綿野舞 watanobu 山歩紀行 2009.5.13 桜峠 
 標高270m付近 新潟県関川村・山形県小国町    

あの山の裾の窪みに峠があると説明を聞く一行
 峠道は、決して山頂には上がらない、最も低いところを越す
 

関川歴史館主催「古道を歩く会」。

桜峠は、新潟県側の関川村金丸集落と山形県側の小国町玉川集落を繋ぐ古道の県境にある。
その名の如く、往時、峠には桜の大木があったらしい。

どこの峠道もそうだが、この桜峠も、車社会到来以前、金丸と玉川の人々を結ぶ大切な生活道路だったという。人と物が頻繁に往来し、峠には茶店も建っていたという話を聞いたことがある。

我が国の長い歴史から見れば、ついこの間の出来事である。
車社会の到来は、たかだかここ100年足らずの間の出来事でしかない。
それ以前の幾千年、人々は自分の足で山川を一つ一つ越えて行き来してきた。
古道を歩く会は、今は廃れかけた山道に分け入って、長い間の先人の営みに思いを寄せる機会でもある。

歩くしかなかったから歩いたのだと言ってしまえばそれまでだが、私などは、そうやって山川を越えて歩いてまで、遠方に何かを求めた人々の、そのエネルギーに感心してしまう。「山のあなたの空遠く・・・」人間の本源なのかもしれない。

とにかく健脚だったのだ、昔の人は。
現代人の我々も、昔の人に負けてはいられない。峠歩きはいつもそんな気にさせられる。


ま、難しく考えることはさておいて、参加者は私を含めてみな、単純に山中をほっつき歩くことが好きなのだ。
草木の名前を聞いたり、道端の蕨をちょっと採ってみたり、冗談を笑ったり、そんな一日が楽しいのだ。

だから、なかなかこの催し、人気がある。

ところで、時代劇で峠の茶店といえばダンゴがつきものだが、これには科学的に意味があると、最近登山関係の雑誌で知った。山道を歩くためのエネルギー源として澱粉質と糖質の補給は欠かせない。昔の人の知恵だと書いてあった。
現代の登山の行動食につながるという話で、時代劇と登山と、面白い組合せだ。

ウリハダカエデの花盛りだった  木肌に特徴がある
 

峠を越えると、真っ白な飯豊連峰が現れた
   この頃はまだ、仰ぎ見るだけの遠い山だった
 
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