2015.7.27鳳凰三山
  山歩紀行 2016

 人と交わり、草木と交わり、山気と交わり
それら一瞬の表情を写真で切り取る楽しみも広がって
単独行もいいし、仲間とならなおいい
そんな山歩きの楽しみを今年も綴ります
 
2015.9.21栂海新道へ
 
   2016年7月16日 天空の牧場美ヶ原に立ち寄り山歩
美ヶ原(王ヶ頭)2034.4m  長野県上田市・松本市・長和町   

12:11 美ヶ原のシンボル「美しの塔」 その右手遥か前方のホテルの裏手が山頂「王ヶ頭」

13:44 山頂を示す大石碑 その遥か彼方に松本市の盆地 右端の車道を上ったのは十何年も前のこと

美ヶ原美術館駐車場発11:15-12:10美しの塔12:30-13:40王ヶ頭13:50-14:50
駐車場着


動画をYouTubeにUPしました。
→こちらから どうぞご覧ください。



もう十数年も昔のことで、季節も定かではないが、美ヶ原には、Okkaaとドライブで来たことがある。

松本から渋滞の車列につながって山道を上った。
上り切った行き止まりの駐車場の車の多さと、降りて歩いている観光客の多さに辟易し、下りが混まないうちにと、早々に下山した。
今思えば、その駐車場は山頂・王ヶ頭の近くなのだが、高原をろくに歩きもしなかったから、当然、山頂碑のところにも行っていない。
ただ広い高原の上に出たことと、草原が広がっていたことしか印象に残っていない。
近年になって、そこが百名山の一つだと聞かされても、どこかピンと来ない。

その美ヶ原に、思いもよらず来ることになった。

今回山行の主目的は、甲武信ヶ岳と金峰山。
3連休の中日に、一日がかりで甲武信に周回往復し、最終日に半日日程で金峰に登る。前泊の初日は日程に余裕が出る。
ならば、宿泊地へ向かう途中で、ひと山巡って行こうということで、霧ヶ峰にするか美ヶ原にするか。
どちらも、車で簡単に上ることができる。いわゆる、俗称・サンダル百名山。
高速道の車中で、では、美ヶ原へとなった。

十数年前のドライブでは、確か、車山の山頂にも行った。
そこが、百名山・霧ヶ峰の山頂だとこの日の車中で教えられて、初めて知った。
まさに、サンダル履きで百名山の一座に立っていたことになる。何となく後ろめたい。

美ヶ原は、前述のように山頂には立っていない。
美術館側から歩けば、高度差はそれほどないものの、距離はある程度ある。
だから、立派な山歩。楽ちんではあるが、後ろめたさはない。

さて、牛伏山への木道を歩いていて、まず目についたのは、ハクサンフウロ。異様なほどに数が多い。
牛伏を越えた辺りに説明看板があって、それで分かったのだが、在来植生として復元したとのこと。
なるほど、それでこれほどまでに増えたのかと納得。
看板には、ハクサンフウロのほかに三種、グンバイヅル、マツムシソウ、シャジクソウも復元中とあった。

その看板を見るまで、登山道の石の間に咲いていた小さい花を、てっきりミヤマクワガタだとばかり思っていた。そっくりの花、それがグンバイヅル。
道に屈んでその花を撮ろうとし、ミヤマクワガタだと呟いたら、通りがかったおばさんが立ち止まり、変な顔をしてこちらを振り返っていた。
あれは多分、グンバイヅルだと教えたかったのだろうと後で気づいた。
山で知ったかぶりをして花の名を唱えるのはやめた方がいいと、いつも思っている。

木曽駒だったか、得々とした顔で花の名を説明しているおっさんに出会ったことがある。
殆ど的外れ。心の中で冷笑した。
翻って多分、自分も同じ目に合っているはずだ。
だから、山で人に聞こえる声で花の名を唱えるのは、もう止めにしよう。
そう思いながら、ついつい口に出てしまう。

シャジクソウも初めは分からなかった。
牧場には牧草のアカツメクサが沢山咲いていて、その花の咲き終わりで花びらがバラケ出したのかなくらいに思っていたが、どうも葉がツメクサではない。
看板の写真が鮮明でなかったので、照合できなかったが、帰宅してからネットで調べて分かった。

シャジクソウ、グンバイヅル、いずれも今回初めて出会った花たち。

ついでに言えば、王ヶ頭の岩盤に張り付いていた黄色い花、どう見ても、ミヤマキンバイだが、どこか色が鈍いのが気になってはいた。
これもネットで調べて、イワキンバイだと分かった。

Unqさんなら、ではどこが違うのか、花弁の数か、葉の付け根か、つき方かと、細かく追及・分析するのだが、私の場合は、ざっくりと印象で判断。
これを文学では印象批判と言うのだと、文学者のUnqさんは言う。
私の場合は、印象と直感で70年生きてきた。
だから、山歩紀行もせっせと印象を綴っている。

おかしかったのは、塩クレ場にあったトイレの看板表示。
向かって右の入り口には、黒でオス牛の絵、左には、赤でメス牛の絵。
牧場の中のトイレだから、これはてっきり牛さん用のトイレだと、早とちり気味の人は、勘違いするのではなかろうか。
早とちりの印象判断は、あぶないあぶない。

それにしても、美ヶ原、広い広い山頂台地だった。



 ホソバノキソチドリ かな?

11:22 駐車場から牛伏山への木道 傍らの草原には高山の花々

至る所にハクサンフウロ ほかにウツボグサ ヤマオダマキ オトギリソウなども

11:31 牛伏山1990mに上がると広い美ヶ原を一望できる 正面は山本小屋 

ミヤマクワガタかと思ったら、グンバイヅル 在来植生を復元中とのこと

12:16 美しの塔でひと休み 青空が広がりようやく温かくなってきた

12:51 牛さん用のトイレかと 早とちりで引き返す人もいるのでは?

高原の主は放牧の牛たち の~んびりとおだやかに草を食み寝ころび

アカツメクサ の散り頃かと思ったら、シャジクソウ これも復元中の在来種とか

ウスユキソウが咲き群れていて、2000m級の高山にいることを知らしめていた

13:32 ここが美ヶ原の山頂部 ここだけが美しくないのが玉に瑕

13:42 3日間中メンバー4人そろった写真はこの一枚だけ 手前に三等三角点

王ヶ頭の岩壁に咲く花 ミヤマキンバイかと思ったら、イワキンバイとのこと

14:15 戻るころ、美しの塔は観光バス何台分かの観光客に囲まれていた

草原のかしこに感じよく咲いていたのはキバナノヤマオダマキ

17:48 この日の宿泊地、日本のヨセミテとも称される奇岩の金峰山渓谷へ
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