綿野舞(watanobu)山歩紀行2017
 
 4月30日 西俣の峰から 飯豊の峰 目指す
頼母木山1730m  山形県小国町 新潟県関川村・胎内市  地理院地図は→こちら
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関川村と隣県小国町との境界線上に西俣ノ峰があって、そこから飯豊連峰主稜線上の頼母木(たもぎ)山へ繋がる積雪期限定の登山ルートがあります。残雪の今が最適期、昨春登ったUnqさんの引率で、標高差1400m、日帰り12時間の難コースに挑戦しました。杁差から本山に続く白くたおやかな飯豊の峰々、それはそれは得も言われぬ圧巻の眺望でした。
渡辺伸栄watanobu 
ようやく西俣ノ峰1023.2mに登り上がって、じっと見入る眼前の飯豊主稜線。左端・本山、右端・杁差岳、中央がこれから目指す頼母木山。あそこまで長い長い雪の稜線、激しい起伏の道が続く。
中央に葡萄鼻山、その左奥に朴坂山。その間に垣間見える平地が関川村の盆地。今立っているここは関川村と小国町との境界、県境線上。
普段見ている杁差岳を真後ろから見る。この高さからこの近さで杁差を見ると、普段見ているのとは違った迫力を感じる。
雪庇の崩落が始まっている。分厚く積もった雪、5m以上はあるだろうか。このブロックが崩れ落ちたら大雪崩となるのだろうが、下山時まで微妙なバランスを保って崩れずにいた。遠くに本山の双耳峰が見える。我らは稜線の縁を避け、右側の斜面林内の安全地帯を進む。
振り返れば、賑やかに登って来る一団。その後ろに大境山。さらにその奥、朝日連峰の白嶺。まるで青い水平線に浮かぶ島。大朝日岳が、一衣帯水の間で手招きしているような気がしてきた。
大境山の左奥に見えるのは光兎山。だから、大境山の右肩に頭をちょこんと出したのは、先月登り損ねた頭巾山。山形県から登って遠くに来たような気がしていたが、今いるのは我が故郷関川村の縁。
画面中央のダケカンバの林が三匹穴。そこに荷を置いて山頂ピストンの態勢をとった。この斜面でShinyaさんとバッタリ。早出して仲間と登頂し、早々に下山するのだと言って下って行った。若い人は早い。
頼母木平1700mから見た杁差岳と鉾立峰。杁差山頂下の小屋が見える。ここは、飯豊縦走の主稜線から外れた所にあって、なかなか来れない所。
頼母木平から登ってきた道を見下ろした。大境山と頼母木山を結ぶ飯豊の支尾根。その中間の西俣ノ峰からずっと歩いてきた道。画面右下方のダケカンバの林が三匹穴。賑やかな一団はあそこで休んで引き返すと言っていた。我らと前後して上がってきたのは山スキーを履いた単独者。石転沢の雪渓を滑り下るのだと言う。
雪庇の主稜線。その向こうに真っ白な二王子岳。あの山頂に先週立ったのだったが、あの時は雲の中でこちらは全く見えなかった。主稜線上、右に下がって頼母木小屋。まるで高原のペンションのように見える。夏場、水の豊富なありがたい小屋だ。
 
頼母木山山頂。後ろは地神山。西からの強風で立っていられないほど。今日午後から、飯豊山は20m/sの強風予報。山頂からは早々に撤退。主稜線が屏風になって、東斜面の風はそれほどでもなく、助かった。その上、強風のお陰で雲一つなく、ありがたいことに絶好の眺望。
 
下りはもちろん、広い天然のゲレンデをあのシリセードで悠然と滑り下る。誰もいない別世界、誰に遠慮があるものか。童心に帰るはこの時ぞ。
 
三匹穴に戻って、雪のテーブルを設え小一時間の大休止。ビールで乾杯、カフェオレのお汁粉、天然のかき氷etc.4月にUnqさんは幹部に昇進、今日はささやかながら山でそのお祝い。この絶景は山の神様からのお祝いの贈り物。餅は神様への感謝の食物。 
 
歳も弁えず、飯豊と杁差に万歳のポーズ。一昨年夏の杁差岳で遊んだ長者平はあの辺りか。おかしなおかしなスカート事件もあったりした。今日の3人は、あの時の3人組。七十路に入り、顔の日焼けは禁物と、完璧な防御態勢をとることにした。
 
西俣ノ峰直下30度の急斜面が下りの最大の難所。滑落したら谷底まで止まりそうもない。ピッケルを突き立てて用心深く下る。一歩一歩、確実に。下で春が待っている。
 
春まで下れば、花の道。イワウチワが群れて咲き誇っていた。白い花、薄ピンクの花、赤い花。色とりどり。カタクリにショウジョウバカマもあって、今年初見参のイワナシの花にも出会えた。
ミドリ萌え出したブナの林に入る。残雪期はいつも、雪の山から下って来るとこのブナのやわらかいミドリがなんとも言えないほど緊張と疲れを癒してくれる。
 
フィニッシュ。夕暮れの飯豊連峰をバックに、心地よい疲れを供に家路を辿る。山に感謝、引率のUnqさんに感謝、同行のKeynさんに感謝。
 
<コースとタイム>
駐車場発5:45-6:06登山口-6:56大曲-7:36十文字ノ池-8:43西俣ノ峰-9:27枯松峰-10:44大ドミ-11:31三匹穴-12:26頼母木平-12:30頼母木山山頂-13:26三匹穴14:26-16:10西俣ノ峰-17:51登山口-18:20駐車場着
コースの高低図
詳しい様子や花の画像などはYouTubeに→こちら
 
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