6月 初夏の庭だより 

人それぞれに至福のひと時をもっている。
かつての上司で、朝4時に起きて読書する、これぞ至福のひと時と言っていた人がいて、見習いたいと思ったがダメだった。
今の私には、朝食後、猫額苑のディレクターチェアーにどっかりと腰を下ろして、草木を眺めながら歯を磨くその時が、至福のひと時。
お陰で、歯医者さんに行くと、その歳の割には歯磨きがうまいなどと誉められている。
歯磨きを終えたら、コーヒーなど入れてOkkaaと二人、竹デッキで庭を眺めていれば、至福の二乗。
友人のEさんが、コーヒー教室で習った入れ方を伝授してくれた。専用ポットの注ぎ口で「の」の字を書くように湯を注ぐのがコツだそうだ。

コーヒーの後、やっこらしょと今日の野良仕事が始まる。

それはともあれ、猫額苑は、6月に入って緑が一段と濃さを増し、花々も賑やかになってきた。
その花々の物語など、少々。

スイレン・・・Okkaaが、鉢から抜いて根を切詰めて植替えをした。これまでしたことのないことをしたら、なんと蕾が5こもついた。
今は、次から次へと花を咲かせている。こんなに花をつけたのは初めてだ。
その睡蓮鉢にボウフラ対策でメダカを泳がせているが、これもなんと、稚魚が続々と生まれて、すくいとっては水槽に移しているが、もう50匹は超えた。
 

ヤマボウシ・・・これも、今年初めてこんなに花をつけてくれた。今年は、何の花も寿命が短いようだが、ヤマボウシの花は長く咲いていて、いい。
よく見ると、花は、中心の丸い塊がそれのようだ。白いのはガクか。
やがて実が熟すと、ヒヨドリが遊びに来る。
 

エゴの木、別名ジシャガラ・・・これも、今年初めてこんなにビッシリと花をつけてくれた。
今年の猫額苑は初めて尽くしだ。何か気候がおかしいのでなければいいのだが。
野山のエゴの木は白花だが、これは園芸種でピンクの花をつける。それでも、野鳥のヤマガラが好んで実を食べにきてくれる。
 

コンニャクの花・・・去年分球したせいか小ぶりだが、2株、花を咲かせてくれた。
クサヤか堆肥のようなすごい匂いを発して虫を呼んでいる。やってくるのは、勿論ハエ。
実を付けるまでのコンニャクの戦略が面白いので、匂いを我慢して花の変化を楽しんでいる。花の形も面白いし、この後の変化が実に面白い。
     

ブドウ・・・竹デッキの前面にブドウ棚を取り付けて、日除けを兼ねて蔓を伸ばしている。グリーンカーテンになるまでは、あと何年かかかるだろう。
今は、房のような花が垂れ下がっている。咲き過ぎたので摘花した。去年よりは大きな実になるだろう。
こんな小さな花でも、クマンバチがせっせと蜜を吸いに来る。
クマンバチは受粉の立役者だが、家にとっては大敵。庇の垂木の木口に大穴を開けて屋根を弱らせる困ったヤツだ。
 

モモとツツジ・・・満開のツツジの上でモモの実がふくらんでいる。これもかなり摘果したので今年は大きくなるだろう。
カラスめが時々見回りに来る。去年も全部カラス様に献上した。袋をかけようか迷っている。
なにせ玄関前に観賞用で植えたので、袋はどうにも似合わない

母子草・・・種が飛んできたのか勝手に生えた。Okkaaはカワラハハコだとつまらなそうに言う。高山ではエーデルワイスの親戚だぞと私が言う。
スイカズラ・・・香りがいいので植えてあるが、放置するととんでもなく繁茂するので油断が出来ない。
今月はじめ、このスイカズラを庭の隅に移動させて、空けたところにリンゴの苗木を植えた。
これで、モモ、ウメ、ナシ、ブドウ、ブラックベリー、ブルーベリー、ザクロ、アンズ、アケビ、そしてリンゴと、花も実もある猫額苑、まるで果樹園だ。
このうちアンズだけは実生、花がつくまであと十数年はかかるだろう。気の長い話だ。
 
   
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猫額苑 四季   ねこのひたいのにわ  2012
文字通り狭い我が家の庭
綿野舞watanobu流ガーディニングを始めて6年
苔庭を中心に、花、木、草、実、そしてバンブーデッキ・・・と
独り悦に入っている庭、自己満足の極み