綿野舞(watanobu)山歩紀行2018
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4月26日 恐々と 鎖手繰れば 石の門
妙義山石門巡り 群馬県下仁田町  地理院地図は→こちら
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日本三奇勝の一つとされる妙義山。遠く音に聞くだけでなく、近くに寄って眼にも見よ。というわけで、麓のさくらの里での花見を兼ねて訪ねてみた。この山、滑落事故多発で登山には中々厳しい山。だから、せめて「関東ふれあいの道」と銘打たれた安全そうな一般道を少し歩いて難山の雰囲気を垣間見てみようかという目論見。
ここに載せきれなかった写真はYouTubeにあります ⇒こちら 
 渡辺伸栄watanobu
何はともあれ、まずは妙義神社に参拝。神社の後ろに聳えるのは妙義山の主峰・白雲山。その一角にある相馬岳だけは比較的安全に登れる山とのことだが、今回の目的は麓巡りのため、残念ながら登山はなし。だから、メンバー一同どこかのんびりと観光客気分。
妙義山で白雲山と並び立つもう一方の山塊がこの金洞山。鋭い岩峰、まさに奇勝、奇景、奇岩。右方に見える岩の塔の間あたりに石門があって、そこを巡るコースが比較的安全とされる一般道となっている。その名称が「関東ふれあいの道」。かなりの年配と思われるご一行が駐車場で準備体操。我らと前後して石門巡りコースへ。 
 
石門巡りコースの入り口に入った途端、ハイキングコースではないと気付いた。岩場の登り傾斜、れっきとした登山道。周りの岩の壁に圧倒されて、早くも緊張感漂う。岩壁に咲く藤の花に眼をやる余裕があったかどうか。 
 
いきなり出てきたのが、この鎖場。最早ハイキングコースではないことは確か。「カニのこてしらべ」とは、名づけが絶妙。一同難なく乗り越えて、これなら行けそうと安堵感と自信と与えてくれて、尻込みさせない配慮がありあり。 
 
続いて現れたのが第一石門。この巨大なアーチにビックリ仰天。これを見ただけで、この先どれほどの奇景が現れるのかと、興味津々。最早戻ろうなどという気は全く失せさせてしまう仕組み。 
 
だから、「カニのよこばい」などという恐ろしい名の鎖場が出てきても、戻ろうなどと言い出す人は一人もいない。興味を引き付けられた人間は強い。
つづいて、「カニのたてばい」というところだが、何故かここは「たてばり」。七十路越えたお婆さんがまるでロッククライミング。これをお転婆と言わずして何と言おう。やむを得ず「下を見るな」「鎖から絶対に手を離すな」と、後ろから声を掛け続けたこちらも、ま、相当のお転爺。
「たてばり」の上は第二石門。狭い岩の隙間を抜けるのに一苦労。この先はあとは平らな道が待っているのかと思いきや、とんでもハップン、ニジュップン。先頭から嬉しそうな震え声「つるべさがりと書いてある」と。
その「つるべさがり」がこれ。よくぞ名付けたものだと妙に感心の態。まさに井戸の釣瓶状態。足場を確保しながら一歩一歩下る。下る人もサポートする人も見る人も、顔は少々引き攣り気味。
ここが最後の鎖場「片手さがり」。先ほどのご年配のご一行もこんな難所を通過するのかと、他人事ながら感心やら心配やらしていたら、実は迂回コースがあって、何も無理して鎖場を通らなくても第四石門へ到達できる道が用意されていた。どうやら余計な心配というものだったようだ。
ここが第四石門。苦労して難関を突破してきたからこその到達感、達成感、安堵感。まさに「汝、力を尽くして狭き門から入よ」だ。奥に見えるのは大砲岩。あそこにもふれあいの道が通じているが、滑落事故多発と聞いて近寄るのはやめた。命の門は狭く滅びの門は広い。広い第四石門を潜るのはクワバラクワバラ。 
 
第四石門前の展望台からの眺望。中国の自然遺産「武陵源」もかくやと思わせる絶景。大金掛けて実際に見た人からは、こんなもんじゃない、あんなもんじゃないと言われるかもしれないが。 
 
第四石門から少し登った「見晴台」からの絶景。見晴台は垂直に切り立った岩の塔の上にあるテラス。立てば目も眩むような断崖絶壁の上。 
見晴台にて、Unqさん撮影の一枚。だいたい、いつもの山行ではUnqさんに愛機を渡して自像を数枚とってもらっているのだが、此度の妙義山ではその余裕なく、自機には一枚も自像が入ってない。で、後日、Unqさんからメールで送ってもらったのがこの一枚。記念すべき一枚になった。
<コースとタイム>  駐車場発11:35-11:45登山口-11:53カニの小手調べ-11:56第一石門-12:20第二石門-12:28(休憩・昼食)13:00-13:07片手下がり-13:18第四石門13:27-13:38見晴台13:43-14:05中之嶽神社-14:14休憩所着
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