2015.7.27鳳凰三山
  山歩紀行 2016

 人と交わり、草木と交わり、山気と交わり
それら一瞬の表情を写真で切り取る楽しみも広がって
単独行もいいし、仲間とならなおいい
そんな山歩きの楽しみを今年も綴ります
 
2015.9.21栂海新道へ
 
   2016年7月18日 金峰山 山頂から南アルプス大観望
金峰山2599m  長野県川上村・山梨県甲府市   

9:27 山頂から 五丈石の右前方に南アルプス 右から甲斐駒、仙丈、北岳、間ノ岳、その手前に重なる鳳凰三山

10:42 山頂直下の斜面から 正面遠くに一瞬雲が切れて八ヶ岳 右手前に奇岩絶壁の瑞牆山

廻目平キャンプ場発6:05-7:15分岐(廃自家用車)-8:54金峰山小屋-9:25金峰山
山頂10:39-11:00金峰山小屋11:23-12:33分岐-13:35キャンプ場着


動画をYouTubeにUPしました。
→こちらから どうぞご覧ください。



甲武信と金峰に登るのにベースキャンプ地にしたのが、金峰山渓谷にある廻目平キャンプ場。
面白い名だとは思っていたが、ここが、クライマーの聖地として名高く、その名も日本のヨセミテと称されるところだとは、今回初めて知った。

最初の日、半分にたたんだマットレスを背に負った若者たちに会った。
最近の若者は、テントで寝るにもこんな厚いマットレスを敷くのかと、一瞬だが、思った。
すぐに、いくらなんでもそれはないだろうと打消して、キャンプ場にある金峰山荘の宿泊者用マットレスを乾燥させて運ぶアルバイトの若者かと思った。
同行の誰かが、あれはフリークライミングの人たちだと言うのを聞いて、ああそうか、岩の下に敷く安全マットかと、ようやくピントが合った。

キャンプ場から金峰山に向かう登山道の西側の山には、クライミングの場所がいくつもあるようだった。
ようだったというのは、どこも、道からはそれた木立の奥にあるらしく、直接目にすることはできなかったからだ。
1カ所だけ、登山道の脇に露頭の岩壁が立っていて、よく見るとハーケンが打たれカラビナが下がっていた。
ここはフリークライミングではなく、ロープクライミングの岩のようだ。
行きの早朝は誰も登っていなかったが、下山の昼頃には、二人の若者がその岩の下にいた。登るのなら見学したいと思ったが、残念なことに、終わってこれから帰るのだと言う。

日頃、関川ど~むの人工壁に登りついている身、ぜひ、本場のロッククライミングを見てみたかった。
道々、本物の岩で日頃の練習の成果を試してみたいものだと小声で話したら、いい加減に齢を考えてと、同行の誰かから叱咤された。
それはどう聞いても、激励ではなかった。

それはともかく、金峰山のこと。

露頭の岩壁を過ぎても、道は、西俣川に沿って車も通れる林道を淡々と進む。
やがて、過去に大出水があったのだろう、林道は跡形もなくなり、大荒れした河川敷の藪道を進むと、突然、目の前に廃車になった自家用車が現れた。

年式も車種も分からないが、かなり古い型式のようだ。
かつては、ここまで車が入れて、駐車して登山中に大出水があり、車道が崩壊して取り残されたということなのだろう。
帰宅した後、ネットで調べてみたら、この乗用車のほかにもう一台ジープも取り残されたのだとか。ただ、ジープは分解可能なので分解して仲間が分担して担いで下したのだと書いてあった。

いずれにしろ、この道を通る登山人にとって、この廃車は注目の一品に違いない。大変な記念品を残してくれたものだ。

登山道は、この廃車を目印に、二股に分岐して、我らは、沢を渡り金峰山小屋を目指して、尾根筋に登りつく。
やがて金峰山小屋。小屋の脇には奇岩がそそり立っていた。
これも後で知ったのだが、四丈半石(いわ)というらしい。1丈が10尺で約3mだから、13.5mほどの高さということか。
その奇岩の陰から瑞牆山がよく見えた。

金峰と言えば瑞牆とセットと思っていたが、今回、瑞牆には登らない。
実は、金峰・瑞牆のセットは、10月の登山計画に入っている。これは、会長のリクエストなので、最優先。
だから、今回は会長に無断の下見。
もっとも、金峰・瑞牆セットの場合は、登山口は山梨県側になるだろうからコースは全く別で、下見といっても、金峰の山頂だけということになるだろう。

さて、その山頂には、五丈石という名の巨岩が鎮座していた。
この「石」の字、「いし」とも、「いわ」とも呼ばれているようで、どちらが本来的なのかはよく分からない。
とにかく、その巨岩に若者が登りついていた。身の軽そうな人、それほど軽そうでない人、それぞれに工夫して、あるいは難儀して、段々になった岩を攀じり登り、てっぺんに立って大万歳。下のギャラリーから拍手。
やがて、我も我もと、若者が続く。
成功した人、途中で諦めた人。
そう簡単な登攀ではなさそうなことが伝わってくる。

同行の3人、何やらムズムズした様子でそれを見上げていたのだが、やおら、我らもと、岩に手をかけ始めた。攀じ登り、這い上がり・・・
どこまで登ったか・・・
山頂ビールでウトウトし始めた小生、同志がどこまで攀じ登ったか、定かではない。
てっぺんからの万歳は、どうも聞こえなかったような気がするのだが・・・

10月に来た時には、ビールなど飲まずに、オイラも五丈石に挑戦だ。


それにしても、3日目にして最高の天気。
南アルプスがよく見えた。
北岳、間ノ岳、仙丈、かつて登った山々が懐かしい。それに、北岳に重なっているが、地蔵、観音、薬師の峰も見えた。去年汗した鳳凰の縦走を思い出す。
今回の当初目的地・甲斐駒もよく見えた。今日なら絶好の日、だが予定は昨日、多分雲の中荒れ模様だっただろう。
八ヶ岳は昨日も今日も雲の中だったが、ちょっとの間、雲が切れて主峰が姿を現した。
浅間山は終始雲の中だった。
とにかく、こちらは最高の天気。
最高の眺望。
そして、梅雨明け前のこの3日間、すべて晴天。
僥倖に感謝感謝の3日間。

かくて、期せずしての百名山三座登頂となったのでありました。
同行の皆さん、天気の神様、ありがとうございました。

5:54 家族連れキャンパーで賑わう廻目平キャンプ場 前日から超満員状態

岩にハーケン、カラビナ ここはロッククライマーの聖地 日本のヨセミテとか 

7:15 今は車道とてない登山道に年代物の廃自家用車 こうなれば歴史遺産

7:18 分岐を過ぎて西俣川の支沢・砂洗川を渡る

9:11 足下に金峰山小屋と四丈半石 その前方に瑞牆山

9:25 金峰山山頂の岩の上に立つ

山頂の岩の上 後方の五丈石までつながる広い山頂部

五丈石を見上げながら、そこの広場で山頂休憩

岩の上に寝ころんで、ぜいたくにも富士を眺める登山人

五丈石の上までよじ登った若者 羨ましそうに見上げる登山人

で、我らもと登りついては見たものの、難度はかなり高かったそうな

11:02 金峰山小屋まで下って、四丈半石の先に瑞牆山 八ヶ岳には雲
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