綿野舞 watanobu 山歩紀行 2009.4.19 長峰山~杉王山 
 標高197.1m 新潟県関川村     

「長峰」とそこから続く「杉王山」(左端)  麓の玉郷立から
 

国土地理院1/25000地図では、標高196mの三角点の山を「杉王山」と記している。その杉王山の南に、標高197.1mの三角点があり、名称はない。

この二つの三角点の間は、長い峰が続いていて、地元ではそこを「長峰」と呼んでいる。
標高197.1mの山頂には、麓の上関集落の人々が信仰する杉王大権現の奥の院が鎮座していて、「上のお堂」と呼ばれている。

以上のような関係から、国土地理院の表記とは別に、196mの山を「長峰山」とし、197.1mの山を「杉王山」としている地図もあるようで、私なども、そのように把握してきた。


上関集落では、毎年4月19日を上のお堂の祭礼日と定めて、当番の人たちを中心に、列を作って196mの長峰山に登り、そこから長い峰を歩いて197.1mの杉王山に行き、お堂の前に座って僧侶から祈祷をしていただく。(杉王大権現は、神仏混淆の名残で仏教の僧侶が祈祷する。)

この日は、その祭礼日で長峰山から杉王山に歩き、祈祷を受けお神酒をいただいた後、来た道を戻らないで杉王山直下の麓、玉郷立に下った。

タムシバが咲きこぼれるのどかな春の日で、集落の人たちとのんびりがやがやと山道を歩き、麓の農道を歩いた。

その後は、集会所に集まって直会、例の如くの一日だった。



さて、杉王山にあった「上のお堂」は、2012年、麓の玉郷立にある「下のお堂」に遷座した。
そこまでは車道が入っていることが大きな理由だった。つまり、高齢化が進み、山頂への参拝が容易でなくなったというわけだ。
これは何も上関集落に限ったことではない。2009年のこの頃、近郷の集落ではすでに山の上の神様は麓に遷座された所が多く、上関はまだ神参りに山へ登っていると言うと、それはたいしたもんだと誉められたりしたものだった。

人間界の超高齢化の波が、神の世界にも波及したということで、神様もさぞかしびっくりなさっていることだろう。

「長峰」に咲くタムシバの花、ちょうど花盛りの頃だった
 

オオカメノキの花も純白に光っていた、のどかな春の日
 
     ― ページのTOPへ ―