綿野舞(watanobu)山歩紀行2017
 
 7月3日 名花咲く 奥駈道を ひとり往く
大峰山(八経ヶ岳1915.2m) 奈良県天川村・上北山村  地理院地図は→こちら
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調べると天川村にはキャンプ場がやたら多く、来てみればその理由も納得です。川がとにかくきれいで、海のない奈良県の人々にとってはかけがえのない水浴場なのでしょう。需要が高い分、バンガロー料金は軒並み相当の高めです。それでも、気兼ねなく早立ちできるのが利点。暗いうちから起き出して、R309を弥山登山口に向かいました。その道路たるや恐らく酷道愛好者の垂涎道でしょう。山形高畠町のR399をこんなところで思い出して、苦笑い。登山口で私を降ろしたらOkkaaは車を運転して天川村へ戻り、みたらい渓谷などの景勝地を探索して待つ計画だったのですが、この道では無理。ということで、行けるところまでゆっくりと登ってみることになりました。
渡辺伸栄watanobu 
ここで紹介しきれなかった弥山・八経ヶ岳の様子や花々などを
YouTubeにUPしてあります。→こちら
 
登山口を入るとすぐに小沢を渡る。そこの木橋が、アーチ橋と同じ構造なのだろうが木製の中々しゃれた形。 
ウツギの花が各所に咲きこぼれ、崖を飾っていた。コアジサイも今が盛り。確か以前コアジサイを見たのは鳳凰三山の登り口。
小沢の木橋を越えれば、一気登りの急坂。Okkaaはゆっくりゆっくり行くからと、マイペース登山。この辺りで別行動となった。ただ、注意事項を伝えるのを忘れていて、この急斜面を引返し数十m上下した分あとで祟った。それに下で待ち人がいると思うと、どうしてもピークハントの心せわしない行動になる。
苔生す林床に、ヒメシャラの特徴的な木肌。ゆっくり眺める暇もなくカメラに収めて先を急ぐ。
450m直登して分岐(奥駈出合)に着いた。左から右への尾根筋が大峯山脈の主稜線で、左に行者還岳や山上ヶ岳、右に弥山と八経ヶ岳、ここが大峯奥駈道の本道。 
さすがは世界遺産の古道と言うべきか、道路標識もどこか奥ゆかしいのだと、下山で親しくなった奈良の人だという登山人から撮影を薦められた。
分岐からは若干の登りで弁天の森のピークに上がる。その少し先、森の空が開けて、前方に屏風のように山が立っていた。そこが弥山。もうかなり労力を使い果たしたのに、まだあそこまで登るのかと、少々がっかりする。その上、このピークからはしばらくは下り。そのことも多少気を滅入らせる。後で聞くと、Okkaaはここまで進んで、弥山の小屋を見上げた上で、ここからUターンしたらしい。 
聖宝ノ宿跡。ここが鞍部の底、弥山まで高度差300m。ここからの登りが中々苦しい。この日は月曜で高年の登山人がほとんど。私を始め皆、しょっちゅう足を止めては息継ぎを繰り返しながら、高度を上げていく。武士は相身互いの情景だった。 
マンネングサかと思ったが、後で調べると、ヒメレンゲ。違いはロゼッタがあることらしい。 そっと咲いていた、コナスビ。こんな小さな花でも、息継ぎの時間に身を癒してくれるから有難い。
何べん息継ぎしたか、ようやく弥山小屋が目の前に見えた。小屋の前でホッと一息、しかしここは通過点、素通りして弥山山頂へ向かう。
弥山山頂の弥山神社。昨夕、キャンプ場から近くの天川温泉へ行く途中、天河弁財天の社殿があった。この山頂は、その奥社とのこと。だから、天川村から弥山山頂への登山ルートもある。
弥山山頂から見た八経ヶ岳、その奥に明星ヶ岳。一旦弥山小屋へ戻り、そこの分岐から標高差100m程の鞍部へ下り、八経ヶ岳へ登り返す。 
鞍部の底で、鹿除けの柵の中へ扉を開け閉めして入った。すると、突然、目の前にこの花、お目当てのオオヤマレンゲ。まさに開花期。ここ一週間が適期とのことで、ジャストタイミング。名花と言われるだけあって、際立つ高貴さ。
道はオオヤマレンゲのトンネルの中を通る。まだ白い蕾が多い。中には咲き終わりのものもあったが。 
林床には、他にもお馴染みの花。マイヅルソウに、カラマツソウ
山頂間近でフェンスは終わる。柵の外は鹿に食い荒らされた荒涼とした世界。内側は草木が鬱蒼と茂る緑の世界。その見事なまでの違いに驚く。そういえば、伊吹山も駐車場から山頂へのルートに入るとき、フェンスの扉を開け閉めして入ったことを思い出した。あの山の頂の植相も柵で守られていたのだ。
 
目的地の八経ヶ岳山頂、やっと着いたという感じ。向こう側の斜面には結構な数の登山人が休息をとっていた。山頂標識の辺りは、次に登って来る人のために空けておく、基本のマナーが守られていた。 
ここが近畿地方の最高峰。標高の数字は、地理院の最新の地形図の数字と合わない。あの大地震の後、各地の山の標高は変化している。細かいことは無視して四捨五入すれば1915m。西日本の山は総じて低い。 
八経ヶ岳山頂から、さっき立った弥山を見る。小屋の左方が山頂。その奥に見えるのが山上ヶ岳、あの峰からここまで奥駈けの行者が走る尾根が続く。そして、ここから先、熊野まで続く道。 
昨日立った大台ケ原山が対面に見える。山また山の紀伊山地。この峰々を駈け渡る、行者の精神と野獣の体力を我に、と祈る。下山で親しくなった奈良県民の登山人に言われた。新潟にもいい山がいっぱいあるでしょ、と。それはそうなのだが、違う山にも行ってみたくて、と応えた。彼の人から見れば、飯豊などは憧れの山に違いない。集団登山の一団が下山準備を始めたので、大急ぎでその列の前に出て、下山した。Okkaaは無事かと思うと、やはり心せわしない。 
弥山小屋の前でも大勢の登山人が休憩していた。売店は閉鎖していたが営業小屋は開いていた。そこに寄って、記念のバッチを買い、1本300円のコーラを飲み干した。 
下山時に改めてコアジサイとウツギを撮り直し。どちらもだが、特にコアジサイは見れば見るほどきれいな花だ。これ見よがしでないのがいい。
 
この橋を渡ればすぐに駐車場。Okkaaは無事で車の中で待っていた。標高差600mの急坂を登り、あの大峯奥駈道の本道を一部と言え歩いたのだから、満足満足大満足の表情でいた。
<コースとタイム>  トンネル西口発6:34-7:51奥駈出合(分岐)-8:15弁天ノ森-8:48聖宝ノ宿跡-10:00弥山小屋-10:05弥山山頂10:12-10:49八経ヶ岳山頂11:20-11:41弥山小屋11:47-13:00奥駈出合(分岐)13:07-13:50トンネル西口着
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