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平田甲太郎家文書<重兵衛酒小売株争いの件 済口證文 天保5(1834)年 文書№640
<文書の解説>
酒小売の権利を巡って行き違いの言い争いがあったようです。下関村庄屋が間に入って合意したのがこの文書です。
酒造だけでなく酒の小売りも株の制度で、株仲間があったのでしょう。当組合とか組元というのは、株の組合ということでしょうか。
酒役御上納とか御役米というのは税金のことでしょうが、引宛物というのはよく分かりません。税金に見合うだけの保証の品などのことでしょうか。
文中、「揚酒渡世を差妨げ」られたと、ありますが、酒の小売業を揚酒渡世と言ったのでしょうか。
「弥以」は、「いよいよもって」と読むならますますの意でしょうが、ここの文章とは意味が合いません。
「陸間敷」は「睦まじく」の書き間違いかと思いましたが、「陸(ろく)」には、平穏の意味があり、「ろくまじく」つまり、争いは止めてという言葉があったのかもしれません。
という具合に、当時のものの言い方や慣習など、もっと深く勉強しないと分からないことが沢山あります。
最後の「畢竟、御声がかり故と一同存知候」の文は、代官所からの働きかけがあって和解合意に至ったという意味に読みました。代官所への訴訟なら、通常、御上の御威光のお陰でと書かれるところです。この度は、代官所は表に出ないということでしょう。利権に関わるからでしょうか。あくまでも自分たちで決めるというのが当時の自治の姿勢のようです。
そもそもは、重兵衛が持ち株の証拠を出せなかったのがこの問題の発端のようです。紛失したのでしょうか。お陰で余計な出金がありました。
いずれにしろ、元のさやに納まって、めでたしめでたしというところでしょう。
釈文
読下し
意訳
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