綿野舞 watanobu 山歩紀行 2009.7.25~26 木曽駒ケ岳
 標高2956.0m  長野県駒ヶ根市・宮田村    

25日14:52 ハクサンイチゲ、シナノキンバイの咲き乱れる八丁坂

25日14:31 千畳敷カール
 
中束(なかまるけ)山の会では、毎年、県外の名山へ山旅を実施してきていて、この年は、中央アルプス木曽駒ケ岳へ行くという。
Haseさんとその山旅に参加することにした。Junjyさんも夫婦で参加していた。

何しろ、HaseさんやJunjyさんと違って当方は、アルプスと名のつくような山に登ったことはない。それどころか、ほぼ三千メートルの高山など、どんなところか予想もつかない初心者。
にもかかわらず、無知は蛇にも怖じずで、ほとんどこれまでの低山歩きの延長気分で参加した。
さすがリュックザックだけは、この年のシーズン初めに、32ℓを新調していたが、靴は20数年前に購入したナイロン生地のキャラバンシューズ、カッパは近くのホームセンターで3千円で買ったもの、服装はほとんど普段の作業着といういでたち。

それが完全に祟った。

千畳敷に上がるRWのゴンドラには雨粒が当って、八丁坂は帽子が飛ばされるほどの風雨。
それでも、咲き誇る高山植物の花々をカメラに収める余裕があったが、、浄土乗越に上がりついた頃は、視界がほとんど効かない土砂降りと風。

身体に叩きつける様に当る猛烈な風雨の中をうつむいて黙々と歩く。中岳を越えたはずなのだが、どこをどう歩いたか全く不明状態。
どうにか山頂小屋についたものの、入口で靴や雨具を脱ぐためらしく、順番待ちの列は遅々として進まず、土砂降りの中で立ちん坊。

前もってカッパや靴には防水スプレーをタップリと吹きかけてはきたのだが、強烈な雨は容赦なく安カッパを通し、川となった登山道の水は靴を通し、待つ間に身体はどんどん冷えていく。
あと、30分も待たされたら多分低体温症になったのではないだろうか。
隣に並んでいたJunjyさんは平然としている。聞けばGOR-TEXの高山専用カッパとか。中は全然濡れないと言う。靴も立派な登山靴。

参った。そして、せめてカッパと靴を購入しなくてはと、反省を深くした。

翌朝はますます雨風強く、それでも山頂だけは上がっておこうと、列にはぐれないよう恐る恐る付いて登った。

3千m級の山に登ったとはいうものの、どのような山に上がったのか、全く覚えてない。というより、見えないのだから、全く分からなかった。

それでも、千畳敷から浄土乗越までの間の高山の花々は、雨の中でも素晴らしかった。
ハクサンイチゲ、シナノキンバイ、ミヤマキンバイ、ヨツバシオガマ、コイワカガミ、クロユリ、コバイケイソウなど、夢中で撮った花画像が雨に煙って残っている。雪渓の上にいたイワヒバリも写っていた。

雨の中で撮ったものだから、2日目の下山途中、SONYのサイバーショットは動かなくなってしまった。
防水機能なしのカメラだから基盤を濡らしてアウトかと諦めたのだが、帰宅して乾燥させたら元に戻った。さすが世界のSONYだ。


それはともあれ、下界におりたら天候は晴れ。南アルプスを眺めながら入浴して、帰路は楽しいバスの旅。これが中束山の会の楽しさ。

それも含めて、強烈な雨風、咲き誇る高山植物、急登の登山道、満員の山小屋、みな初めての経験で、楽しかった。

本当にいい勉強になったと思った。
また高い山に登りたい、この山に天気の良い日にまた来たいと、しみじみ思った。


どうも、このときから山の魅力にとりつかれたような気がする。あんなに凄まじい天候だったのに。
花だろうか、空気だろうか、雰囲気だろうか、それらが醸す異界感だろうか。それとも、3千mの頂に立てたという充実感、達成感だろうか。

この後、9月に月山に登ることになったとき、その前にいそいそとスポーツ店に行って、登山用のカッパと靴を買ったものだった。

14:40 八丁坂に向う雪渓を渡る
 

14:48 ここから八丁坂
 

14:51 八丁坂
 

26日6:09 木曽駒山頂 Haseさんと
 

クロユリ
 

ミヤマキンバイ
 
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