2015.7.27鳳凰三山
  山歩紀行 2016

 人と交わり、草木と交わり、山気と交わり
それら一瞬の表情を写真で切り取る楽しみも広がって
単独行もいいし、仲間とならなおいい
そんな山歩きの楽しみを今年も綴ります
 
2015.9.21栂海新道へ
 
   2016年10月18日 雲仙岳三山駆け巡りの巻
妙見岳 1333m 国見岳 1347m 普賢岳 1359.3m  長崎県雲仙市・島原市   

11:10 国見岳の頂に立って、対面する平成新山の溶岩ドームを見る 生々しさを感じつつ

13:16 普賢岳の頂に憩う登山人  噴煙上る平成新山の荒々しい岩肌と対照的な長閑さ

RW妙見岳駅10:35-10:41妙見岳-11:00国見分れ-11:10国見岳11:15-11:26国見分れ-12:03鳩穴分れ-12:37普賢岳13:16-13:33紅葉茶屋-14:02駐車場に下山


どういうわけか、単独行は、どうしても足早になる。
高山の花が各種咲いていたり、下界の眺望が広がっていたりすれば、それでも、カメラを構えて足は止まるのだが、それもないとなれば、自然と足は速くなる。
ましてや、下山口で待っているツレ人がいるとなれば、何となく気が急いてしまう。
別に、標準タイムを気にして山を歩いているわけではないのだが、今回も結局、標準タイムより速くなってしまった。

せめて、山頂でのんびりコーヒーなど啜ろうと、息子からもらった登山用ミルを持っていったのだが、肝心のガスコンロがうまく燃えない。
ネットショップで格安品を見つけたものの、あまりの安さに不安はあった。
が、9月の秋田山行では上手く燃えたので、大丈夫と持ってきたもの。
普賢岳山頂で、豆を摺り、いざ湯を沸かそうと火を付けたら、青火の数秒後ボッと赤火が燃え上がり手に負えない。
何度試してもその繰り返し。
ついに、ラーメンも、コーヒーも諦めて、パンだけかじって下ることにした。
腹立たしさもあって、下りはなお速足になった。

下山してから、100円の雲仙の湯に浸かり、ああ2度と来ることのない山、もっとゆっくりと巡ってくればよかったと反省しきりも、後の祭り。

急ぎの日程になってしまった理由はもう一つある。
今回の山行ベースキャンプ地は、長崎県民の森オートキャンプ場。
そこから、雲仙まで2時間。
この日の朝、4時起きして5時に出発、雲仙を通り越してさらに1時間かけて島原半島南端近く、原城址を見学してきた。
だから、登山開始は10時半。
下山した後、また2時間かけて、西彼杵半島中央部のキャンプ地へ戻らなければならない。
そして、その翌日はまた早出して帰路につかなければならない日。
そんな差し迫った事情も、気を急かせた遠因かもしれない。

なぜ、それほど離れた所にキャンプしたかというと、雲仙岳の近くにオートキャンプ場が数ヶ所あるにはあるのだが、バンガローがあるのは、県民の森だけだったから。
去年の九州山行は、3泊ともオートサイトのテント場で暮らしたが、今年の予報は初日雨。
雨のテントはつらい。
だから、寝具、調理具一切備え付け、バストイレ付きの高級?バンガローにした。
初日雨、2日目も山は雲多し。だからその日は長崎見物。
登山は3日目にした。
1ヵ所ベースにしておけば、天候によって柔軟に対応できるというわけだ。

ただし、山はゆっくり歩くに限る。
せっかくの雲仙岳、何か見落としてきたような気がしてならない。

この山の噴火は、平成2年のこと。翌年6月の大火砕流は、大災害をもたらし、多くの犠牲が出た。
あれから四半世紀になるが、映像で見た記憶は生々しく残っている。

普賢岳山頂で、私よりは若いと思われる登山人から聞かれた。
この山、噴火したのはいつのことですか、と。
平成のはじめ、もう25年も前のことだよと答えながら、あの噴火と災害を記憶していない人もいるのかと、改めて思った。
そういえば、溶岩ドームの岩の間には草が生えていたし、壊滅的打撃を受けたはずのドームの周囲の植生は見事なほどに回復していた。
ミヤマキリシマという木は、この山のように火山ガスの発生する所には強いのだそうで、火山と共生する植物の集まりを「火山植生」というのだと、説明看板にあった。
たくましいものだ。

人間だって、あれだけの被害を受けても、立ち上がっている。
途中、風穴が(こちらでは「かざあな」と読むのだそうだが)、2ヶ所ほどあった。まだ、幾ヶ所もあるらしい。
古い溶岩ドームの岩石の隙間を利用した天然の低温貯蔵庫の跡。
古から、人は、利用できるものは何でも利用してきた賢さの証。

火山の恐ろしさに慄きながら、決してくじけず利用する、人も植物も、生きるものとしてのしたたかなたくましさをこの山でも感じてはきた。
だが、ああ、もっとゆっくりとゆっくりと巡ってくればよかった。
それに、せめて有明海や天草島を眺め渡したかった。

後悔は先に立たず。
それに、いつも好条件とは限らない。
青空が見えただけでも、まだましというものだ。

10:30 仁田峠からRWで妙見岳に登る 紅葉が始まったばかりの島原の山

季節外れの暑さでミヤマキリシマ咲き、憧れの花に出逢えた

10:46 ここが妙見岳 Okkaaはここで引返すことにして、別行動

10:55 妙見岳を越えた稜線からそそり立つ平成新山が見えた

ここでも咲き誇って?いるミヤマキリシマ その前方幽かに普賢岳か

11:04 国見岳の岩壁クサリ場の急登 久しぶりの岩登りに足はワナワナ

11:11 国見岳山頂標識と平成新山 下界の眺望は効かず国見不能

11:39 最低鞍部に降りて、見上げた国見岳 急斜面だったわけだ

11:46 西の風穴 蚕の卵を九州各地から預かって低温貯蔵したという跡

古い溶岩ドームの岩肌に垂直に根を張るヤマグルマの木 別名トリモチノキ

12:16 溶岩ドームに最接近 立ち上る噴煙 この先立ち入り禁止

12:26 ドームを巻いて普賢岳へ  再生する植物、たくましいものだ

12:38 異常なほどの猛暑、歩きながら次々に脱いで最後は真夏スタイル

オートシャッターのアングルが低く過ぎたので、立ち上がってもう一枚

14:48 麓の雲仙温泉 下山後は100円の共同湯がお薦め
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