に進む

10:01 急斜面の向うに 奥只見湖が見えてきた

10:15 間もなく稜線に出る頃、銀山平が遥か下方に

10:43 広くたおやかに続く稜線の左(北)側に未丈ヶ岳

10:53 先方の日向倉山頂を目指して、広い稜線の雪原を進む 

11:19 日向倉山山頂への最後の登り ここがきつい

11:40 意外なほどに広い山頂

山頂からの雄大な眺め 左から荒沢岳、中ノ岳、越後駒

登頂記念撮影  後ろは未丈ヶ岳

山頂に愛用のピッケルを立てて、その遥か先に燧ケ岳

奥只見湖と会津駒ヶ岳

13:45 越後駒を正面に見ながら稜線を引き返す

14:02 ブナの木の向うに横たわる荒沢岳

14:10 稜線のこの登り返しが最もきつい

14:18 稜線の分岐から下山尾根を見下すと遥か下方に駐車場

14:24 荒沢岳を正面に一気に下る
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